表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔石グルメ ~魔物の力を食べたオレは最強!~(Web版)  作者: 俺2号/結城 涼
十八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

271/623

一夜明け、尋問の報告など。

昨日、買い物中にエスカレーターでぶつかられて、こけて右腕にヒビが入りました……。

ただまあ、指は動くので更新は余裕です。

ですが、もしも文字数が減ったり更新を休んだりしてもお許しください……。

(全治二週間ぐらいなので、休んでも来週ぐらいです)

 夜が明けると、意外と気分がスッキリしていることにアインは気が付いた。

 終わり方はクリスに持っていかれたが、魔王同士の語らいは、想像以上に気分転換になったらしい。

 ベッドから上半身を起こして手を伸ばすと、深く声を漏らしながら背筋を弓なりに反らす。



 朝の空気が鼻を通り、一気に目を覚ますことができた。



「あ、起きたの?」


「……あれ、クローネ? いつの間に隣に?」



 気持ち良さそうに起きたアインへと、クローネは隣で見上げながら語り掛ける。

 いつの間にか、彼女は隣で横になっていたのだ。



「少し前よ。本当は起こしに来たつもりだったんだけど、気持ち良さそうだったから……一緒に寝てたの」


「それなら起こしてくれればよかったのに」


「……昨日は疲れてたみたいだから、今日はこのままでもいいかなって思っちゃったんだもん」



 すっと身体を動かして、アインの太ももの上に頭を乗せた。

 彼女にしては甘い判断だが、それほど、昨日帰ってきたアインは疲れているように見えたのだろう。

 アインはありがとう、と答えて彼女の頭を撫でると、頬を撫で、顎に手を当てて顔をあげた。



「――んっ……もう、急にするんだから」


「したくなっちゃったから、しょうがないよ」



 軽く口づけをして互いに笑い合う。

 甘えるように抱き着いた彼女の背中に手をまわし、互いに力を込めて抱きしめ合う。

 やがて、二人が満足したところで自然と離れ、クローネが先にベッドから降りる。



「今日の仕事は午後からにする?」


 

 やはり、昨日の件を耳に入れている。

 アインが気に病んでいたことを考えてか、暗に休めと言ってきた。



「……いや、大丈夫。もう平気だから朝からするよ」


「本当に大丈夫……?」


「色々吹っ切れたし、これでよかったんだって想いもあるからね。多分だけど、クローネが考えてる以上に……今はスッキリしてるよ」



 彼女はじっとアインの瞳を見つめ、それが嘘でないことを確認する。

 最後は納得したようで、もはやアインを止めることはせず、笑顔で頷いてみせた。



「アーシェ様はなんて?」


「あぁ、アーシェさんがなんで暴走したのか……とか、その辺りの経緯を少しだけ聞いたよ」


「ふぅん……学者なら、全財産を投げ売ってでも聞きたくなりそうな話ね」



 そうだろうなと、アインは苦笑いを浮かべて頷き、昨晩の彼女の助けに感謝する。

 すると、あの後のことが気になった。



「その後は、クリスがアーシェさんを拉致していったんだけど、どうなったか聞いてる?」


「詳しくは聞いてないけど、アーシェ様がクリスさんに自室まで連れ去られた――ってことは聞いてるわ」


(なるほど。食堂での夜食にはならなかったのか)



 責任の一端がある身としては、少しばかり申し訳なく思うところだった。




 ◇ ◇ ◇ ◇




 いつも通りに着替え、いつも通りに身だしなみを整え、いつも通りに執務室へと向かう。

 随分と違いは無かったのだが、これが何よりもいい事だった。

 こんな時にもバルト苺の件などを進め、並行して、リリからの新たな情報も待つ。



 イスト交易商会の件に加え、龍信仰の件。

 はたまた、例のあぶり出しのための一手などなど――仕事は相変わらず山ほどある。

 むしろ、こうしてゆっくりする必要が無いことも、無駄な事を考えずに済んだのではないだろうか。



「いや、アルマの件もあったか」



 イシュタリカの者も交えての調査団。

 少し前に発足され、ティグルと協力して調査にあたっている。

 この件がまだ残っていたなと、引き攣り笑いを浮かべた。



「おかしいな。赤狐のときよりも忙しい気がするんだけど、気のせい?」



 当時も確かに忙しかったが、今のところ、休日すら返上して仕事をすることが多い。

 余裕は確かに減っていた。



「アインの側仕えになろうと頑張ってたときは、この倍以上は勉強に時間を費やしたかしら」


「……恐れ入ります」



 ある一点に絞れば、誰よりも優秀な女性はカティマのはず。

 だが、全体的にみれば、きっと、クローネが圧倒するだろう。

 毎度のことながら頼もしさを感じ、彼女と冗談を言い合う。



「あ、ねぇねぇ。アインもお祭りには参加したい?」



 と、彼女は書類仕事をしながら尋ねた。



「お祭りって、あの偽物の卵の?」


「えぇ、そうよ」



 ハイムから運ばれ、シルヴァードに献上される――という嘘から産まれた祭りだ。



「……祭りは好きだけど、騒動がなぁ」



 奴らはアインの剣を狙っていた。

 イコールで繋がるのかは分からないが、アインも狙われているということになる。



(いやー、無理かなー祭りは)



 先日の強襲により、確実に奴らは警戒を強める。

 だが、襲ってこないという確証はなく、万が一にも襲ってくれば、あとは民を巻き込む戦いだ。

 さすがのアインとしても、こればかりは避けたい。



「ラグナに到着したら、水列車と馬車を併用してシュトロムに来るの。それからは水列車でホワイトローズに行って、広場で王家に手渡される――ってことになるわね」


「今更ながら、それって大丈夫なの? 城が標的になったりとかは……」


「えぇ。だから、その後は王家の発表でイストに運ぶ……ってことになってるの」



 研究者の聖地イスト。

 なるほど、あそこは秘密の塊だらけとあってか、下手をすると、城と同等以上の守秘がある。

 嘘を重ねているとはいえ、ある種の信憑性は感じられた。



「マジョリカさんにも協力を依頼したの。だから漏洩も大丈夫」


「あーそういえば、マジョリカさんって、名誉教授っていう肩書があったっけ」



 はじめてイストに足を運んだ時は、それのおかげで随分と助かった。

 まぁ、結局は助言をくれたオズも敵だったのだが、マジョリカの助けがあったのは事実だ。



「ハイムもだけど、いろんなものを巻き込みだしたね」


「それだけ大事になってきたってことよ。少なくとも、アインのお陰で何歩か前に進めたわ」


「……そりゃ何よりだ」



 得られた情報は少ないが、所詮は末端だったということ。

 致し方ない、そう思わざるを得なかった。



「昨日の件は何か聞いてない? リリさんから報告が来てると思ったんだけど」



 尋問の結果だ。

 最後はリリとディルに任せたので、その内容を尋ねたく思う。

 すでに一日経っているので、連絡が来ているはずなのだが……。



「あっ……ごめんなさい、その、失念してたわ」



 すると、クローネは申し訳なさそうに言い、机の引き出しから手紙を取り出す。

 立ち上がって、アインの席に持ってきた。



(クローネが失念するとは思えないけどね……)



 意図的に間を置いた。

 というのが、彼女の考えだろう。



「――クローネって本当に優しいよね」


「もう……急になーに?」



 バレてたかと、少しばかり弱弱しくはにかんだ。

 手紙をアインに手渡すと、自然に頬に口づけをしてから去っていく。



「クローネはもう目を通した?」


「えぇ、一応ね」



 返事を聞いて、アインも封筒から手紙を取り出す。

 前半部分の挨拶の言葉をさっと読み、本題の部分に目を通す。



『――結論から言うと、アイン様が尋問した相手と、我々が尋問した相手。

 内容に食い違いはありませんでした。

 その後、我々暗部なりの調べも入りましたが、追加の情報はありません。


 というわけでしたので、以上を踏まえてウォーレン様へと連絡。

 また、ウォーレン様へと奴らの扱いについての判断を求めました』



 ……へぇ、とアインが声を漏らした。

 やはりリリたちは仕事が早い。ウォーレン直属なだけはある。



『こちらも流れを省略してお伝えしますと、この手紙をお読みになっている際には、すでにシュトロムを離れ、ウォーレン様がご指示された箇所の牢へと移送済みの予定です。

 また、アイン様が直接尋問をした相手以外は、牢へと収容――いえ、既に処理(、、)が完了しております。

 ご入用でしたら、こちらの詳細も後程お伝えいたします』


(……処理、ね)



 言葉は伏せられているが、そうなるのは当然だ。

 むしろ、されなければその判断すら疑われることだろう。

 奴らが襲ったのは王太子アインで、以前は、その婚約相手も共に居た。

 その処理とやらを免れるのは、どう考えても難しい。



『以上が私からの報告となりますが、ウォーレン様からもご伝言がございます。

 ――汚れ仕事は、なにとぞ私にお任せください。とのことでした。

 昨日の件はウォーレン様だけでなく、陛下も心を痛めているようです』



 アインは嬉しくなった。

 同時に、少しばかり悔しさも感じてしまう。

 いわゆる汚い仕事とやらは、国の頂点に立つならば、これから先いくらでもやってくる。

 それを自分たちに任せろと言うのは優しさだろう。

 だが、まだ大人として見てもらえてないのかな……と、若干の悔しさが募った。



 すると、不満気な顔を浮かべたアインに対し、クローネが話しかける。



「甘えられるところは甘えましょう。でも、私たちにも責任があることを忘れないで、やれることは全力で取り組むの。全てを最初からこなすなんて、私たちには……無理とは言わないけど、得られるものが少ないわ」


「……得られるものが少ない?」


「私たちの満足感だけで済むのならそれでいいの。でも、私たちの仕事はイシュタリカの人々に繋がってる。だから、すべてを完璧に……なんて難しいけど、限りなく、得られるものは多くするべきだと思うから」



 正論だ。つまるところ、高望みをするなということ。

 意識を高く持つのは重要なのだが、それだけでは一国の王になるなんて以ての外。



「クローネ以上の側仕えはいないんだなって、今、再確認できたよ」


「ふふっ、私はあなた以上の殿方を知らないわ」



 公私をなんとも充実させてくれる女性だ。

 仕事をしながらもこうして仲睦まじく語り合い、二人は今日という日の仕事を終える。



 ――もうすぐ、ティグルが様々な支度を終えてイシュタリカにやってくる。

 今回は報告などではなく、ウォーレンの策の一環としてだ。

 休んでいる暇なんてないと、アインは頬を叩いて気を引き締めた。


今日もアクセスありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
>>>書籍版1~9巻&コミックス1~11巻が発売中です<<<
kk7v3ln45t9go535jpgm38ngs0a_1dgr_is_rs_
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ