悪い子になった結果。
書いていたら文字数のバランスが悪かったので、話進んでませんが投稿します。(すみません)
次回は日曜日の予定となりますが、万が一土曜日投稿したら申し訳ないです……。
※色々はしょり気味ですみません、いわゆるR15内で済ませられるようにという事情もありまして……。
規制等をもらわないためということでご理解ください。
もっといい頃合いがあったんじゃないか?
勿論、是だ。
もっといい雰囲気の時がよかったんじゃないか?
こちらも、是だ。
二人は勢いと空気に流されたのではないか?
残念ながら、こちらも否定はできない。
ただ、それはあくまでも他人の話。
この二人にとっては、むしろ、自然とそうなってしまったときが最大の好機なのかもしれない。
共に過ごす時間について、他人の意見を求める必要はないのだから。
アインが目を覚ましたのは夕方――とまではいかないが、昼下がりの曖昧な時間帯。
いつの間に寝てしまったのだろう? 考えてみても、思い出せるのはクローネの姿や声だけだ。
おもむろに体を起こそうとして、気怠い体に気が付かされ、腕をあげようとして、クローネがしがみついてるのが分かった。
「……夢じゃなかったみたいだ」
ほっとしたようで、感慨深いようで、それでいてやっとかという達成感に似た何かを得る。
現実をさっと理解したところで、アインは思う――やはり、唐突だったのではないかと。
例えば何かの行事の後、例えばもっと落ち着けたときなど……思うことは未だ山ほどあるが、これもまた、自分たちらしいのかもしれない。
「クローネはまだ寝てるか」
規則正しく寝息を立てる彼女は、まだ起きる気配すらみせない。
何か飲み物でも持ってこようかな……。アインは申し訳なさげに、クローネの腕をほどこうと試みたのだが、
「ごめんね、腕少し離すよ……って――ん? んん!?」
腕はほどけた。
しかしおかしい、なぜクローネが離れない?
どこかでしがみつかれているのか? 薄手のシーツに包まれた身体をみれば、足元が絡み合ってるのに気が付かされる。
……だが、何かがおかしい。
「俺の足が二本。それで、クローネの足が二本……さて、この無駄に多い足みたいなのはなにかな?」
クイズ形式で尋ねてみるが、答える者は誰も居ない。
起きていたらクローネが答えたかもしれないが、今は仕方のないことだ。
さて、アインの目に映ったのは、何本分かで浮き出た足のような何かだった。
純白のシーツで覆われているため何かは分からないが、二人の間に何かが挟まっている。
誰かが混じってることはあり得ない――そんな隙間がないからだ。
シーツをめくって確認する。
これが最適解なのは間違いないが、お互いに服は着ていない。
今更ではあるが、勝手にめくってよいものかと考えてしまうのだ。
「ん……ぅ……アイ、ン……」
隣でクローネが身じろいだ。
猫が顔をこすりつけるかのように、アインの胸元に頬ずりする。
こそばゆくて、愛らしい仕草に思わず笑みを浮かべたが、相変わらずなぞのふくらみは解決していない。
腕枕をしている手で、彼女の頭を撫でてみると、ゆったりと瞼を開けたのだ。
「あっ……アイン……起きてたの……?」
瞼を開けた彼女は、アインをみてから窓の外を見る。
まだそう遅い時間ではないことに安堵したのか、すぐに目線をアインに戻した。
「おはよ、クローネ。その……色々話したいことはあるんだけどさ」
そう言って顔を見合わせ、互いに頬を赤らめる。
照れ隠しをするように笑い合った。
やがて、彼女は愛するアインとの距離を詰めるため、さらに腕を回して抱き着いたのだが、
カサッ……と、葉が擦れる音がした。
葉が擦れる? なんで?
(ベッドに植物なんて植えてない、いや当たり前なんだけど)
それは自分の頭の後ろから聞こえ、クローネの腕と連動して聞こえたのだ。
余計に理解が追い付かず、眉間に皺を寄せてクローネの上半身を見た。
謎の力でシーツは彼女の上半身をかばい、アインの胸元に押し付けられた彼女の胸元や、露出されたきれいな腕や肩ぐらいしか分からない。
全身が露出されるよりも、逆に……といった感じだろうか。
「……今、すっごく幸せなの。それに、心と身体が充実してるの」
耳元でささやかれる言葉は愛に満ちている。
いわゆる無敵感に似た感情を、彼女は全身に感じていたのだ。
互いの体温が、その感情を更に高めるのは間違いない。
――だが、彼女の心と身体……特に、身体が充実しているのには、別のわけがある。
身体がどうも絡みついていた理由に加え、足元がおかしく膨らんでいた理由。
これらを解決できるものが、互いの身体に隠されていたのだ。
「……その、クローネ。驚かないで聞いてほしいんだけど、いい?」
「ふふっ……なーに?」
可愛い。自分のものにしたい。
内心で思ったが、すでに彼女は――と帰結する。
ところで、アインは気が付いたのだ。
カサッと音がした方にあった緑色のナニカと、シーツの中のふくらみ……それがベッドの端から床に伸びているのをみて、遂に気が付いたのだった。
「ドライアドってさ、根付くって習性があったと思うけど」
例の生きづらい習性だ。
交わった異性と命を共有するという、なんとも生きづらいもの。
アインは元々ドライアドのハーフ、その影響は否定できない。
「えぇ、だからアインは私に……ってことだと思うけど、それがどうかしたのかしら?」
「世界樹が根付くとどうなると思う?」
首を傾げ、まばたきを繰り返した彼女は可愛らしい。
いつもの数倍、下手をすれば数十倍は可憐で美しかった。
また、ベッドからはみ出る自分のものではないツタと根も、一秒一秒が経つ毎に可愛らしく思えてきてしまうのだった。
(あ、よく見たら青いバラ? みたいなの咲いてる……)
まるで懐かしのブルーファイアローズのように鮮やかで、自然と目が奪われた。
「……急になーに? もう、まだ恥ずかしいの?」
いや、確かに恥ずかしさはある。
しかしながら、今回はそれ以上の疑問と解決という話がある。
ちなみに、アインも世界樹が根付くとどうなるか――なんて知りもしない。
逆に知っている者がいるならば、むしろ尋ねたいところだ。
「あのさ、もしもだけど……クローネが暴食の世界樹である俺と根付いて、人間じゃなくなったら……どうする?」
「別に? どうもしないわよ?」
一切の間を置くことなく、当たり前のように彼女が言う。
何を聞くのかと思えば……と、彼女は小さくため息をついた。
「……え?」
「一緒に生きて一緒に死ねるなら、別に人間だろうが悪魔だろうが、それこそ魔物だろうがどれでもいいじゃない。……違う?」
ははっ、とアインは嬉し気に笑う。
なるほど、やはり彼女は大切な人だ。
こうも簡単に気分を落ち着かせ、いつでも自分を肯定してくれるのだと。
すると、アインは彼女の身体をぎゅっと抱きしめて、頭を撫でながら口を開いた。
「――とりあえず、クローネのステータスカードをみさせてもらわないとね」
そう言って、ベッドからはみ出る多くの根とツタと葉を眺めた。
アインの足からでたそれと、クローネの足から伸びたそれ。
両者は明らかに色や形などに違いがあり、どういう変化が与えられたのかを調べる必要があったのだ。
「私のステータスカード……? どうして?」
彼女はもう一度、首を傾げて不思議そうに視線を送る。
この流れからどうしてステータスカードの話題がでてきたのか、それが分からず、慌てふためいていることはないのだが、合点がいかない様子でアインの目をじっと見つめる。
「色々と確かめておきたいなって思って。とりあえず、驚かないでほしいんだけど――」
一番の疑問は、人間であったはずの彼女の身体から、ドライアドのように根やツタを出しているという現象についてだ。
きょとんとした顔で見上げる彼女をみて、おもむろに口づけを交わす。
二人は幸せそうに笑い、それから状況の確認に取り掛かった。
さて、彼女が自らの足元から出たものをみて、呆気にとられるのは言うまでもない。
なにせこれは、アインの影響を受けたという証明に他ならないからだ。
――つまり、クローネが喜ばないはずがなかったのだ。
今日もアクセスありがとうございました。
次話から次章となります。




