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魔石グルメ ~魔物の力を食べたオレは最強!~(Web版)  作者: 俺2号/結城 涼
十七章 ―無限色のトカゲと、龍信仰の者達―

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一晩が明けて。

>>一つご報告があります。<<

諸事情で申し訳ないのですが、近日中に、魔石グルメのタイトルを変更いたします。

旧タイトルとして後半部分に記載はしますが、見つけるのが少し不安だという方がいらっしゃいましたら、お手数をお掛けして申し訳ないですが、作者自身をお気に入り登録くだされば幸いです。

そうしていただけば、見逃す事は無いかと思いますので……。


また、活動報告などでも連絡等をする場合がございます。

もしよければ、確認いただければと思います。

長文となりましたが、何卒宜しくお願い致します。

 翌朝の屋敷は、いつもと違って騒々しかった。

 というのも、決して大きな声が交わされていたというわけではないが、人の行き来が多く、落ち着きが無いのは一目見てわかる。


 さて、どうしたものか。

 昨晩のことを考えていたアインの元へと、ディルが慌ててやってきたのだ。

 場所はアインの自室で、一人で考え事をしていたときのことだ。



「ア……アイン様ッ! ご無事でしたか!?」


「ぶ、無事だから落ち着いてほしいかなー……なんて」


「申し訳ありませんッ! この度は、襲撃を許したというのに、私がお傍にいられなかったこと……なんとお詫び申し上げればよいのか」



 彼にしては珍しく、随分とアインの言葉を聞かない態度だ。

 アインの部屋にやってくるや否や、頭を下げたまま、顔をみせようとしない。



「……だから、ディルは悪くないって」


「いえ、そもそも、私が先日のように休暇をとることが――」


「ディル。命令だ、頭をあげろ」



 王太子アインに近いものならよく知る、アインという男の放つ覇気。

 皮膚全体をひっぱりあげられる。そんな錯覚を抱かせ、彼の瞳に目線を向けるしかなくなるのだ。



「ディルが言うことは、俺の命令を受け入れられないという意味になるよ」


「……どういうことでしょうか?」


「定期的に王都に帰るように命じたのは俺だ。休暇のつもりじゃなくて、それもあくまで仕事の一環だよ」



 あくまでも方便だ。

 そんなこと、当事者のディルやマーサなら、良く分かっていることなのだが、



「ッ――ですが」


「ですがじゃなくて、これは命令だった。だから、ディルが謝るのは筋違い……さてと」



 そういって、ソファから立ち上がるアイン。

 窓際に向かい、屋敷の外に目を向ける。



「お爺様は何か言ってた?」


「……近衛騎士を増員するとのことです」


「だろうね。ロイドを送るなんていわれたら、それは断ってたけど」



 国王シルヴァードの周辺を守るためだ。

 そもそも、アイン個人の話をするならば、そう危険という話ではないのだから。

 彼は魔王にして、世界樹――それも、ただの世界樹ではない。

 覚醒済みの存在にして、暴食の世界樹と呼ばれる存在だ。



 完全な隙をつけたところで、今のアインを殺せるか? 

 考えてみるが、その結果は望みにくい。



「リリ。いる?」


「……あれ? 私ってば、いつからバレてました?」


「最初からかな、ディルと一緒に来てくれたんでしょ?」



 そこまでいうと、扉の外からリリがやってくる。

 リリは耳がいいな、アインは笑った。



「ウォーレンの隠密は、何をはじめたところかな」


「……そこまで分かってるんですか。相変わらず、アイン様は目ざといというかなんというか」



 すると、リリは悔しそうに近づいた。



「我らは本日より、ここシュトロムの調査を開始しております。ですが、芳しくないのが現状です」


「芳しくない?」


「はい……なんというか、アジトらしきものもなくて、密会? とかをしてる様子も見当たらないんですよ」



 アインが窓から目を離し、目を白黒させてリリをみた。

 こめかみを掻き、やがて手の全体で頭の片側を搔く。



「ごめん、聞き間違いだったって思いたいけど、リリたちでも、痕跡を掴めてないってこと?」


「ま、まだはじめて半日程度ですので……これからはわからないですけど……」


「あぁ、ごめん。怒ってるんじゃなくて、信じられなかっただけなんだ」



 慌てたリリに対し、同じく慌ててアインが否定する。

 アインが考えていたのは、彼女を詰問するようなものではなく、



「リリたちでも、半日かけて分からない相手。……そこに驚いただけだよ」



 意識を変えるべきかもしれない。

 もう少し、更に警戒を強めるべきなのだろうか、と。



(ただの、ちんけな犯罪組織かなって思ってたけど)



 この認識ではだめなのだ。

 今は、大きくなるかもしれない被害に対し、もう少し慎重に、且つ力を入れて取り組む必要が出てきたのだから。



「ウォーレンは何か言ってた? 俺に、王都に帰ってきて……とか」


「あー、いえいえ。どちらかと言うと逆ですね」


「ん、逆?」



 言うに迷うような表情で、手を振ってリリが答える。



「力を暴走させることがないようにお願いします――って言ってましたよ」


「……信用されてるのか、されてないのか」



 信用されてるのはアインの力。

 信用されていないのはアインの判断、といったところだろうか。



「あれ、でもその言葉って……実質的に、俺が調査に関わるのを許可するってこと?」


「え、えぇーっとですね、陛下が仰っていたことを伝えますと」



 すると、次にいうリリの言葉を聞き、アインが項垂れることになるのだ。



「なんでも、『止めて止まる相手なら、余も止めることにするのだがな』って、仰ってましたよ」


「……信用されてるのか、されてないのか」


「きっとされておりますよ。ただ、その中身は少し……答えに困窮致しますが」



 ディルのフォローになってないフォローを聞き、アインは少しだけ気が楽になった。

 この不可思議な事件にありながら、若干の和みを感じたのだ。

 やがて、アインは机に置いていた剣を取り、同時に羊皮紙の命令書を取った。



「アイン様? いまの紙は?」


「命令書。マルコに頼もうと思ってたやつなんだけど、ちょっと、しょうもないことで悩んでたからさ」



 吹っ切れたのだ。それはなぜか、理由は簡単だ。

 アインも行動できるようになったことで、気持ちに変化が生じた。

 命じる自分も行動できるなら、あんなこと、些細な悩みじゃないかと。笑い飛ばすことができたのだ。




 ◇ ◇ ◇




 リリは自らの仕事のため、屋敷を去って町に向かって行った。

 残ったアインとディルだったが、ディルはアインの伴をして、屋敷にあるマルコの部屋に足を運ぶ。



「マルコ、時間を貰うよ」


「え、えぇ。どうなさいましたか、アイン様」



 昨晩は、屋敷に戻ってから、お互いに情報の交換をした。

 アインはどのように襲われて、何をして、どんな話をしたのかをだ。

 その後になってマルコは言っていた。



『……気になることがございます。明日の朝までに、お答えできるように資料をおつくりします』



 つまり、例のローブの集団に覚えがあるということなのだろう。

 龍の力に関してもそうだが、マルコという、古い時代から生きている者がいるのはありがたい。

 その資料を受け取るという意味でも、マルコの元に足を運ぶのはちょうどよかったのだ。



 急にやってきたアインに対し、マルコは少しばかり驚いた様子だった。

 しかし、彼はすぐに臣下の礼を取る。



「――マルコに対し、正式に命令をしに来たんだ」



 懐から丸めた羊皮紙を取り出すと、それを広げて内容を読み上げる。

 内容は、犯罪組織に対しての調査の件だ。

 読み上げた最後に、アイン自身の名によって命令すると告げ、羊皮紙そのものをマルコに渡す。



「以上だ。マルコも確認できたなら、この命令を正式に受託したものとする」



 しかし、受け取ったマルコの様子が変だ。

 身体を小刻みに震わせ、彼にはない顔でじっと命令書を眺める。

 だが、アインとディルは感じた。

 いつの間にか、マルコの全身に異変が生じはじめていたということにだ。



「これは私個人の考えです。この価値観は、誰もが納得するものではないかもしれません」


「……どうしたの、マルコ?」


「上質な羊皮紙。黒い墨で書かれた文字。溶かした金の封。手触りの良い止め紐。……このすべてが、騎士の誇りに通ずるのだと」



 アインはその真意を理解できなかった。

 理解できたのは、隣に立つディルだけだ。



 それは誇り、誰よりも大切な主から頂戴する、特別な命令。

 積み重ねられるそれは財産となり、その騎士が生きた証に通ずるのだ。

 ただの言葉では終わらない、主が自らを信用したという証。



 以前、マルコはクローネに語ったことがある。

 彼は仕えるべき主が決まっていた。しかし、仕える前に、その主は死んでしまったという話だ。

 そんな彼にとって、主から受け取れる命令書とは、それはもう格別な代物に違いない。



 精神に大きな影響を及ぼすであろう、ある種の進化の瞬間がやってくるのだ。

 仕えるべき相手のため、自らの身体を最適化する。それすらも、一つの忠義に繋がるのだと。



「謹んでお受けいたしましょう。我が全てを賭け、誇り高き御身の期待に応えてみせると約束致します」



 ――次の瞬間、マルコの異変が最盛期を迎える。

 大きく大きく光を漏らし、マルコを中心に灯りが広がる。

 何が起きるんだ。二人は驚き立ち止まりながらマルコをみた。



「マルコッ!? か、身体……どうしたの……!?」



 鎧の色つやが変貌し、脈打つ身体に勢いが増した。

 心なしか、その鎧すら、少しばかり大きくなったように見える。



「これは私の精神的な問題だったのかもしれません。今の私は、昔の自分を取り戻すことができました」


「……ごめん、どういうこと?」


「ふふ……そうですね、言い方を変えるならば」



 マルコは言う。

 今までで一番の自信に満ちた声で、徹底的にアインに従うという意思を込め、その真意を答えるのだ。



「数百年前、魔王城をただ一人で守っていた頃の――全盛期の私です」


「――なんとたくましい鎧でしょう、マルコ殿」


「そう煽てずともよいのです、団長。これは偏に、私の精神的な弱さがみせたからの遅れ。今頃になって、こうして主になって力を使えること、喜ぶべきではあるかと思いますがね」



 彼から感じるオーラというものは、手加減していた頃のカイン、彼と比べても大差がない。

 つまり今の彼は、それほどの力に満ち溢れているということなのだろう。

 アインは頼もしさを覚えると同時に、ある一つの心配をした。



(く、訓練の時……勝てるかな……)



 しばしば語られることになるが、アインの方が強い。

 だが、それは剣のみではないという場合で、剣を競った時には話が別だ。



 マルコが全盛期ではなかったという話は初耳だ。しかし、彼もまた、それを伝えるつもりは無かったのだろう。

 なぜならば、彼はその力をみせられなかったのを、精神的な弱さと自己評価する。

 アインの命令書が一つのきっかけとなったのは事実だが、わざわざ語るつもりはなかったのだと推測できる。



 とはいえ、頼もしく感じるのは事実。

 この事件が早く終わりを迎えることを願い、アインは深く頷いた。



「さて、では……昨晩の男たちについての手がかりをどうぞ」



 あっさりとしたもので、マルコはまとめていた資料を手に取った。

 今の場面は、それなりに盛り上がりを見せるところではないのか?

 見ていたアインとディルは苦笑いを浮かべる。



 命令に忠実で、騎士の鑑たるマルコらしさに溢れている。

 彼が差し出した資料を取り、アインはその中身に目を通しだした。



前書きにも記載しましたが、近日中にタイトルの変更を行います。

詳しくは前書き、活動報告に記載しましたので、ご確認くださいますようお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても楽しく読ませて貰っています。周囲のキャラクターがとても個性的でいい感じです。 [気になる点] 読んでる途中ですが、1つ気になってしまったので。 257話でディルが襲撃に対する謝罪をす…
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