3. 神々と、戦場
□ □ □
運命の赤い糸に絡まれて、縛られて、巻かれて運ばれて、視界は赤一色に染まっている。
多分、時間的には、あのでかい扉はもう既に潜り、世界の境界は超えたのだとは思うが、あの空間ではいまいち距離感が掴めなかった。
口までふさがれたら息はできないかなと、心配になった時に、自分の身体が光った。
身体に巻きついて縛っていた赤い糸が、いきなり一度に身体から離れる。離れると言っても解放されたというわけではなく、赤い糸で構成された繭のようなものの中にいる状態だ。
視界は相変わらず赤一色である。
「よっと」
意外と硬い繭の底に胡坐をかき、今の状況と、これからの事について考える。
(毛糸の玉の中にいるみたいだけども。向こうに着いて、次にここから出た時には、向こうの神様と御対面か。チートもらえたら良いけど……テンプレ的に、超美人の女神様とか、会えるのかね)
そんな希望を持ちながら、怒った妻の顔が頭を過り、一度左右に頭を振る。
(一度、整理が必要か……)
腕を組み、顎に指を添える。
「現状目標は残り100時間。大体4日で元の世界に戻る事。これはほぼ不可能。向こうの世界に時空間魔法がある可能性あり。俺か、俺より先に飛んだ三人組が飛んできたタイミングまで時間を戻す。若しくは俺が未来から戻ってくる。」
指で顎先を摘まみながら、考えをまとめていく。
昔から一つずつ、確実に、という作業は嫌いではない性格だった。部活でも、ゲームでも。そして、バイトや仕事でも。そのせいで、少々帰りは遅くなっていたが。
集中し、一つづつ、神から聞いた話から、自分の最終目標に向かって、何が必要か組み立てていく。
ぐっと握った拳を身体の前に突き出し、人差し指を一本立てる。
「一つ。向こうで死んではいけない。死ねば元の世界に魂だけは戻れるが、記憶を失う。俺が俺として愛子に会う事が出来ない。」
人差し指に続いて、中指を開く。
「一つ。この時間に戻るために、時間を戻す魔法。戻すのは条件が揃えば記憶だけで良い。向こうの神様に要相談」
そして薬指も続ける。
「一つ。元の世界に行くための魔法。これは要調査。これも向こうの神様に聞いてもいい」
(この三つさえ達成できれば、向こうに戻って生き返ってまた、愛子と暮らせる)
「一番ベストは、向こうの神様に頼んで、転生直後に狭間のうちの神の所へテレポートが、楽かなぁ。」
妻の顔を思い浮かべて、ぐっと拳を握る。
(取り敢えず向こうの神に会ったら、最後の方法試せるか土下座で聞こう。)
目標と決意と拳を固める。そのまま、10分ほどだろうか、外も見えず、音も聞こえない、全く動いている感覚もない繭の中で、少し不安になってきた時、目の前の赤い壁が、ピシっと音を立てた。
□
イデア歴3017年
ヴェルの月 17日
「ようやく、着いたかな。」
閉じ込められた空間からの解放への期待に、表情が笑顔になる。
その時、赤い壁を突き破り、目の前に剣の刃先が突きつけられた。
「えっ」
いきなりの事に固まっていると、ピシリ、ピシリと音を立て、上から下までゆっくりと、恐らく剣の刃物の先だろう、金属質な輝きを持った黒く尖った先端が、目の前から徐々に下に向かう。
赤い壁が切り裂かれ、下にまで達した時に、何者かの両手の指が裂け目に差し込まれた。
縦に入った裂け目が強引に開かれる。
強引に開かれたからだろうか、バリバリという音ともに放電現象が巻き起こる。
「っ…!」
開かれた裂け目の向こう側から、強い光と、強い音が繭の中に注ぎ込まれ、強い光に目を細め、手を顔の前にかざす。
繭の向こうの音は、爆発音や、地鳴りの音だろうか、更にそれに加えて、聞き取れない言葉の叫び声が聞こえてくる。
(音が不安なんだが。転生すんじゃないの? 神様とか女神様と不思議な空間でチートもらったりするのでは?)
ふと、光が何かに遮られた。ゆっくりと、目を開けると。
目の前に、戦士がいた。
年の頃は自分よりも少し年上だろうか、40歳前後に見える。ぼさぼさの黒髪の長髪、吸い込まれそうな濃い赤の虹彩を持つ目に、うっすらとした無精髭に太い首。そして、丈夫そうな黒光りする鎧をしっかりと着用した偉丈夫がいた。
こちらと目が合うと、少し大きめに目を開いた。
「※◯※◯、□□△◯※」
そう言ってニヤリと笑ったその男は、どこかのハリウッド俳優の様な雰囲気を醸し出していて、その笑いが妙に様になっている。
(こっちの神かっこいいなおい。何言ってんのか解んないけど。後怖い)
ぽかんと、そんな事を考えていると、これまた丈夫そうな白い歯を見せて、今度は優しそうな、とても良い笑顔を作ったその中年のおっさんは、
「こんにちは!パパだよ!」
流暢な日本語で同じような年代の、中年のおっさんである俺にそう言った。
「えっ?」
多分、自分は今すごい間抜けな顔をしているだろう。
「えっ、日本語?異世界翻訳機能もう実装? ぱぱ? えっ? は?」
自分でも何言ってるのかが分からない。俺の親父は、眼鏡かけて腹の目立つ田舎の農家の七割お爺ちゃんだ。断じて重装備のグラディエーターではない。
頭の中にクエスチョンマークが踊り、戸惑っていると、黒光りするガントレットを着けた両腕で、がしっと両肩を捕まれた。
「モウ、ダイジョブ、アンシン。タスケル」
さっきの流暢な言葉はどこへ言ったのか、今度は片言だ。不安しかない。何から助けられるのかすら、こっちには分からない。
戦士の男は、俺の両肩をつかんだまま、後ろを振り向き何事か叫ぶと、再びこちらを向く。
「イタイ、カモ? ガマン。ダイジョブ、」
その男がそう言った直後。
繭の中から、俺を引っこ抜いて後方に思い切りもの凄い力でぶん投げた。
「うおあああああああ!!!」
上空高く放り投げられる。
「△◯、▼@Ω□!!」
声が聞こえた方から、空気の塊が飛んできた。と、思ったら、結構な衝撃と共に更に斜め上に飛ばされた。
綺麗な放物線を自身の身体で描きながら、初めて見た繭の外は、全く雲の無い美しい青い空だった。地球で見たものより、大きな白い月が昼なのにはっきり見える。
だが、その空では多くの、美しく力強い、巨大な様々色の鳥と、翼の生えた蛇と人の乗った竜が、高速でドッグファイト中だった。花火のような赤白黄色の爆発や、稲光、レーザー光線がそこかしこで展開されている。
放物線が頂点を過ぎて落下運動に入る。視線を下に移すと、眼下に広がってたのは、これもまた、戦場だった。
空とは違う青い水平線。エメラルドグリーンの海とそこにそびえ立つ巨大な白亜の神殿と、その上に白い美しい城。超巨大なギリシャの天井が平らなパルテノン神殿の上に西洋の城が立っている、と想像すると近いだろうか。きっと神々が座すに相応しい偉容と美しさを兼ね備えていたのであろう。
そう、いたのであろう、だ。
今は、神殿の柱は無惨にも何本も折れており、城に至っては炎上中、城門前の広場には美しい庭園が広がっていたのだろうが、クレーターがいくつも空いていて、植木も庭園もグチャグチャだった。
そして、青く澄み切った空の下の、エメラルドグリーンの美しい海には、何十という数の戦艦が浮かび、一番でかい船の上空には、その船と同じ大きさの水晶玉が輝いていた。
多くの船が入り乱れ、砲撃を繰り返し、海戦真っ只中だった。良く見ると船は白黒に食に別れていた。さらに双方、何隻かは沈みかけていた。
俺は、城の城門前の広場から飛ばされたらしい。
城の上に閉じつつある巨大な門が浮かび、その直下には、此方の世界の神だろうか、天使やら竜やら個性的な面々がいる。
顔も体型も遠すぎて良く分からないが、光っている数人の衣装は見えた。
一人は沢山の翼を持つ白い衣装、一人は俺を運んで来た赤い繭の影にいて姿はよく見えないが、ハープのような楽器を持っているのが一瞬見えた。
そして最後の一人は、金色に輝くチャイナドレスに身を包み美しい大きな角を額に一本生やした女性だ。光る両手を掲げ、何かの魔法を唱えているのだろうか。そいつが一番眩しい光を放っている。
その周囲には、部下達だろう、鎧を纏った天使達が守るように彼女らを囲み、俺を上空に吹っ飛ばしてくれた黒い戦士と、様々な色の鎧やローブを纏う軍勢が絶賛白兵戦中である。
女神の軍勢ど真ん中の門と深紅の繭近くまで突出していた黒い戦士が周りの鎧天使を吹き飛ばし、切り捨て、ぶん投げ、天使以外の者達と合流しようとしているらしい。
陸海空戦地直送だ。
(なんだ、この状況ううう!! 駄目だ、理解が追い付かない。かといって意識も失えない。魂だけで気絶するってどうすんの!? まだ転生前だよな? 俺まだ魂だけの状態だよね?)
城門から、遥か上空へ投げ飛ばされ、このままだと城の建っている神殿の屋根を超え、海まで行くだろう。
神殿の屋根を超え、真下に海面が見えた時、艶やかな黒い、巨大な鴉が上から近づいて来る。
(頭の良さそうな、綺麗な鴉だなぁ)
一瞬、その鴉に見惚れた、その直後、その鴉が力強くは羽ばたくと、落下中の俺に並ぶ。そして、その鴉の背に乗った女性と目があった。
どこがとは言わないが母性溢れる体つきだ。灰色のローブ越しにも解る。光の具合か、赤色がかっても見える長いブロンドの髪が、風に流れている。
鴉の背にのった美女は両手を広げ、満面の笑みを浮かべて、全身使って俺を受け止めた。
もう少し詳しく言うと、俺は柔らかい胸に頭埋めて、更に抱きつかれた。
「こんにちは!私が、ママよっ!会えて嬉しいわ!」
「眼鏡しか共通点がないです!」
うちの母親は、眼鏡をかけ、痩せ気味の体型で、身長もそんなには高くない。間違っても美人で巨乳ではない。うちの親父にそんな事いったら殴られるので言わないが。そして人種も違う。内の母は耳の先はそんなにとがっていない。いろんな意味で世界も違う。そして鴉にも乗らない。何よりみた感じ俺より年下だろう。
「あら、似てる部分もあるの?なんだか嬉しいわね。」
零士を抱き締めたまま柔らかに笑いかけられる。
「日本語が、通じる?」
驚きと共に、顔を上げる。
「勉強したの。頑張ったのよ。アレックスも。勉強は嫌いだけど、あの台詞だけは、練習してた。ちゃんと言えてたかしら?」
そう言うと本当に嬉しそうに、クスクスと笑う。
その顔を見て、綺麗だなぁと思い、その綺麗な人の胸に抱き締められている事を意識して顔が熱い。
(浮気じゃないです浮気じゃないです浮気じゃないです受け止められただけです浮気じゃないです)
頭の中で自分と妻に言い訳をして、体を起こそうとして、力が入らない。腰が抜けているようだ。
「うぐ…あの、そろそろ離して、んで、説明をお願いしても良いですか?」
そう言われた女は、ゆっくりと俺の体を離し、眉尻を下げ、残念そうな声音で答える。
「ごめんなさい。詳しく説明してあげたいのだけど、その時間が無いの、アレックス達も助けに行かないといけないしね。でも、大丈夫よ。必ず届けるし、また会えるわ。」
そう言って、笑みを浮かべると、素早く腰に着けたロッドをクルクル廻して手に取り、ピタッとこちらに向ける。
その瞬間ロッドが光ったかと思うと、身体が透明な玉の中に閉じ込められた。
(透明な風船の中にいるみたいだな。周りの音が、聞こえない?)
外の女性がロッドを手に持ったまま、何かを唱えているがその声は聞こえない。やがて詠唱が終わり、光ったロッドの先をこちらに向かって振り下ろす。
変化は劇的だった。手から伝わっていた膜のブニブニとした感触がまるで鉄板でも触っているかのように固くなり、完全な球体だった風船の形が変化していく。
(内側からは分かりにくいが…これは、まさか、弾丸?いやこのでかさだと砲弾?)
はっとして、女性の方を振り向く。
こちらに向けて杖を振り下ろした体制のまま、女性の唇が動くのをみた瞬間。俺を載せた弾丸が発射された。
「うおおおおいいいい!こっち来てから叫んだばっかりかおれええええ!」
弾丸は、先程みた水晶の浮いている船に一直線に向かっている。不幸にも射線上にいた、竜その他の生き物は撃ち抜かれ、打ち落とされた。一瞬過ぎて、よく見えなかったのが救いだ。
巨鳥やらドラゴンやらの体の中の映像とか、覚えておきたくはない。
船への、正確には船の甲板に立つ、こめかみから2本の黒く太い、牛のような角を生やした黒いローブを来ている老人の眼前への到達まで、5秒も経っていなかったと思う。
弾丸は、でかい船の上空に浮かんでいた魔方陣を数個ほど貫通しながら、速度を急激に落として、その老人の手により受け止められて停止した。
老人が手に持っていた光りを発するメイスで弾丸を破壊する。
甲板に尻餅をついたままの体勢のまま、老人を見上げた。
「~~、~~~~。~、※。」
(お手柄じゃな。大型ドラゴンとコカトリス三匹ずつ落としたぞ。流石じゃのう)
今度は頭の中に入ってくるのはしっかり日本語なのに、耳から聞こえてくるのは異界の言葉だ。昔見た二重音声放送を思い出した。
「それは、俺じゃなくて、俺を打ち出した、あの女性にどうぞ、というか、ここ、なんなんですか、もう、休みたいです。」
目まぐるしく変わる風景と自分の状態に目が回りそうだ。
(魂なのに息が切れている。魂ってなんだ。て言うかここがなんだ)
「~、~~□◯。※~。~、~□△~。□△~~」
(まあ、説明したいんじゃがな。時間がギリギリなんじゃよ。早いところ送らんと、切り込んだあやつらも不味いからのう。なに、その内解る。そして休みたいというなら、後ちょっとすれば、一年は満足に動けなくなる。十分、休むといい。)
「え?」
「~、~~、~~~~~~~~~~~~~。」
(その前に、加護をやろう。あ、残念ながら、お前に貰わない選択肢はなく。何を貰うかという選択肢もない。まあ、下に降りてから我を敬い感謝するといい)
そう言って老人が右手の拳を前に突き出すと、その拳に周囲の空間から何か黒い靄が集まりだした。
「おいまってくれ、せめて選ばせてくれ!! 俺は、戻らなくちゃならないんだ。戻りたいんだ!! 頼む! せめて、戻れる可能性のある力をくれ!」
「~~、~、※□△~。」
(そう、それで良い、強く、力を求めよ。強く、望みを思い描け)
老人が胸の前で拳を握る。ゴツゴツとした、力強い拳だ。
(我は、魔法神アシロス。魔の法と力の神たる我が、魂の求める願いを叶えよう。世界を渡り異界の神の不条理にさらされた力なき魂よ、我の力の一端をその魂に与える。願わくば、己の望みが叶わんことを)
老人が胸の前で握った拳の中に、黒い霧が集まり。固まる。
ゆっくりと、黒い霧を纏った拳がこちらに向けられ、拳が引かれる。
次の瞬間恐ろしい速度で拳が突き出され。どすっと、心臓に老人の拳がつき刺さった。
「うあっ! がっはっ!」
想像するほどの痛みはないが、体内に差し込まれた拳から、恐ろしく熱い何か流れ込んでくるのが解った。
熱と共に、身体のどこかに、罅の入る音を聞いた。
「あっつい、ぐ、あ……ぐ。」
拳を体から抜いた老人は、しょうがないなあ、と表情で語っているかのようだ。
「~~。~~。~~。」
(大袈裟じゃな。暫くすれば収まる。まあ、それを待っている暇はないがの)
「体に、拳ぶっこまれたら、誰でも、驚くだろ。あんな方法なら、せめて、心の準備させてくれても」
無駄とは思いつつ、この扱いには文句は言いたい。
「~~~。~。~、※、~~。」
(しようがしまいが結果は変わるまい。時間の無駄じゃ。さて、こやつの準備は終わった。締めに入るぞ)
そう言いながら、老人、魔神アシロスは後ろを振り返り、巨大な水晶を見上げる。
そこには、いつの間にか、顎から頭頂まで五メートル位あるだろう、大きな長髪の髑髏が浮かんでこちらを見下ろしていた。
見た目といい、雰囲気といい、物理的な圧迫感を伴うような恐怖を感じる。
髑髏の暗い口の奥から声が響く。
(承知した。此方の準備も完了だ。さて、向こうの世界での死亡から、狭間への移動、神との会合、この世界への移動と、神界の戦場突破ご苦労だった)
頷くように、一度髑髏ががくんと縦に揺れる。
(我は死の神モルス)
名乗った直後、ぐるんとドクロが真後ろを振り向くと、ドクロの後頭部に美女の顔がついていた。
美しい黒い髪に、優しげな青い瞳、長い睫毛、すっと通った鼻筋と、ややふっくらとした柔らかそうな頬。全く似ていないのに母親を想起させる顔だった。
恐怖は不思議と感じないが、大きさのせいか圧迫感がある。
(そして私は命の女神ウィータ、今から貴方を新しい命を与えます。願わくば、その生が、多くの命を産みだしますよう)
また、ぐるんと反転して頭の裏の髑髏が現れる。
(そして願わくば、満足する死を迎えられるよう祈る)
髑髏が右を向き眼窩に鈍く光る紫の光が此方を見つめる。髑髏が横を見たときに裏側から同時に現れた美しい横顔からじゃ、優しげな視線が向けられた。
髑髏の歯の間と、美女の形の良い唇から、同じ言葉が紡がれた。脳内に直接ステレオは例え完全記憶がなくても忘れなさそうだ。
((新たな生と死に、全ての生と死に、全ての命と魂に、幸あれ))
左右から骨だけの右手、美しい女性の物であろう左手が、いつの間にか音も無く現れ、ゆっくりと迫ってきていた。大きさは、ああ、あの頭のサイズなら腕はこのサイズだろうと納得する大きさだ。
その両手に包まれる刹那、魔神がメイスを両手で頭の上に掲げている様子と、その直上に複雑な魔方陣が幾重にも重なるのが見えた。
両手に包まれ、更に暖かい光に包まれていく。
打ち上げられたり、砲弾になって貫いたり、拳に貫かれたり、そして今現在巨大な骨の手と、美しい女の手に挟まれ、潰されそうになっている不安感や恐怖が、自分の意識と共に小さくなっていく。
(温かい)
それが、意識が途切れる前に。零士が心に思った最後の事だった。
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