敵・敵・敵
勇者杖ええええ
そう。トラックに轢かれたことにより、俺は鋼の男になっていたのだ。
ためしに持っていたナイフで腕を突っついてみたが、突っついた瞬間にナイフが折れた。根元からポッキリと。
こんなことはマンガだけのことかと思っていたが、違ったのだ!
ボロボロになったナイフの柄をぽい捨てするわけにもいかないので、ポケットに突っ込んだところ、ポケットにメモが。そういえばここに来る前着ていた服もそのままだ。しかしメモは覚えがない…
なになに…
能力 鋼漢付与
HP 256/256
MP 64/64
他ステータス 測定不可
なんだこりゃ。RPGのステータス表にしては不完全すぎる…
まあ鋼漢ってのはカッコイイし名前だけ貰っとくか。
さて、俺は今洞窟の中にいる。思ったより明るいが、この中にバケモノがいるというんだから驚きだ。
「キエエエエエヤアアアアアアアアアア!!!!」
みたまんま、の敵がそこにいた。黒い羽、大きな耳、ふさふさの襟(?)…
吸血コウモリだ。そんなことを考えてる瞬間!そいつはは俺に噛み付こうとした!
しかし予想はしていたが、改めて起こるとなんだか申し訳ない気がして来る。
噛み付いた瞬間、さっきのナイフのように歯は砕け、アゴは下がり、肉は落ち、防衛行動を取ろうと思った時にはそいつは元の姿よりも醜くくなっていた。
やれやれ…
ま、そんな調子で俺に向かって来る敵は自爆した。それに、洞窟と言っても歩けるほど広く、わりと一本道めいたところだったので探検というよりハイキングだった。なるほど、王様もお使いを頼むはずだ…
45体目の自爆したバケモノからなぜか持っていた鍵を拾い、洞窟の奥で見つけた訳ありな扉を開け、洞窟より少し薄暗い、岩に囲まれた広間に俺は出たのだった。