緋色の海
人生初の小説です。かなり短いのて軽く読んでください。
綺麗だな。黄金色の空を見てふと『私』はそうつぶやいた。そして、ふくよかな彼女も頷いた。彼女は口数こそ少ないが通じ合うものがあったのだろう。この人には色々お世話にぬった。どんな関係かというと'元カノ'だ。別れたのはつい最近の事、原因は私にある。そう断言できる。些細な事で簡単に壊れてしまう。仕事もそうだった。
私は某有名会社員としと日々の戦場に身を置く『社会人』だった。だったというのは言葉の通りだ、あえて言わなくとも分かるだろう。昇進、昇格そういった言葉に憧れていた頃が懐かしい。あの頃は死に物狂いで勝者になり勲章が欲しかった。誰よりも出来る自信があった。同僚よりも結果を出してきた。そんな時に彼女に出逢った。思い返せば良い思い出だった。嬉しい時、辛い時もお互いに言葉は足らずとも話せる仲だった。しかし仕事に関わらず勝てば官軍負ければ賊軍、よく出来た言葉だ。皮肉にも今の私にピッタリな言葉だ。仕事と恋愛、似て非なるものでも根本的には同じなのかも知れない。
そんな私の目の前に広がる『緋色の海』が『私』をつつみ込む。もうこんな時間か、最近冷える時間が増えてきた。私は帰りの支度をした。せっかくだから大好きなカレーでも食べようか、作るからさ。そう、'元'カノに言った。返事はない。それもその筈車に揺られて眠くなったのだろう。おやすみ。そう言って私はタオルをかけてあげた。そうしたらすんなりと眠りについた。肉はあるし、それも大好物の豚肉。野菜もまだあったはずだ。さて今日は美味しいカレーが作れるぞ。フロントガラスには沈む夕日を背景に'赤い海'が広がっていた。
それを見てただ一言こう言った。'綺麗だな'と。
色んなジャンルを書いていきたいと思いますので、リクエストがあれば少しでも応えたいです。書くペースは比較的ゆっくりなので末永くお願いします。