第51話 奪われた友の座
象形拳48の杮落としに乱入し、華達と別行動に出たショクシュ子と裴多。
目指すは詡王の居る控え室。
ショクシュ子はリベンジを、そしてそれをなす為に協力するのが裴多。二人は控え室を目指して突き進む。
突然の乱入者であったが、警備をするもの達も迅速に集まりだし、ショクシュ子と裴多の二人に襲い掛かる。
しかし、ショクシュ子の行く手を阻む者には容赦しないとばかりに、裴多は天高く飛翔して奥義を繰り出すのであった。
「奥義!双頭鶴化の地駆翔女ェ!」
大道具を搬入する為に10mはあろうかと言う高さの通路にて、天井ギリギリまで飛翔した裴多の双頭による嘴から、勢い良く散弾が撒き散らかす。
裴多は蟷螂拳の華の如く、突き出される前蹴りから大気を穿つ突きを連射。
それは襲い掛かる相手を広範囲に吹き飛ばす、見えない散弾。
裴多もまた、天才達との修行により白鶴拳の覚醒昇華に成功させていたのだ。
「我が友の覇道を遮る者は、何人たりとも容赦しないわよ!この鶴々拳によってね!」
裴多はツルツルさに磨きをかけ、白鶴拳を鶴々拳へと覚醒昇華。
双頭の鶴はショクシュ子を邪魔だてする者を、容赦無く排除しながら突き進むのであった。
裴多の奮闘により体力を温存しながら階段を駆け上り、ついに目的の控え室に到着。
勢い良く扉を開き、モニターの前で立ち尽くしていた詡王と対峙するショクシュ子。遂にリベンジの時が来た。
「待たせたわね!あの時の続き、始めようかしら!」
ショクシュ子の声が控え室に響き渡る。それを聞いた詡王の脳裏に、あの時の凌辱寸前の情景が甦る。
「あの時の続き…そうよね…あの時は邪魔が入ったけど…やっぱりショクシュ子ちゃんは凌辱を…」
虚ろな目をして、上と下の両方から涎が湧き出る詡王の動きが、ピタリと止まった。
詡王の視界に映るのはショクシュ子と、その後ろを守る様に立ち塞がる、あの時邪魔をした裴多の姿。
「ここは私に任せて!ショクシュ子ちゃんの後ろは私が守ってみせるわ!」
ショクシュ子と背を合わせる様に立つ裴多。
詡王の目には二人の姿が友達同士の様に見えるのだった。
『何故?二人は友達同士の様にしているの?凌辱を邪魔した女と友達の様に振る舞うってどういうつもり?ショクシュ子ちゃんと友達なのは、ド変態の私ではなかったの?何故?何故?ワタシニ…リョウジョク…サレルタメニ…キタンジャ…』
詡王の中でドス黒いオーラが渦巻き全身から吹き出ると、それが詡王を覆い一匹の巨大で醜悪なる豚へと変貌させる。
本来であれば自分が立つべき、ショクシュ子の友の座。それを凌辱の邪魔をした裴多に奪われる事により、詡王の中で凄まじいまでの嫉妬心として、禍々しいオーラが膨れ上がるのであった。
そして完全なるオークとなった詡王が襲い掛かる。
しかし、その先にいるのはショクシュ子では無く、凌辱を邪魔して友の座を奪った裴多の姿が。
突然の詡王の奇襲ではあったが、流石は三大天才格闘少女と謳われた裴多。
ヒラリと難なく交わして、詡王を壁へと蹴り飛ばす。
勢い余って壁に激突した詡王であったが、突貫工事の手抜きで出来た壁は簡単に崩れ去り、崩れる壁と共に詡王は舞台へと落下するのであった。
「…ひょっとして、これで決着?」
「んな訳ないでしょ!追い掛けるわよ!」
呆気に取られる裴多と共に、ショクシュ子も舞台へと降り立った。
そして詡王とショクシュ子、二人の世紀の対決が始まるのであった!




