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第11話 ピンクの象



 ショクシュ子が飛行機に乗り込み、荷物から取り出したのは一冊の小冊子。中国象形拳組合「ピンクの象」が毎月発行している、日本語版の小冊子であった。


 これから向かう中国では象形拳の組合があり、中国で象形拳の道場を開くには、この象形拳の組合である「ピンクの象」に属さなければならない。


 つまり、このピンクの象が発行している小冊子で紹介されている最強の格闘家を撃破すれば、象形拳の発祥の地である中国にて、最強の象形拳の使い手という事になる。


 そしてショクシュ子が開いた小冊子に紹介されているのは、ピンクの象を代表する三大天才格闘少女と称される、三人の少女のプロフィールであった。





 最も門下生の数が多く、中国全土にその道場があり、門下生と道場数が一番多いのが、カマキリを模した象形拳である蟷螂拳。

 斬撃を得意とし、触れる物全てを切り裂くとまで言われた恐るべき象形拳である。

 その頂点に君臨するのが(オガミ) (ハナ)

日系の中国人ハーフの少女である。




 蟷螂拳についで門下生の数が多いのが白鶴拳。

 鶴の動きを取り入れ、見るもの全てを魅了する舞から突き出される蹴りは、回避不能の神速の前蹴りと恐れられている。

 美しさと強さを兼ね備えた象形拳として名高い、白鶴拳の頂点に君臨するのが(ツル) 裴多(ペタ)

 白鶴拳の本家十八代目を襲名した、色白の少女である。




 蟷螂拳や白鶴拳と比べると門下生の数はかなり見劣りするが、少ない門下生でありながらもピンクの象にて三大天才格闘少女を輩出したのが熊掌拳。

 熊の破壊力を模した掌底打ちは、象形拳最強の破壊力と称されている。

 そんな熊掌拳にて最強の破壊力を持つのが、黄ばんだ白熊の着ぐるみを着こなす(クマ) 李羅(リラ)

 熊掌拳最強、即ちピンクの象にて最強の破壊力を誇る少女である。




 拝 華、鶴 裴多、熊 李羅、この三人が中国象形拳組合であるピンクの象を代表する、三人の天才格闘少女である。


 三人ともショクシュ子と同じ満16歳。同じ時代に同じ天才格闘少女が現れるとは、まさに運命の神が最強の格闘技を決めんとしているのでは無いだろうか?



 ショクシュ子にとってこれが運命かどうかは分からない。ただ、この三人を撃破しないことには最強を名乗れないと、格闘家としての本能が告げていた。


 ピンクの象に属する象形拳は全部で34にのぼり、門下生の数は三千万人を軽く超え、東京の人口の三倍以上とも言われている。

 その全ての門下生を撃破して最強を名乗ることなど、時間の無駄だ。

 最強の三人を撃破し、あとは虱潰しに名のある格闘家を撃破すれば、自ずと最強と認められる筈。


 そのためには他の格闘家に邪魔されないよう、気付かれることも無く、迅速に三人を撃破するのが望ましい。


「さて、最初のターゲットは…」


 ショクシュ子が開いたページには、白鶴拳の鶴 裴多の、美しい鶴の型を決めた写真が掲載されていた。





 これから始まる激闘の数々。それを予感してか、ショクシュ子の膝は武者震いでカタカタと音をたてる。


 ショクシュ子はそんな自分の足を触手化させると音は止み、ニュルニュルと足を蠢かし始めた。

 そんな触手化した足を見て、ショクシュ子は期待で胸を膨らませるのであった。



 負けることなど微塵と考えていないショクシュ子。

 ただ、自らの触手で強敵を責める事だけを夢見て、一路中国へと向かうのであった。



第1章 完



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