表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕じゃダメなの?

作者: シルフィア

私はまったくそんなつもりはなかったのですが、友達に見せたらこれはBLだといわれました。

苦手な方はご遠慮ください。

僕じゃ、ダメなの?


僕の両親は早くに他界した。

でも、寂しくなんかなかった。

だって、僕には兄さんがいたから。


世界でたった一人の僕の肉親。

僕が世界でたった一人無条件で信頼できる人。


あなたの側にいるのは僕じゃ、ダメなの?


「誠、彼女は新郷美菜実さん。俺、彼女と付き合ってるんだ」


兄さんはある日、彼女って言う人を連れてきた。

黒いロングヘヤーにウェーブが掛かった髪が印象的な美人さんだった。


「そっか、おめでとう、兄さん。僕はてっきり兄さんは一生一人身なのかと思ってたよ」


「失礼な奴だな~」


彼女は確かに綺麗だったけど、僕の兄さんを取るなんて……


気に入らないな。


「誠くん?」


彼女は目を大きく見開いて僕を見ていた。


「うん、その顔だよ。僕の兄さんを取るならそれくらいの綺麗な顔をしてくれないとね」


僕は微笑んで頷いた。

でも、彼女は僕に何も言うことは出来なかった。


「誠……美菜実が―――」


「そっか、残念だったね。大丈夫、兄さんはカッコいいんだから、すぐに新しい人が見つかるよ」


僕がいるよ。

誰が兄さんの下から去ったって、僕はずっと兄さんと一緒にいるよ。


それからも、兄さんは半年に一回くらいのペースで新しい彼女を連れてきた。

でも、その彼女は一ヶ月もしないうちに兄さんの元から離れて逝く。


誰もが、首から血を流して殺されるのだ。


「どうして……どうして俺ばっかり」


「大丈夫だよ、兄さん。僕がいるから、ね? 兄さんは一人じゃないよ」


僕は兄さんに気付かれないようにして笑った。

これで、兄さんは僕の物。


「誠、彼女は友波薫さん、俺の彼女なんだ」


兄さんはまた懲りずに彼女を連れてきた。

もちろん、彼女は僕の手に掛かってしまったけど―――


「誠、お前何を……」


彼女を始末した後、すぐに兄さんが現れた。

あの女、死ぬ間際に短縮1で兄さんの携帯に電話をかけたのだ。


「嗚呼、兄さん。見てしまったんだね」


「だから、お前はなにをしているんだ!」


「何って、兄さんに言い寄る邪魔な虫どもを退治してるんじゃないか。見て分からないの?」


兄さんは絶句して立っていた。

僕がスッと近寄ると兄さんは肩をすくめた。


「大丈夫、兄さんを殺したりしないよ。ただ……少し眠ってもらうだけ」


兄さんの首の後ろを鉈で叩くと、すんなりと眠ってくれる。



「兄さん、これからはずっと、一緒だね」



誰もいない2人だけの家で

僕と兄さんは

一生2人だけで

ずっとお互いだけで



「兄さんには僕だけいれば―――」


痛かった。

何かが刺さったような痛みだった。


「誠……俺はただ、お前に新しい家族を作ってあげたかったんだ。でも、それが間違いだったんだな。だから、一緒に逝こう。彼女達が、きっと待っている。地獄にでも天国にでも一緒に―――」


僕が最期に聞いたのは、兄さんがそう言う声と、ぐさっと何かが刺さる音



僕と兄さんは微笑みながら

永遠と言う闇へ落ちて逝った。

不快にならない程度に読んでいただけたら本望です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ