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3:あの日

 晴秋の両親が交通事故にあったあの日、病院の廊下で独り憔悴しきった晴秋を見て、オレは心に決めたことがある。

 ひとつは、こいつを独りにしないこと。

 ふたつめ、こいつの大切な人間になること。

 みっつめ、そのためにはどんな代償を払っても構わないと思うこと。

 そんな想いを込めて、ぼんやりと立ち尽くす晴秋を抱きしめる。

 晴秋は緊張の糸が切れたように嗚咽混じりに泣き出した。

 

 葬式のあと、晴秋はどんどん塞ぎ込む事が多くなった。学校にもまともに通わず、ひたすら花壇をぼんやりと眺めている。

 形だけの連絡プリントを晴秋に渡しに行っても、それに全く興味を示さない。

 

 ああ、誰よりも側で、お前の大切な人になれれば、と想う。

 そう、家族のような。

 でもそれは少し違う。

 もっと、強い想い。

 オレはもどかしい気持ちを抱き続けた。

 それは、今も変わらない。


 …オレが、お前のコスモスになりたいよ。


 全部背負うから、一緒にずっといるから。


 毎年、独りで種子を蒔かないで欲しい。その隙間に、オレを入れさせて。


 種子を蒔く時の晴秋は悲しそうな、でも秋を楽しみにしているような、そんな顔を独りでする。

 

 独りになんて、絶対にさせないから。その一言が、どうしても言えなかった。


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