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女運が悪すぎるからと言って兄妹関係を捨てて婚約者になれですって! 今さらそんなこと言われてももう遅い!

初めてのざまぁ企画作品です。よろしくお願いいたします。

「セリ、お前との婚約を破棄し、俺はキャロルと婚約する」


 私の前にいるのは背が高くそしてスリムで顔もハンサムなお兄様。そして横にいるのは婚約者と思われる超絶美しい公爵令嬢です。


「どうしてですか? アダム王子?」


「ええい、アダム王子と呼ぶな! お前は俺の実の妹だろうが!?」


「そうですよ。でも実の妹でもお兄様であるあなたのことは愛しているんです。世界で一番好きなのです!」


「妹の癖に俺のことを愛しているとかない! とにかく俺のことは諦めろ! いいな、妹のセリよ!」


 諦めきれない私は地面にジタバタ、ジタバタと駄々をこねます。


「嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だー! 私はお兄様と婚約したい! 私はお兄様と婚約したい! 私はお兄様と婚約したいー!」


「ああーもう、うるさい! これでは俺は彼女との正式な付き合いが出来ないではないか!」


「何でよ、私はお兄様のことが世界で一番大好きなのにどうしてそんな女のことが好きになるわけ! 私のことを愛してよ、お兄様!」


「全く、困った妹だ! 俺はとにかくキャロルと婚約する、いいなセリよ!」


 ムカッときた私はすぐさま立ち上がり、お兄様の婚約者に早歩きで近づき顔を間近で見てやった。


「やっぱり、私の方が可愛い。こんな女じゃお兄様にはもったいないわ。やっぱりお兄様の婚約者に相応(ふさわ)しいのはこの私よ!」


「セリ、止めろ! とにかく俺はこのキャロルと婚約する! 分かったら引き下がれ!」


「お兄様の分からずや! 私じゃないとダメって言う日が絶ーっ対に来るから!」


「訳の分からないことを言う妹だな! とにかく俺はこのキャロルと婚約するからな!」


「そう、分かったわよ! その変わりお前とはもう赤の他人だからな!」


 お兄様を睨み付け怒った私はそう言って出ていってやりました。お城から……。でも何処に行こう。何処にも行くあてないんだよなって思い街中をトボトボと歩いていると私は石ころに躓いてしまった。


 ついドジをしてしまったなと思ったら「大丈夫?」と声をかけ手を差し伸べられました。誰だろう? 私の目の前には何やらスマートな体型の童顔の顔をした男の子がいました。あっ何か可愛い。お兄様よりタイプかも。


 私はお兄様のことよりもこの男の子に夢中になってしまいました。


「う、うん大丈夫」


「そう、良かった」


 彼の笑顔に私の心は動いてしまいます。こんな恋のドキドキ感、お兄様以来かも。私は彼の顔をずっと見つめてしまいます。


「あ、あの…」


 こんなところで何をしているんですか? と聞きたい私ですが心臓の鼓動が大きく大きく鳴ってしまい言葉にならない私。


「もしかして王女様ですか? エリア王国の…」


「ど、どうしてそれを!」


「恐れ入りました。僕の名はクルーエル。キャロルの弟です」


 えっ? あの女の弟? そう、凄くタイプだったけどお兄様を奪ったあの女の弟って聞くとちょっと幻滅したかも…。


「どうしました? 僕、失礼なこと言いましたか?」


「えっ? いやいや、何でもないよ」


「それとも姉上様のことですか?」


「そ、それは…」


「やっぱり、そうですか」


「な、何?」


「アダム王子に姉上だけは止めておけって言いにエリア王国に行こうとしていたんですけど…」


「ど、どうして?」


「姉上は盗み癖が激しい上にだらしがない。しかも何かあったらいつも責任逃れをする。多分、婚約してもすぐに別れてしまうと思う。アダム王子にはもっと相応(ふさわ)しい女性がいると思っているけどね。僕には」


 あの女…性格悪かったんだ、最悪! 良くそんな女性を婚約者にしたわね、お兄様!


 てことはクルーエル君も性格悪い? そんなこと聞きたいけど聞けないな。なんて思ってしまう。でも何も知らなくて後悔なんてしたくないからついつい聞いてしまった。


「あの…クルーエル君は性格悪いの?」


「僕、さあ…どうだろう? なんで?」


「じ、実は…あなたと…付き合いたい」


「へっ? 僕と」


「う、うん。ダメ? 私、タイプじゃない?」


「うーん。いや、そんなことないよ。可愛いよ、君は?」


「本当、ありがとう。私、セリって言うの。ごめんね、自己紹介遅れちゃって」


「全然いいよ。何か姉上よりもよっぽどマシだと思う。セリさんは」


 セ、セリさんなんて言われて恥ずかしい…でもちょっと嬉しい気持ちもある。だってこんな童顔で可愛くてこんな素敵な男の子が私の彼氏だったらと思うとワクワク感が止まらない。


「もちろん、クルーエル君と付き合えるなら喜んで付き合っちゃう」


「本当、こんな僕でいいの?」


「もちろん! それとあのね、クルーエル君。良かったら私を住まわせて欲しいなって…こんなこと言うのダメ?」


「えっ、なんで?」


「いえ、実は私、お兄様のこと愛していたんだけど、私のこと嫌いだって言ってそれで喧嘩になって家出してきちゃった。だからクルーエル君。私をあなたのところに住まわせて欲しい…」


「今もお兄様のこと愛してる? セリさんは?」


「ううん。もう良い。お兄様のことは諦めた。これからはクルーエル君が私のそばにいてくれたらそれで良いから」


「えっ。ちょっとセリさん」


 私はクルーエル君に抱きつきました。ちょっとの間、彼を抱きしめていると暖かい気持ちになりました。これが永遠だったらいいのに…しかし時間は動いているのでそうはいきません。


 私とクルーエル君は住んでいる館に一緒に向かいました。すると付いたのは中々広い館…。彼は事情を言ってくれて広い広い館に私を住まわせてくれました。好きなように使ってもいいとのこと。私はクルーエル君に感謝しました。


クルーエル君は剣士になるために師範と剣術の練習をしているとのこと。誘われたので見に行きました。彼は格好良くて規律もいいし、性格もお姉さんのキャロルさんとは正反対なんだなっと思いました。


 クルーエル君は師範と剣術で良い試合をたくさんしていたけど、まだまだ修行が足らないみたい。けど、それでも彼の姿は凄く格好良かった。これからは彼は私が支えて行こう。そう思っていたら十年後のこと…クルーエル君と結婚まで済ませていた時にお兄様から手紙が。開けてみるとこんなことが書かれておりました。


 妹へ。兄妹(けいまい)関係を捨てて俺の婚約者になって欲しい。あれから俺のもとに来る女、来る女、全てが悪女がよってきて誰を信じたらいいか分からない。エリア王国がボロボロなんだ。俺の婚約者も一向に決まらない。だからセリ、お願いだ。エリア王国に戻ってきて俺と婚約してくれ、頼む。


 なんて手紙が私のところにきました。でももう私は彼と結婚しているし、お兄様がどんな状態になってようともう私には関係ない。私はもうお兄様とも赤の他人だからと言って縁を切ってるし、興味ないから。私は兄に手紙を書いてやりました。


 残念だったね。もっと早くから私と婚約しておけば良かったのに。あの時、言ったよね。私じゃないと絶対にダメだって言う日がくるって。でももう遅いよ。私、もう結婚してるから。じゃあさようなら。


 って。あれから毎日お兄様の手紙が来たけど、ゴミ箱に捨てて処分してやりました。


 そして私は旦那クルーエルを一生の妻として支えていきました。


           END


初めてざまぁ企画作品書きました。ざまぁらしくなっていたら良いですが。どうでしょうか?

m(_ _)m 最後までお付き合いありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「ざまぁ企画」から拝読させていただきました。 ざまぁでもありますが、もう遅いでもありますね。 アダム王子、そこまで女運が悪いのは、行動に問題があるのでは。
[良い点] 失恋してすぐに出会った男の子にグイグイいくセリちゃん、強い! 何だか笑ってしまいました。面白かったです。 [一言] この度は企画にご参加いただき誠にありがとうございました!
[良い点] タイトルと設定が面白くて、常識破りな感じで混乱させられて興味をひかれます。その分、冒頭の状況を理解するのに少し思考を要しました。お兄と婚約すると言ってきかないお姫様が愛らしく思いました。兄…
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