そして3
投稿初心者です。三人で相談しながら書いてますので、ごった煮状態かもしれませんが、生温かい目で見守って頂けると嬉しいです。
更新は、土曜日にまとめて十話前後を投稿させていただく予定ですが、他に良い方法が見つかりましたら、また報告させて頂きます。
よろしくお願い致します。
「いらっしゃい!さぁさぁ、こちらへどうぞ。玄関で靴を脱いで、こちらのスリッパに履き替えて下さいね。」
引き戸を開けて、廊下を通る時点で違和感に圧倒されていた二人だったが、玄関のドアを開けた時点で、口をあんぐり開けて固まった。
「な、何だ!これは!」
右手にある大きな窓ガラスと、その先にあるベランダに驚き、更にその先にある大自然の絶景に固まった。
ゴドルフィは、窓ガラスを開けてベランダへと飛び出し、眼下に広がる森林を見て、遠くに見えるオルロイ川と落下した水煙に覆われるフォルソル滝、更にその先に広がる大平原を見て絶叫を上げた。
「儂は、儂はここに住みたい!」
案内していた彩芽は、その言葉に絶句し、同伴していたケビアスも、それはないだろと両手を広げた。
何とか宥めすかして部屋へと戻し、テーブルに着席させると、その興奮は収まったが、別の興奮に支配され、ジュルルとヨダレを吸い込む音が周囲に響いた。
「本来は、箸という二本の棒で食べるのですが、慣れてないと使いにくいので、フォークも準備してあります。まず、この容器に入れてある卵を溶いて下さい。」
それを聞いて二人は少し嫌そうな表情を浮かべた。
「細菌汚染や食中毒を心配されているかもしれませんが、日本の衛生管理は世界最高です。加えて私が収納庫に保存しましたので、万が一細菌が残っていたとしても、全て殺菌されています。安心して食べれますよ。」
瑠夏の説明でも、十分に納得していない二人だったが、最初の一枚の調理した松阪牛を容器に入れてあげると、渋々かつ恐る恐る口にしたが、一口食べてその顔は激変した。
「何だ!この料理は!こんなに美味くて柔らかい肉食べたことがないぞ!しかも、この生の卵がその肉に絡みついて、絶妙な味に変えておる!」
その後、二人の箸は全くとまることがなく、用意してあった三キロの松阪牛と九条ネギと糸蒟蒻、椎茸と焼き豆腐、白菜と春菊とえのきは、瑠夏と彩芽が一口にすることもなく消え失せた。
「もう無いのか?寂しいのう?」
というゴドルフィの前に、白と白の中に様々な透き通った粒を含むニつの少し湯気がたったものを盛った器が出された。
「何だこれは?儂はもっとさっきの肉が食いたいのう。」
と愚痴るゴドルフィの傍らで、既に学習したケビアスが、小さなスプーンでそれを口に入れた。その瞬間、彼の顔に幸せの感情が広がり、両手を頬に添えた。
それを見たゴドルフィが慌ててスプーンをそれにぶち刺すと一つを一気に口に入れた。
「うゅ、うゅまい!」
そう言って、夢中で残りを食べきると同時に頭を押さえた。
「あ、あ、頭が痛い!頭が痛いぞ。」
「そんなに冷たいものを一気に食べるからですよ。欲張りすぎです。」
ーーーー
そんなかんなで、楽しい食事時間が終わり、瑠夏はテーブルの上に、長さが五十センチほどの二つの群像の彫刻を取り出した。
一つは楽しそうに勉強している火の神と水の神、大地の神を少し離れた所から寂しそうに見ている知の神の構図で、もう一つはしゃがみこんで泣いている知の神を、三人の女神が取り囲んで慰めている群像だった。
「ケビアスさん、これを受け取ってもらえますか?頭の中のイメージで造ってみましたが、これは神殿の中に飾るより、あなたが持っているほうが相応しいと思えるんです。」
それを見た彼の目は見開かれ、一瞬にして涙が溢れ、その姿が女性のものへと変わった。
「ぜひ、ぜひともお預かりさせて頂きたいです。でも、一つだけお尋ねしたいことがあります。この瞬間は私の時間の中で、一番の思い出であり、大切な瞬間です。私が知る限り、その場を知っているであろうお方は一人しかみえません。どうしてあなたは、まるで見たことがあるかのように、それを再現できるのですか?」
瑠夏は黙って、寂しそうに首を振った。
「判りません。判りませんが、頭の中に見たこともない景色や瞬間が、時折り堰を切ったように溢れてきます。これもその中の一つです。」
嘘ではなく、それが真実だということは、ケビアスにもすぐに理解できた。
(ケビアス、いやミルヴァよ。お前の思うように、彼の中には奴がいる。ただ、その力や存在は限定的であり、かなりの制限を受けたものであるのは間違いない。奴がその全てを取り戻すのには、まだかなりの時間が必要だということだろう)
ケビアスがゴドルフィを見上げると、彼は黙ったまま頷いた。
「ということで、儂がここに残るからお前は心配するな。」
「何を言ってやがるんだ!このクソ爺! 」
瑠夏や彩芽そっちのけで、不毛な争いが始まっていた。
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