遅かった帰宅
投稿初心者です。三人で相談しながら書いてますので、ごった煮状態かもしれませんが、生温かい目で見守って頂けると嬉しいです。
更新は、土曜日にまとめて十話前後を投稿させていただく予定ですが、他に良い方法が見つかりましたら、また報告させて頂きます。
よろしくお願い致します。
その晩ミレイが帰ってきたのは、夜もとっぷり更けた十時過ぎだった。
心配になって洞窟の入り口まで様子を見に来ていた瑠夏は、白夜に跨って崖を駆け上がってくるミレイを見て、ホッとため息をついた。
「白夜も念話できるんだから、近くまで来たら連絡してくれれば良いのに。」
と小さくつぶやきながら部屋に戻って、ミルクを入れたカップをチンした。
「ただいま…」
玄関に入ってくるミレイに、一言もの申してやろうと思っていた瑠夏は、彼女の血の気の引いた真っ白な顔色を見て、言いかけた言葉を飲み込んだ。
「大丈夫か?何があった?」
(今は、そっとしてやってほしい。事情は後で俺が説明する)
瑠夏の言葉に、白夜が念話で答えて、ミレイは何も反応することなく、そのままお風呂へと入っていった。
普段からは考えられないミレイの行動に、瑠夏はすかさず白夜に尋ねた。
(いったいどうしたの?何があったの?)
少し悩まし気な顔をして、白夜が答えた。
(今日、トリシーノ瀧を更に遡ったアマント川河岸にある古代遺跡を調べに行くって言っておいたと思うけど、そこまでは良い?)
瑠夏は黙ったまま頷いた。
(途中の魔物のレベルは、オークジェネラルやジャイアントフォレストボア、コボルトキング程度の、そこそこの強さを持つものしかいなかったので順調に進んだんだが、遺跡手前でエルフや人族に連行されるように歩くハーフリングの集団を見つけたんだ)
そう伝えながら、白夜は苦虫を噛んだような表情を見せた。
(すぐに飛び出そうとするミレイを引き止めて、俺達は察知されないように、一キロ程の距離を開けて追跡すると、奴らはこちらが考えていた通り古代遺跡へと入っていった)
そこまで伝えると、白夜はトレイのお気に入りのスポーツ飲料を口に含んだ。
(遺跡に近づいて樹上から状況を確認すると、遺跡を改修して、砦と表現できるようなものが出来上がっていて、そこには百人を超えるエルフ族、人族、ドワーフ族、ハーフリング族、獣人族がいた)
(もしかして、ハーフリング族は奴隷扱いされてたの?)
(それだったら、こちらの想定内だったが違った。遺跡に到着したハーフリングは、勝手に各々行動し始め、自分の持ち場であろう所に散らばっていったんだ。俺達が見たのは遺跡に向かうハーフリングを護衛する一行と言えば良いんだろうか)
その言葉に瑠夏は驚きを隠せなかった。
(えっ?彼らは敵対してたんじゃないの?)
(あぁ、俺達が思い描いた状況とはかなり違っていた。それに、むしろその遺跡内で奴隷扱いされていたのは、獣人達だった。彼らは武器を持たされて、強制的に遺跡の中に開いたダンジョンと思われる巨大な穴へと追い立てられていた)
(はぁ、獣人は人族と一緒にハーフリングや幻獣の人達と戦っていたって聞いてたけど)
瑠夏の驚きは戸惑いに変わっていた。
(その通りだ)
(どういうことなの?何があったの?仲間割れ?)
(判らない…しかし、その光景を見て、俺以上に困惑してしまったのはお嬢、ミレイだった。命賭けて戦っていた相手と、自分が護ってきた仲間が手を取り合って活動している。すぐに理解しろというのも難しいと思う)
(そうだよね。エルフなんてお父さんの仇以外の何ものでもないもんね)
そうこうしているうちに、ミレイがお風呂から出て来た。
「今日は疲れたからもう寝るね。」
力ない言葉と表情で寝床へ向かおうとするミレイに、
「少し冷めてしまったと思うけど、レンジに温めたミルクが入ってるから、それくらいは飲んでおいたほうが良いよ。空きっ腹だとなかなか寝つけないと思うから。」
と言うと、
「ありがとね。」
という言葉を返して、レンジのミルクを取り出して部屋へと入っていった。暫くすると、押し殺したような嗚咽が扉の向こう側から聞こえてきたので、瑠夏は暫く台所で時間を潰し、彼が寝床へ向かったのは深夜二時を超えていた。
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