秋葉原電脳学園食堂
投稿初心者です。三人で相談しながら書いてますので、ごった煮状態かもしれませんが、生温かい目で見守って頂けると嬉しいです。
更新は、土曜日にまとめて十話前後を投稿させていただく予定ですが、他に良い方法が見つかりましたら、また報告させて頂きます。
よろしくお願い致します。
「いやぁ、キミも忙しい身体なのに、待たせてしまって申し訳ないね。」
その言葉を聞いた食堂のテーブルで、つまらなさそうに自販機のコーヒーを飲んでいた男が答えた。
「とんでもない。現在ゲーム界で熾烈な獲得合戦を引き起こしている、新進気鋭の美人サウンドクリエイターの御影さんと比較すれば、俺なんて百把一絡げの雑魚ですよ。」
その言葉を聞いた女性は眉を寄せて、不機嫌そうに応じた。
「中丸君、僕は、才能のある人間が自らを貶めるような発言をするのは好きではないね。これからも続くなら、今回のことは相談する相手を間違えたかもしれない。」
それを聞いて慌てたのは男の方だった。彼女が一般的な世間の評価以上に自分に厳しく、相手にもその水準を要求し、応えられなければいともたやすく関係を断つことのできる人間であることを思い出していた。
「すまない。最近受けた仕事のスポンサーが、もう完成も間近い頃になって突然予算を削るなんて言い出したもんだから、少しやさぐれていた。それが態度に出てしまった。本当に申し訳ない。」
そう言って男は素直に頭を下げ、女はそれを受け止めた。
「で、俺になんか用があるから連絡してきたんだろ?お互いに忙しい身だから、早速本題に移ろうぜ。」
男の言葉に頷いた女は、それに応じて早速パッドを操作し始めた。
「今、僕は卒業制作に相応しい企画を探している最中なんだが、なかなか相応しいものが無くてね、どうしたものかと頭を痛めていた時にBGMの依頼があったのがこの動画なんだ。」
「卒業制作か、確かに有力どころのCGクリエイターとかアニメ関連の奴らは、業界の連中に捕まって紐付きのが多いから、卒業制作に協力してもらうにしても、中途半端になりそうだし、俺も実写でやるしかないかと思ってたからな・・どれどれ」
中河が覗き込んだ画面には、『アストレア(ASTRAEA)』という題字が浮かんでいた。
確実に初心者や素人が作ったと思われる動画であったが、そこに出てくる素材は、どれもこれも作り込まれており、実物と違わないような緻密で精細なものとなっていた。長さとしては十分程度の短いものであり、しかも三本しかアップされていなかったので、さして苦痛もなく鑑賞し終わったが、中丸の頭には不満の感情が溢れていた。
「CGの腕は化け物クラスだが、その素材を全く活かせてないな。これこそ宝の持ち腐れ、猫に小判だよ。うぅ〜、この素材使わせてくれないかなぁ、俺なら世界をあっと言わせるような画像にすることができるのに!無茶苦茶腹が立つ!」
「やはり、キミもそう思うか。僕もそうなんだ。この動画に使用されているBGMは依頼されて僕が気軽に制作したものなんだけど、これだけのCGを作ることができるのなら、それにもっと相応しい音楽を合わせる必要があるはずだし、動画編集の稚拙さを見ても、全く勿体ないと、僕も最初はそう思ったんだ。」
「最初は?」
御影の言葉に思わず中丸が聞き返すと、彼女は三番目の動画を早送りして、ある画面を一時停止し、そこをズームアップさせたものを中丸の前へと置いた。
「キミは、これをどう思う?」
御影は、先程停止させた動画を拡大したままコマ送りするように再生していった。
「な、なんだ、これは!」
「やっぱり気づいたみたいだね。僕はこの動画を自宅の百五十インチモニターで見ていたんだけど・・」
「百五十・・」
「どうかしたかい?」
「気にしないでくれ、続けてくれ。」
「魔物の口が血で汚れているのは、リアルを追求するということを考えれば矛盾はしない。ただ、背後にある草むらから伸びている人の腕と、その周辺の血溜まり、そこまで作り込む必要があるのかどうかが僕には判らない。更に言えば、この向かってくる魔物の口をよく見てほしい。」
更に魔物の口に焦点が合わされて拡大されると、その歯の隙間には肉片が挟まっていた。
「これは絶対に必要ないだろ!」
「そうだね、ここまで作り込む理由は全く無いし、歯の隙間なんて考えもしないと思う。」
そこまで言葉にして、中丸の口は重くなり、覚悟を決めたように口を開いた。
「実写ということか。」
「奇遇だね。僕も全く同じ意見だよ。」
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