ナルシスラ城2
投稿初心者です。三人で相談しながら書いてますので、ごった煮状態かもしれませんが、生温かい目で見守って頂けると嬉しいです。
更新は、土曜日にまとめて十話前後を投稿させていただく予定ですが、他に良い方法が見つかりましたら、また報告させて頂きます。
よろしくお願い致します。
「今、私に入った情報ですと、一時間ほど前に、西北部の国境から二十キロ離れた所にあるソリナバの街がアンデッドの軍勢に襲われたそうです。」
「「何!」」
「何だと!警備隊は何をやっているんだ!」
激怒する議員連中の顔を見渡し、ケビアスは更に言葉を続けた。
「街の門を開けさせたのは、その国境警備隊のメンバーだったようです。彼らもグール化したようですが、どうやら魔石を持つ人間も上級種になるのは間違いないようですね。」
「そんなことは、どうでも良い!軍隊はもう派遣したのか?」
「ここでの対応が定まっておりませんので、まだ北部城壁大門の前に待機中です。」
「何を悠長にしている!早く生存者の救助に向かうべきだ!」
興奮する議員を制して、ケビアスは言葉を続けた。
「ソリナバには、既に生存者は一人もおりません。三十歳以上の住民は、魔石ごとグール達に喰われ、三十歳以下の住民は男女、大人子供問わず、全員連行されたようです。」
「どういうことだ?奴らは狩りに来たのではないのか?奴隷狩りか?」
「いえ、奴隷だとは考えられません。食糧なのだと思います。」
「ワァーハッハッハッハッ!」
突然会場に、これまで沈黙を貫いていたアルソルト三世の豪快な笑い声が響いた。
「死人の王も面白いことを考えおる。おそらくそれは牧場とか養豚場に近い物を作るつもりなんだろう。奴らがエルフ王国の領土を占領して、一番に発生するのは食糧問題だ。片っ端からアンデッドを増やしていけば、その数はねずみ算以上の増加を見せるだろう。食糧を外に求めれば、当然我が国とは戦争になる。こちらも馬鹿ではないから近接戦などは度外視で、遠距離からの一方的な攻撃を優先するだろう。違うか?ケビアス。」
「その通りでございます。近接戦を避けることは、グールによる汚染を避けるために重要な手段と言えます。灰などによる軽度の汚染ならば浄化魔法で対処できますので、それが最良の手段だと。」
「そういうことだ。まだ十分な兵力が育っていない死人の国では、それは致命的になりかねん。故に、我らと全面戦争にならぬように食糧を外に求めず、自国で賄おうとしているのだろう。」
「しかし、人を食す為に人工的に増やすとは、人は牛や豚ではないのですぞ!」
「それこそ偽善!我らとて新大陸で暮らす魔族を狩って、魔石を確保しておるではないか。奴らも主張するぞ、我らは牛や豚ではないと、違うか?我らは死人と同類と呼ばれても仕方がない、罪深い存在なのだ。だからといって、魔族狩りをやめるつもりなど髪の毛一本ほどもないがな。むしろ死人の国のように魔族をある程度纏めて餌をやり、数を増やして魔石の確保を容易にすることも考慮するべきかもな。」
そう言って、アルソルト皇帝はまた大きな声で笑った。
「もしも炎魔法や氷魔法の魔導師が足らないと言うなら、それこそ魔臓を持つエルフやドワーフにその特性を持つ精霊の核を埋め込めば、強力な魔導士が誕生するのではないか?技術庁の担当大臣はどう考える?」
その王の問いに、ハーフリングのキュシュア技術大臣が応えた。
「魔石を人に埋め込む技術を応用すれば可能だと考えます。元より火魔法や水魔法の素因を持つ子供であれば、成功する確率は高いと考えます。」
「だそうだ。サリテューユ王、ドワーフ王国のガルバ王よ、もちろん協力してくれるよな。」
「もちろん協力させてもらう。」
と答えたサリテューユ王を睨みつけながら、ガルバ王も渋々頷いた。
「帝よ、本気ですか?」
ケビアスの睨みつけるような視線も気にすることなく、アルソルト皇帝は口角を上げながら低い声で応じた。
「不満か?ならば、お前は参謀の座に相応しくない。今この場でその職を解く、帝の考えを実現するために奔走することこそ参謀の役割である。ただの一兵卒に戻るが良い。」
ケビアスは、一瞬鳩が豆鉄砲を食らったような表情を浮かべたが、すぐに呆れたような顔へと変わり、手にしていた資料をテーブルの上に置いた。
「帝よ、あなたは変わられた。虐げられる人族を何とか一人でも救おうと足掻くあなただからこそ支えようと思い、共に歩んできたが、ここまであなたの成してきたことは、私の描いた世界と全く異なる方向を向いている。私は間違っていたようだ。」
そう語り、扉を出ていこうとしたケビアスを警備兵が槍を光差して止めようとしたが、その槍と扉はあっという間に灰へと変わり、彼の姿は空気に溶け込むように消えていった。
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