決着
モンスターシードを三本打ち込み、魔人化をしたマイケルであったが、ジェイコブと同じように姿形は大きく変わらなかった。ただ少し体が膨張した程度である。
「お前もエミーが作った特別製なんだろうがな、俺も部下共に作らせた特別製の体なんだ」
マイケルは聞かれてもいない事をペラペラと喋る。
元々お喋りではあるし、モンスターシードで精神が高揚しているのもあるのだろう。
「俺は、俺自身が完璧だと思っているからな。体を変化させる必要はないんだぜっ!」
台詞を言い終わるより前に、マイケルはジェイコブへと拳を突きだした。
ジェイコブはその拳を避けながら、マイケルへと拳を返す。
だが、マイケルもまたそれを避ける。
「どうだ、やるもんだろ?お前達ばかり喧嘩していたから見せる機会がなかったんだけどよ」
マイケルは軽快なステップを刻みながら、拳を繰り出し続けた。
「そうだなっ!」
ジェイコブもその拳に答え続ける。
「流石にやるな」
拳のみで行われる殴り合いは、まるで喧嘩をしているようであった。
殴り合いではあるが、互いに拳をギリギリで避けており、膠着状態が続いた。
「子供の頃なら負けてたかもな!」
しかし、ふとした瞬間に、一発、ジェイコブの拳がマイケルの顔面にめり込むと、連続してジェイコブの拳がマイケルにヒットする。
「この野郎!」
マイケルも負けじとジェイコブを殴り返し、その拳をジェイコブは、顔面で避けることなく受ける。
だが、ジェイコブはびくともせずに、マイケルを更に殴り返した。
「ぐあっ!」
そこからは殴り合いではあるものの、一方的にジェイコブがマイケルを殴り続けるような形になる。
「くっそ!」
マイケルは殴り返している物の、その拳に力はなく、ジェイコブの体が揺らぐ事すらない。
そのため、どんどんとマイケルは後退して行き、最後にはフロアの壁に激突してしまう。
ジェイコブからの激しい攻撃に、マイケルは立ち上がる事も出来ずに、ただ壁を背に項垂れるだけであった。
そんなマイケルに、ジェイコブは容赦することなく、拳を握りしめ飛び掛かる。
ジェイコブの拳はそのまま振るわれ、静寂しているフロア内に一際大きな音を立てた。
だが、その拳はマイケルの横の壁を砕き、大きな穴を空けただけであった。
マイケルはその拳に、驚いたわけでも、怯えたわけでもない。ただ怒りだけを感じた。
しかしジェイコブは、そんなマイケルを置いて、踵を返して歩き出してしまう。
「何やってんだよ!戻って来い!止めを刺せよ!」
だがそんなことを許せないマイケルは、壁にもたりかかり、座り込んだまま怒鳴る。
「おい!ジェイク!」
しかし、マイケルがどれだけ叫ぼうとも、ジェイコブは返事はおろか、振り向くことも、立ち止まることもしない。
「どこ行くんだよ……待てよ……」
マイケルは立ち上がると、おぼつかない足取りで、無言で去ろうとするジェイコブの背中を追いだした。




