再会
100階のフロアは、驚くほど何もなかった。
物はおろか、壁の仕切りさえもなく、ただのだだっ広いだけのフロアである。
と言っても照明だけはついており、ジェイコブが破壊した場所以外は、しっかりと明るかった。
そのフロアに、パチパチと手を叩く音が鳴り響いた。
その拍手をしている人物が誰かは、ジェイコブには考えるまでもなかった。
ここでジェイコブを待っているのは、マイケルだけなのだから。
「派手な登場だなジェイク。ちょっとこれは予想してなかったぜ」
拍手をしながら、マイケルはジェイコブへと近づいてきた。
その表情は、心底嬉しいという感じの笑顔であった。
「ようマイク。久しぶり」
ジェイコブは、マイケルに会った時に何を話そうかとか、どうしようかとか、そんなことは考えていなかった。
その中で、咄嗟に出て来た言葉はこれであった。
実際には、ジェイコブからすれば、久しぶりと言うほどの時間ではない。
だが、あまりにも色々あり過ぎて、そう感じてしまう程であったからである。
「それは俺の台詞だ……俺からすれば10年振りだからな」
そしてマイケルからしてみれば、実際に10年の時を経ているのだ。
「正直、こんなに待たされるとは思わなかったよ。それで、何しに来たんだお前?」
ジェイコブはその問いに、銃をマイケルに向けることで答える。
「全ての決着をつけに」
それに対して、マイケルも同じように銃をジェイコブへと向ける。
「もう決着はついただろ?しつこい奴だ」
互いに銃を向け合っているこの状況は、かつてジェイコブがマイケルに殺された時と同じ状況である。
「あの時撃てなかったお前に、俺が撃てるのか?」
「もちろんだ」
そしてジェイコブは引き金を引く。
もちろん、銃口が間違いなくマイケルに向かっている状態で、である。
しかし、銃弾は放たれず、乾いた音がしたのみであった。
弾切れである。
「はっ?なんだそりゃあ。お前が弾切れに気が付かないわけがないよな?」
代わりに、マイケルが引き金を何回も引く。
しかし、その銃弾は地面へと吸い込まれていった。
外れたわけではない。そもそもマイケルは地面に向かって発砲したのだ。
「まあ、撃てるってことでいいか」
弾倉が空になった銃を、マイケルはその辺に投げ捨てる。
ジェイコブも同じように、銃をその辺に投げ捨てた。
「じゃあいくぞ。ジェイク」
マイケルは、懐からモンスターシードを三本取り出すと、当然のように自分の体へと打ち込んだ。




