市街の戦い
ジェイコブが休んでいたのは、レジスタンスの隠れ家であったが、そこは思ったよりも広かった。
そして人もほとんどいなかった。
オリバーの言った通りに、ジェイコブが現在のミリアーノファミリ―、アポルネファミリー、マランノファミリーのボスを殺したので、ここぞとばかりに戦いが始まり、レジスタンスは全員出払っているのだ。
そのため、結局カレブに案内され、ジェイコブは自分の車へと辿り着く。
オリバーの言った通りに、ジェイコブの服は運転席に畳まれて置いてあった。律儀に洗われたようでもある。
服は、最近イーサンに託されたものであり、着慣れたものではない。
しかし、大切なものではあるし、戦うのに必要なものでもある。
だから、ジェイコブは素直に感謝しながら、治療の為に着せられた簡素な服を脱いで着替える。
そしてそれはすぐに終わり、ジェイコブは銃の確認をする。別にレジスタンスを疑っているわけではない。ただ、昔から装備の確認を怠ることはないだけだ。
更に、モンスターシードの入った注射器にも、しっかりと中が入っている事を確認すると、ジェイコブは運転席へと座ろうとする。
しかしそれを、カレブに止められる。
「あっしが運転しやすよ。きっと兄貴なら起きてすぐにマイケルの旦那の元に向かうと思いやしたんで、ここからのルートも調べておきやした」
身体が万全であったなら断っただろう。カレブの運転を信頼していないからだ。
だが、ジェイコブの体はモンスターシードを二本打ち込んだ反動と、ジョシュアからの攻撃のダメージで、とても万全とは言えない状態である。
「ああ、頼む」
だから、ジェイコブは承諾し、助手席へと座った。
「まっかせてくだせえ!」
カレブは張り切って車の運転席へと座る。
そしてすぐに車を発進させた。
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外ではレジスタンスとカラーズによる激しい戦いが行われていた。
当然のようにカラーズは、モンスターシードを使った化け物を使用しており、レジスタンスはその化け物を取り囲んで銃を撃ち込んだり、時には爆発物を使って対抗していた。
そこら中で銃声が鳴り響き、爆音が響き渡る。
言うまでもないことだが、その争いによって犠牲になった多くの人間の死体が、街中のそこら中に転がっていた。
カレブが運転する車は、その争いをすり抜けるように走っていく。
窓からその光景を眺めるジェイコブは、拳を握りしめる。
確かにジェイコブは、ミリアーノファミリーというマフィアの人間である。
良い事と悪い事、どちらを多くして来たかと問われれば、圧倒的に悪い事の方が多いと断言できるだろう。
しかし、それでもジェイコブはこんな事を望んでいたわけではないのだ。
「マイク……」
そして、マイケルが望んだかはともかく、この状況を作り出したのは、間違いなくマイケルなのである。
それを、ジェイコブは許すことは出来なかった。
いや、許せないことはこれだけではない。
ミリアーノファミリーを裏切ってデービッドやダッドを殺した事、間接的とはいえホワイトライトストリートを滅茶苦茶にした事、エミリーを殺した事、ニューシティをこんな状態にした事、全てが許せないのだ。
ジェイコブが許せるのは、ジェイコブ自身を殺した事、それだけである。




