圧倒
魔人化したジェイコブに、ジョシュアが飛び掛かってくる。
しかしその攻撃を、ジェイコブは見てから横に飛び上がって避けた。これは、先程までは出来なかった事である。
そして空中に避けながらも、ジェイコブは銃を構えると、躊躇することなく引き金を引いた。
その銃弾は、ジョシュアの体にある目玉の二つを、正確に撃ち抜いた。
「くっ!ジェイク!!!」
激昂し、ジョシュアはジェイコブに攻撃を続ける。
しかしジェイコブは、その全ての攻撃を避けながら、ジョシュアの体中に浮き出た目玉へと、銃弾を撃ち込んでいく。
「何故だジョッシュ!何故エミーを殺した!」
そして同時に、ジェイコブは問う。
「お前がやらせたんだよ!ジェイクゥウウウ!!」
答えにすらなっていない。
ジョシュアの様子は明らかに異常であり、もはや理屈ではなかったのではないかもしれない。
「俺は……お前を許さない!」
ジェイコブはそう言い放つと、ジョシュアの体の最後の目玉へと銃弾を撃ち込んだ。
ジョシュアはなすすべもなく、その銃弾を受けてしまう。
それで、全身の穿たれた目玉は、破裂し、血を垂れ流す穴となった。
その姿は痛々しく、全身から涙を流しているようでもあった。
「まだ終わりじゃないぞジェイク……」
ジェイコブが魔人化したことにより、一瞬にして劣勢になったジョシュアだったが、まだその顔には笑みを浮かべていた。
その顔の額に、縦の切れ目が入り、大きな目玉が出現する。
「おおおお!」
そして、再びジェイコブへと飛び掛かって来た。
その動きを、ジェイコブは同じように、避けながら銃弾を放つ。
しかし、ジョシュアの額に出て来た目玉がせわしなく動き、ジョシュアはその銃弾を避けた。
それだけでなく、ジョシュアはすぐさまジェイコブを追尾し、今度はジェイコブへと拳を当てたのだ。
「ぐあっ!」
再び、ジェイコブは殴り飛ばされ、近隣の家を破壊しながら叩きつけられる。
「ははは!見えるぞジェイク!お前の動きも!エミーもだ!!!」
ジョシュアは、本来の目玉だけでなく、額の大きな目玉まで血走っており、明らかに正気ではない。
「ジョッシュ……」
ジェイコブはイーサンの言葉を思い出す。
もう自分では止まれない。
イーサンはそう言ったのだ。
まさに、それに相応しい状況だろう。
ジョシュアは血走った目のまま、ジェイコブへと追撃を入れるべく突っ込んでくる。
ジェイコブは、それをしっかりと見ながら、腕一本でジョシュアの攻撃を受け止めた。
そして、もう一本の腕は、銃を構えて、ジョシュアの額の目玉へと突き付けていた。
それはもはや、どうあがいても避けられない距離である。
「すまん」
そしてジェイコブは、引き金を、引いた。
銃弾は、ジョシュアの大きな目玉を破壊し、しかしそのせいか、少し逸れてジョシュアの頭を少しだけ抉って飛んでいった。
「がああああああ!!」
それでも、ジョシュアにとって、それは致命傷であった。
ジョシュアの魔人化は解け、体はしぼんでいく。
「ジョッシュ……」
ジェイコブは、その倒れ行く体を受け止める。
戦いに敗れたジョシュアは、悔しそうな顔をしていた。
「なんで……なんで……こんな事になっちまったんだろうな……」
ジョシュアは涙を流す。
「そん……」
なことは、ジェイコブが聞きたいくらいである。
しかし、その先は言わなかった。
「そうだな……なんでだろうな……」
ジェイコブも力なく項垂れる。
「なんで……エミー……すまない……」
そして、ジョシュアの体は萎み切って絶命した。
ジェイコブは涙を流しながら、ジョシュアを持って立ち上がろうとする。
「え?」
しかし、力が入らずに倒れ込んでしまう。
モンスターシードを二本使ったら反動で動けなくなる。
イーサンの言葉を再び思い出す。
戦闘が終わって、緊張が解け、その反動が来たのである。
そしてジェイコブは、倒れ込んだまま意識を失った。




