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コレクション

 車を降りたジェイコブは、警戒しながらも家の中へと入っていく。

 先ほどまでの騒がしさとから一転し、周囲は驚くほどの静寂に包まれていた。

 近隣にも家はあるというのに、まるで人が住んでいないかのような静けさであった。


 その静けさに、というわけでもないが、ジェイコブは少し冷静になっていた。

 先ほどまで、大暴れをしたのも影響はしていただろう。


 だから、家の扉の前まで来て、ジェイコブは少し考える。

 この静寂の中、この扉をどう開けるかをである。

 まさかインターホンを押すわけでもない。

 蹴破ろうかとも思ったが、考え直し、ジェイコブは静かにドアノブを静かに回した。


 ジェイコブは銃を構え、警戒しながら中に入るが、特に変わった様子はない。

 外から見た通り、少し大きめのリビングが広がっているだけであった。

 息を殺しながら、リビング内を歩き回るが、やはり変わった様子はない。


 ただ、皿やコップが二つ机の上に出ていたり、椅子も二つであったり、スリッパが二つあったりと、この家を使っているのが二人であることが窺える。

 いたとしても、ジョシュアだけではないとジェイコブは考え、警戒を強めた。


 しかし、一階を探し切ったが、誰も見当たらない。

 そうなれば、当然二階に行くこととなる。

 ジェイコブは階段を上ることにした。


 二階は、しかしそこも、静かであった。

 リビングやキッチンなど大部屋が多い一階に比べ、二階は個別の部屋が多い。

 ジェイコブはその部屋を、一つ一つ開けて行った。

 しかし、やはり開けど開けど、どの部屋も変わった様子もなく、どの部屋にも誰もいないのである。

 そして、最終的に開けてない部屋は、残り一部屋となる。

 そこは、一番奥の部屋であった。


 ジェイコブは躊躇うことなく、その部屋の扉を開ける。

 

 暗い、暗い部屋であった。

 奥まった場所にあるという事もあり、中の様子が全く

 ジェイコブは、手探りで照明のスイッチを探す

 何か薄い紙のようなものが手にあたりながらも、スイッチを見つけ、それをつけた。

 

 その瞬間に目に入って来た部屋の異常性に、ジェイコブは圧倒される。


 その部屋の奥には、椅子に座っているジョシュアがいた。

 しかし、それ以上に目に入るものがある。

 写真だ。

 部屋一面に、エミリーの写真が貼り付けられているのである。

 壁はもちろん、床にも、天井にもだ。

 ジェイコブがスイッチを探すために手に当たったものは、全てエミリーの写真だった。

 ただ、奥の椅子に座る、ジョシュアに至る道だけが、写真が貼られていない場所である。

 そんな異常な部屋であった。


「よう、遅かったな」


 ジョシュアは平然とそう言い放った。

 だが、その様子は、明らかに異常である。

 部屋の異常性を差し引いても、ジョシュア自身もまた、深く憔悴しきった様子であり、全く生気のない異常な状態であったのだ。

 その異常な部屋の様子、更にジョシュアの異常な様子を見て、ジェイコブは怒るべきなのかどうかわからなくなってしまっていた。


「なあ、ジェイク。どうだ俺のコレクション」


 そう言って、ジョシュアは手を広げた。

 まるで、写真を見せびらかすように。この光景が異様ではないとでも言うように。


 釣られたというわけではないが、ジェイコブは写真を見渡した。

 どの写真を見ても、エミリーの写真だ。

 年齢はまちまちである。

 少女時代から、大人の状態のものまである。一体どれほどの時間をかけて収集したのかわからない。

 しかしその写真の多くは、横顔が多い。まるでカメラに気が付いていないようなアングルが多かった。


「悪趣味だな」


 ジェイコブのストレートな物言いに、ジョシュアは小さく笑う。


「ふっ……だよな」


 ジョシュアは、自虐的に頭を押さえた。


「俺は……お前たちの事を祝福してたんだ。だけどな……ジェイク。なんでエミーを守ってやれなかった?なんで俺を止められなかったんだ?」


 それは、自分のやったことを白状しているようなものである。


「お前なら……ギリギリに助けに来ると思ったのによ……」


 ジョシュアは、懐からモンスターシードを三本取り出す。


「残念だ」


 その全てをジョシュアは体へと打ち込む。

 そしてすぐに、魔人化が始まった。

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