エミリー・ブルー
エミリー・ブルーは優しい女性であった。
彼女が子供時代に、何故ジェイコブの事を好きになったのかは、彼女自身にもわからない。
ただ二人とも、当時は無口であり、二人で過ごす静かな時間が心地よかっただけなのかもしれない。
そして、その思いは大人になっても続き、ジェイコブと結ばれることとなる。
しかし、その幸せは長く続くことはなかった。
ギャングやマフィアの人間が、幸せになろうという事自体がおこがましかったのだろう。
だからこそ、カラーズは彼女を裏の世界から追い出したのである。
だがエミリーは、それがわかっていても、ジェイコブへの想いを抑えることが出来なかったのだ。
それは、ジェイコブが死んでも変わらなかった。
愛するジェイコブを生き返らせる。
ただ、そのためだけにエミリーは進み続けた。
例え、マイケルに利用され、エミリーの研究のせいでニューシティが悪い方向へと向かおうとも、エミリーは進み続けたのである。
そして、エミリーは間違いなく天才であった。
だからこそ、エミリーの願いは叶う事となる。
エミリーは、ジェイコブを蘇生することに成功させたのである。
だが、エミリーにもわかっていた。
エミリーの計画が、マイケルに筒抜けであろうことを。
再び手に入れた、幸せが長く続かない事を。
それでも、ジェイコブと過ごした最後の一週間は、エミリーにとってはかけがえのない一時だったのだ。
どうあがいてもジェイコブが戦うことになるのはわかっていた。
だからこそ、エミリーはジェイコブの体を特別強く作った。
戦って欲しくないが、そうせざる負えなかった。
そして、やはりジェイコブは戦いへと巻き込まれることとなる。
エミリーには、それを止める事は出来なかった。
もう十分、幸せな時間は過ごしたのだから。
だがそれでも、エミリーは最後にジェイコブに会えなかったことが、とても悲しかった。




