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追いかけっこ

 ジェイコブは走る。

 ホワイトライトストリートの周辺は、ジェイコブにとっては庭のようなものである。

 敵の動きが緩慢な事に、ジェイコブは気が付いていた。

 その理由は、ジェイコブにはわからない。

 だが、それでも敵の魔人は、明確にジェイコブを追いかけ、ジェイコブへと攻撃を繰り出していた。

 ジェイコブはその攻撃を避けながら、巨体の入り込みづらい、狭い道を逃げ続けた。

 

 それでも、敵は道を破壊しながらジェイコブを追いかけて来る。

 だがやはり、壁や建物に阻まれながらでは、敵の巨体では上手く動く事が出来ないようで、敵の魔人の進行速度は間違いなく落ちていたし、激しく体をぶつけるせいか、体に傷をつけながらジェイコブを追って来たのであった。

 巨体だからこそ傷つきやすく、その体には細かい亀裂が入っていたのである。


「あ、兄貴!なんでこっちに来るんでやすか!」


 逃げるジェイコブの進行方向に、偶然にもカレブが姿を現した。もちろん偶然である。

 そのため、二人で並走する形

 しかし、それはとても都合が良かった。


「おい!カレブ!銃は?持ってるだろ?」


 外に出たばかりのジェイコブとは違い、カレブが銃を持っていないわけがない。

 しかし、


「ええ!ちょっと外に出るだけのつもりだったから持ってやせんよ!」


 持っていないようであった。

 マフィアの風上にも置けない奴である。


「なら、モンスターシードは!」


 当然、会話中も走り、逃げている途中ではある。とにかく狭い道を選んでいるが、それもいつかは限界が来る。

 ジェイコブは焦燥感を感じながら、カレブに話しかける。


「ええ!そんなものどうするんです?」

「今はそんなことどうでもいいだろ!持ってるのか!?持ってないのか!?」


 しかし、普通に考えれば、銃も持っていないのに、持っているわけはない。

 なので、もちろんジェイコブは期待はしていなかった。

 持っていないのであれば、取って来いと言うつもりである。


「ありやすよ」


 だがカレブは、あっさりと懐からモンスターシードの入った注射器を出してくる。


「寄越せ!」


 何故持っているのかはわからないが、そんなことはどうでもよかった。

 ジェイコブは、カレブの手からモンスターシードを奪い取る。

 しかし、すぐに打つべきか躊躇ってしまった。


 その時、後ろから敵の魔人の手が伸びてくる。

 魔人の手を躱し、二人は更に狭い道へと入っていく。


「それより、いいんでやすか兄貴?」


 急に、カレブがそんなことを言ってきた。


「何がだ?」


 それよりという事は、まだジェイコブの手の内にあるモンスターシードの話ではないという事である。

 しかし、ジェイコブには何の話かは見当もつかない。


「いや、こっちは――お母様とお仲間の墓がある方でやすよ」

「なにっ!?」


 ジェイコブは全く気付いていなかった。

 理由はいくつもある。

 そもそも別の方向へ走っていたはずだった。しかし、狭い道を移動し続けるうちに方向が代わってしまったのだ。

 それに、ジェイコブが外に出たばかりと言うもある。

 ついでに、カレブと話していたという事もあった。


 そして、一瞬ジェイコブはどうしようか迷ってしまったのだ。


「ぐあっ!」

「あ、兄貴!」


 ついに、敵の攻撃を受け、ジェイコブは吹き飛ばされてしまったのだ。


 それも、進行方向である、母とオリビアの墓の方へと。

 更に、そのはずみで、ジェイコブはモンスターシードを堕としてしまったのである。


「兄貴!やばいですぜ!」


 横に逃げたカレブが叫ぶ。


 吹き飛ばされ、転がったジェイコブの元へ、敵の魔人が接近していた。

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