表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/93

逃走

 建物を破壊しながら突然現れたそれは、一体どこに潜んでいたのかもわからない。

 しかし、その見た目は化け物としか言い表せないものであった。

 その見た目は人の様であれ、体の表面は赤黒く、体中に横に亀裂が入っている。

 そしてなにより、とにかく大きかったからである。

 ジェイコブも体が大きい方である。しかしその化け物は、ジェイコブの更に二倍はありそうな巨体であった。


「ひいい!なんでやすか!」


 カレブは一目散に逃げだした。

 だが化け物は、逃げ出すカレブには目もくれずに、ジェイコブを見続けていた。


「ううう……」


 化け物は、その巨体からは想像できない程小さく唸りながら、やみくもに腕を振り回しだした。

 しかし、その拳はジェイコブへは届かず、周囲の建物を破壊する。ジェイコブが避けたわけではなく、ただ当たらなかっただけである。

 その建物と言うのは、当然ホワイトライトストリートのものであり、元々老朽化が進んでいた建物は、大きい音を立てながら崩れ出す。


「おい!やめろ!」


 例え、もう誰もいない建物だとわかっていても、その行為をジェイコブは許すことは出来なかった。

 だからこそ、ジェイコブは自分よりも圧倒的に大きい化け物へと殴りかかる。


 冷静になって考えて見れば、昔にも似たような事があった。

 それは、モンスターシードを使った人間である。

 ここまで巨大ではなかったが、状況を考えれば、これが魔人と言うものなのであろうとジェイコブは考える。

 そして、それならば、ジェイコブも魔人なのである。

 つまり、ジェイコブの拳も、この魔人に効くはずである。


「なにっ!」


 しかし、ジェイコブの攻撃はあまり効き目がなく、強靭な巨大な体の前に弾き飛ばされてしまう。

 殴った瞬間に、攻撃が効かなかったその理由をジェイコブは感じていた。

 力がうまく入らないのだ。

 そして、その理由にも瞬時に気が付いた。


 エミリーは言った。モンスターシードがないとジェイコブの体は維持できないと。

 そして、最後にエミリーがジェイコブに注射を刺したのは昨夜である。

 つまり、ジェイコブの体に力が入らないのは、モンスターシードが足りないからである。


「うう……」


 ジェイコブが一度離れても、魔人はゆったりと暴れ続ける。

 そうすると、当たり前の事であるが、ホワイトライトストリートは荒れていくのだ。

 リリーがいる場所から、少し離れた場所で良かったとは思うが、それでもこの状況をジェイコブは是としなかった。


「くそっ!」


 ジェイコブは走り出す。いや、逃げ出したのだ。

 魔人は、間違いなくジェイコブを狙っている。

 理由はわからないが、ジェイコブが逃げれば、追ってくるはずである。


「う……」


 ジェイコブは巨大な魔人の足元をくぐり走り抜ける。

 魔人は、暴れるのをやめ、後ろへと走り抜けていったジェイコブを追いかけだした。

 やはり、その動きはどこか緩慢であり、ジェイコブは捕まることなく、追いかけっこが始まったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ