遅れ
ジェイコブは車に乗り込むとカレブを待つ。
だが、後ろも振り向かずに全速力で走ったせいか、来ているはずのカレブの姿は見えなかった。
少しだけ待ったが、カレブは姿を現さない。
ジェイコブは待ちきれずに、カレブを置いて車を発進させた。
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出来る限りの速さで車を走らせ、ジェイコブはすぐに目的地へと辿り着く。
かつてモンスターシードの精製所の建物は、五年前に来た時と変わらず残されており、しかし手入れなどはされず放置されていたようで、廃墟と化していた。
ジェイコブは、門の前に荒々しく車を止めると車を降りた。
その降りた先に広がる光景に既視感を覚える。
そこには、多くの死体が転がっていたからである。
ジェイコブが初めてこの場に来た時と変わらぬ光景である。
その死体は当然、五年前から放置されていたわけではなく、新しい死体であった。
「これは……」
さらに言うなら、その死体の一部はカラカラに乾いており、これも五年前に見た光景と変わらない物である。
「モンスターシード……か?」
ミイラのように乾いた死体は、モンスターシードを使用したとしか思えないものであった。
しかし、あの薬はとっくの昔になくなったはずである。
まるで過去にでも戻ってきた気分であったが、そんなことはあり得ないということはジェイコブにもわかっている。
とりあえず、普通の死体はミリアーノの構成員であるのは間違いない。ジェイコブの見たことのある顔があるからである。
ジェイコブは、念の為マイケルに電話をしてみたが繋がらなかったため、中へと入っていった。
建物の中も、やはり外と同じような状況であり、死体がそこら中に転がっていた。
そしてやはり、死体の一部は乾いたミイラの様な死体であったのだ。
そして、間違いなくどの死体も死んだばかりであり、直前まで争っていたことがうかがえるのであった。
ジェイコブは、その死体の一人一人を確認しながら歩いて行く。
最近にデービッドが死んだことがあるからである。
まさかマイケル達に限ってそんなことはないと思うが、どうしても気になってしまうところである。
「ここは……」
死体を辿り、歩きついた先は、かつて来たモンスターシード精製室であった。
ジェイコブは躊躇うことなくその扉を開ける。
そして、すぐに視界に映った人物を確認して安堵した。
「マイク!」
それはマイケル・ホワイトであり、
「イーサン!ジョッシュ!マシュー!」
カラーズの仲間達であった。
何故だか、この四人以外に他には誰もいない。
しかし、それをジェイコブは不思議には思わなかった。
「よう、ジェイク。遅かったな。本当に」
マイケルは、にこやかな笑顔でジェイコブを迎える。
その笑顔をジェイコブは知っていた。
機嫌がいい時の顔である。
それもとびきりである。




