表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/93

夜の電話

 マイケルがアンダーボスに就任し、カラーズが作られてから数日が経った。

 しかしジェイコブは、デービッドとマイケルの板挟み状態に未だに悩み続け、答えを出せないでいた。

 

 そして、ジェイコブがそんな状態のままに、エミリーが家に来た日の夜の事となる。

 

「ねぇやっぱり、何か悩んでいるでしょう?」


 ベッドの中で、終わった後にエミリーが問いかけて来た。

 

 この問いかけは先日に続き二度目である。

 しかし、一度目よりも事態は複雑になっていた。


「ああ、その……」


 ジェイコブの歯切れの悪い言葉に、エミリーは体を寄せてジェイコブの頭を抱く。


「あなたの事だから何か理由があるのだろうけど、私もあなたの力になりたいの……」


 エミリーの言葉にも、触れあっている肌からも、ジェイコブはエミリーの温かさも感じた。

 

「実は……」


 だから、ジェイコブはエミリーへと相談しようと考えた。

 本当はエミリーを、マフィアの事になんて関わらせたくはないのだけど。


「デービッドさんにアンダーボスにならないかと言われていて、でもマイケルがミリアーノの中にカラーズを作ったから幹部にならないかって言われて困っているんだ」

「そう……」


 エミリーは少し時間をかけてから答える。


「私は、デービッドさんとはあまり会った事がないけど……やっぱり昔からの仲間のマイクと――」


 エミリーがそう言いかけたところで、ジェイコブの携帯電話が音を鳴らした。

 ジェイコブは少し悩んだが、エミリーが一度黙ったのでベッドから出て、携帯を手に取る。


「カレブからか……」


 ジェイコブは少し悩む。別に出なくてもいいかと。

 しかし、結局出ることとした。

 夜にカレブが電話をかけてくることは珍しいからである。


『兄貴ぃ!大変ですぜ!』


 ジェイコブが通話のボタンを押した瞬間に、カレブの大声が飛び出してくる。

 しかし、ジェイコブは事前に携帯を少し離しており、その大声に苦しめられることはなかった。

 その大声は、エミリーの耳にまで届き、ただ事とは思えない状況にエミリーは不安になる。


「落ち着け。何が大変なんだ」


 まだ少し電話を耳から話しながら、ジェイコブは慌てるカレブを宥める。


『は、はい。落ち着いて聞いてください』


 言われなくてもジェイコブは落ち着いているし、落ち着いていないのはカレブである。


『デービッドの旦那が殺されました』


 ジェイコブは一瞬、何を言われたのか理解できない。

 だが、それは一瞬で、当然すぐに理解する。

 しかし、信じたくはなかった。


「冗談だろ……カレブ。笑えないぞ……」


 そうは言ったものの、当然ジェイコブはそれが嘘だとは思っていない。

 いくらカレブでも、そんな冗談は言わないとわかっている。

 しかし、それでも否定せざるおえなかったのだ。


『死体はリードストリートにある……ええと、一番大きい病院です』

「すぐに行く」


 短く答えると、ジェイコブは言葉の通りにすぐに家を飛び出した。

 


     ♦



 とてつもないスピードで車を走らせ、病院へはすぐについた。

 病院の中へと入ると、すぐにカレブが目に映る。


「カレブ!」

「こっちです」


 カレブはジェイコブを待っており、手際よく病院内を案内し、ジェイコブは一つの部屋へと辿り着いた。


 その部屋へと勢いよく入ると、一つのベッドを人が囲んでいるのが目に入る。ミリアーノの構成員達だ。

 

 ジェイコブはベッドへと駆け寄ると、すぐに理解する。

 ベッドに寝かされた死体が、間違いなくデービッドだということを。

 デービッドの死体は、身体だけでなく、顔にまで銃弾を撃ち込まれており、滅茶苦茶であった。

 間違いなく殺されたものであるのは明白である。


「おい!誰がやったんだ!」


 ジェイコブはカレブに詰め寄る。


「え?あ……それは……えーと……まだ、わかりません」


 カレブが答えると、ジェイコブは他のミリアーノの構成員達を見回す。

 しかし、皆がうろたえ、ジェイコブの問いに答えられるものはいなかった。


「くそっ!」


 ジェイコブには、力任せに病院の壁を叩くことしか出来なかったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ