モンスターシード
ジェイコブとデービッドは、車を走らせ、ミリアーノの事務所の一つへと来た。
そして、ノックなどもせずに、デービッドはずけずけと中に入っていき扉を開ける。
「誰だ!……ってアンダーボスでしたか……これは失礼しました」
中にいたミリアーノの構成員達は懐に手を入れながら立ち上がったが、相手がデービッドだとわかるとすぐに手を引っ込め、頭を下げた。
「いや、いい反応だ。マシューってやつはどいつだ?って聞くまでもねえか」
背が低いという情報を元にすれば、顔を覚えていないデービッドでも簡単にマシューを見つけ出せる。
マシューも17歳にはなったが、本人の想いとは裏腹に、背は伸びず、顔も幼いままであった。
マシューは、ジェイコブに手を挙げて笑いかけると、すぐに真剣な顔をしてデービッドへと向き合った。
「はい!どうなさいましたかアンダーボス」
それでも昔と違い、マシュー本人はそれでもいいと、少しは思うようになったのだ。
何故なら諜報員としては、その方が都合がいいからであり、マシューももう立派なミリアーノの諜報員なのだ。
「おう、お前が調べたって言う麻薬の流れの一件を今見て来たんだが、少し話いいか?」
「はい、どうぞお座りください」
マシューに勧められるがままにデービッドは座り、マシューも向かい合って座った。
しかし、ジェイコブはデービッドの隣で立ったまである。
「アンダーボス、どうぞ」
「わりいな」
デービッドはコーヒーを受け取り、タバコに火をつける。
「なんであの麻薬がアポルネファミリーの出だってわかったんだ?」
「それはですね。いつものように買う奴の後を尾けたんですよ。だいたい麻薬絡みはマランノファミリーがうちのシマで売ってるんで、尾けてみてびっくりですよ。うちのシマを出て、アポルネファミリーのシマにどんどん入っていくんですから」
「なるほど、じゃあ間違いねえってわけだ。それで、その麻薬について知ってることはあるか?例えば、使ったら化け物になるとか」
「なんですかそれ?」
「現場にいた奴らが言ってたんだよ。薬を打った途端化け物みたいに体がでかくなったって」
「うーん。そういう話は聞いてないですね。まだうちにはそんなに流れてきてないと思いますんで。ただ……今アポルネファミリーじゃあの麻薬――モンスターシードが主流みたいです」
「モンスターシードって言うのか?」
「はい、モンスターから抽出したエキスを使ってるって謳い文句ですね」
「なるほど……他には?」
「ありません。まだうちには流れて来たばかりなので……」
「わかった。引き続き調べてくれ」
「はい!」
長い話し合いが終わり、デービッドはタバコを吸いつくし、コーヒーを飲み干すと立ち上がった。
「話してくか?」
そして、ジェイコブに声をかける。
「いえ、たまに会ってるので」
全員かなり忙しくはなっているのだが、出来るだけ集まるようにはしている。
しかし、マイケルは特に忙しいようで、ジェイコブもあまり会えてはいなかった。
「そうか。じゃあ今日はここまでにして、ダッドに報告に行くぞ」
二人は事務所を出て行くと、再び車を走らせ、ダッドの元へと戻っていったのだった。




