表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/93

射撃場

 ジェイコブはライアンと二人で、来た場所と逆側の扉から外に出た。

 その先は、なんてことはない、ただ何もない草の生えた平地と、いくつかの建物、それと遠くにある門と、それから続く塀だけである。


「言うまでもないが、あれが、二つ目の門だ」


 もうダッドの車は通った後の様である。


「案内したいとこだが、俺達は入れないし、遠いからな。やめとこう。そのうち行く機会もあるだろう」


 一つ目の門と同じなので、何もないという話である。


「この辺りは、好きに移動していいし、好きな建物に入っていいぞ。と言っても、あまり人はいないけどな。次はあっちに行こう……って、なんでついてきてんだマイルズ!」

「ありゃあ、バレちまったか……」


 こっそりと着いて行こうとしたマイルズが、罰が悪そうに頭に手をのせて少し姿勢を低くした。


「モニター見てろって言ったろ!」


 正確には言っていない。

 しかし、暗黙の了解だろう。


「まあまあいいじゃねえか」

「たくっ!また怒られるぞ」


 そう言いながらも、ライアンはそれ以上は突っ込まずに歩き出した。


 向かった先の建物の中に入る。

 中に入って、ジェイコブは少し見渡すと、すぐに何をする場所かわかる。

 射撃場である。


「銃撃ったことあるか?」


 マイルズが、得意気に銃を回しながらジェイコブへと聞いてきた。

 どうせないだろ、とでも言いたげである。


「すこしだけ」


 ジェイコブは素直に答える。


「なんだ。まあ、今時のガキは15でも銃くらい撃ちらあな」


 ジェイコブの答えに、マイルズは少し不満気であった。


「でも、少しってんなら見とけ」


 そして、マイルズは練習場所に立つと、すかさず的目掛けて銃を撃った。

 轟音が室内に響き渡る。


「こうやってやるんだぜ」


 マイルズは得意気であるが、何も教えてないのも同然である。


「下手糞だから真似するなよ」


 ライアンが機械を動かし、紙の的を手元に引き寄せる。

 銃声は六発、だが的に当たっているのは4発だけであるし、人型に書かれた的の頭や胸には命中していなかった。


「手厳しいぜ」


 マイルズは肩をすくめた。


「貸してやるからやってみな」


 そう言って、マイルズは弾を入れ直して銃をジェイコブへと手渡した。


 ジェイコブは黙ってそれを受け取ると、練習場所に立ち、マイルズと同じように六回引き金を引いた。

 強い反動がジェイコブの体を駆け巡るが、ジェイコブは力でそれを押さえつける。


「なんだ、撃ち方は様になってるじゃねえか」


 マイルズに褒められたことは、ジェイコブには少しこそばゆかった。


「しかも一発当たってるぜ、ドたまにな」


 ライアンが機械を動かし紙を見せると、たった一発だが、銃弾はきっちりと頭に命中していたのだ。


「それ以外は全部外れてるだろ。ラッキーショットだな。これからは俺が教えてやるよ」

「お前が教えるってタマかよ」


 二人は言い合うが、仲はいいのだ。笑っている。


「お願いします」


 そんな二人に対して、ジェイコブは頭を下げた。

 どちらとは言わない。二人に対してだ。


 そのジェイコブの様子に、二人は笑う。


「任せとけ。構えはいいからな。狙うコツを教えてやる」

「じゃあ俺は、銃のかっこいい回し方を教えてやるよ」


 ジェイコブは二人から銃の扱いを教えてもらったのだ。

 そして、少し時間が経った頃に、射撃場の扉が開いた。


「おっ!なんだライアンの旦那。新人が来るって噂は本当だったんだな」

「おう、アシェル。サボりに来たのか?」


 アシェルと呼ばれた人物は、苦笑いをしながら返す。


「サボってる奴に言われたくねーよ」

「サボってねーよ俺はな」


 そう言ってライアンは、マイルズの方を見た。


「すぐ戻るって!」


 そう言っても、もう結構な時間経ってしまっているのだ。


「アシェルだ。よろしく」

「ジェイコブです」


 ジェイコブは挨拶をされ、握手をした。


「さて、アシェルも来たし、これくらいにしておくか」

「なんだよ。俺が悪いみたいじゃないか」

「ちょうどいいタイミングだっただけだよ」


 それから、アシェルに別れを告げると、ジェイコブ達は外に出る。


「この辺の施設は、屋敷に住む奴全員が使うんだ。射撃場なんてここにしかないからな。一番外じゃないとダッドの家まで銃声が響いちまうだろ」

「と言っても、ダッド本人はこんなところまでは滅多に来ないから心配すんな。サボってもバレないぜ」

「真に受けるなよジェイコブ」


 そんなくだらないやり取りをしながら、施設の案内をされていく、食堂や花壇や医療室や、それに墓等――色々だ。


「さて、遅くなってきたな。これで今日はあがりにするか」


 そして、最後に自分の部屋を案内され、ジェイコブは眠った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ