別々の道
カラーズは、朝早くに起きると、全員でエミリーを母親の元へと送り届けた。
「エミリーのお袋さん。泣いてたな」
そして今は、男五人で、ミリアーノファミリーに渡された紙に書いてある住所に向かっている最中である。
「ああ、エミリーは幸せになれるといいな」
全員は、心の底から仲間の幸せを祈っているのだった。
そして、歩いている内に目的地へと着く。
目的地は、何の変哲もないビルであった。
別に門番とかがいるわけでもないし、扉を開けば中に入れ、そのまま階段を上って行ける。そんなビルであった。
マイケル達は、そのビルの一室の前へと立つ。
そして、扉を開いた。
「ん?お前たちか?話には聞いていたが、本当にガキだな」
部屋の中は普通であり、椅子に三人のいかにもな男が座っていた。
「はい!よろしくお願いします!」
全員で、しっかりと頭を下げる。
「まあ、緊張するな。ここは窓口みてえなもんだから」
そう言われても、緊張しない方が無理であろう。
「つーか、ここで話してもしゃあないんだ。紹介もいいよ。そこに名前が書いてある紙が置いてあるから持ってけ」
そう言われて、マイケル達は机に並べられた紙を受け取っていく。
「アンダーボスが来た時はビビったよ。俺はアンダーボスにあったの1年ぶりくらいだぞ。普通は別の奴が配属決めるんだぞ。しかも入るのはガキだっていうじゃないか。もっと驚いたわ」
「はぁ……光栄です」
そう言われても、マイケル達には実感がない。
「まぁ、生き残れるといいな。じゃあな」
それだけ言うと、男達は別の作業を始めだした。
それはつまり、ここでの話はおしまいという事である。
それを察すると、マイケル達は背を向けようとした。
「あの……」
しかし、イーサンが控えめに声をかける。
それは、マイケルにとっても驚きである。
男達は、もう話しかけるなよと言わんばかりの態度だったからだ。
「どうした?」
男の一人が返事をする。
「俺の配属ここになってるんですけど……」
そう言って、イーサンは紙を見せた。
「おお!まじか!ずっと人手不足だったんだよ!猫の手も借りたくてな」
予想に反して歓迎されている様子で、イーサンはホッとした。
「じゃあここでお別れか」
マイケル達の配属場所は、少なくともここではなかった。
「みたいだな」
別れの時ではあるのだが、マイケル達は全員微笑んでいた。
「頑張れよ」
マイケルがイーサンと握手をする。
「そっちもな」
その短いやり取るをすると、マイケル達はイーサンだけを残して扉をあける。
「じゃあな!」
「ああ、また」
それだけ言って、マイケル達は去ったのだった。
そして、階段を降り、建物から出ると、道を歩いて行く。
「俺はこっちだな」
マシューが言って、一人歩いて行った。
「じゃあな!」
「連絡するぜ!」
更に、ジョシュアも同じように途中で抜ける。
「また今度な」
「ああ」
そして、ジェイコブとマイケルの二人だけになった。
「なぁジェイコブ」
すると、マイケルが語りだす。
「俺はミリアーノファミリーを上っていくぜ」
マイケルは立ち止まる。
「ミリアーノファミリーのアンダーボスになってカラーズの派閥を作るんだ」
ジェイコブは黙って聞いていた。
「その時、ジェイクは俺の隣にいるんだ。だからジェイクもでかくなってなきゃいけないんだ」
そして、マイケルは拳を出してきた。
「頼むぜ、相棒」
その拳に、ジェイコブは拳を重ねる。
「任せとけ、相棒」
そして、二人は別々の道へと歩き出した。
別々でも、いつか交わる道へと。




