捜索
「さて、どこから探したもんだろうな?」
あてもなくうろつきながら、イーサンはジェイコブに尋ねた。
そう言われても、ジェイコブは困ってしまう。
ボブはカラーズの事を良く知っているので、写真は2枚用意されていた。
とはいえ、捜索の手がかりとなるのは顔写真のみである。
「この写真を見せて回るのはちょっとなあ」
それで探りを入れているのが相手にバレたら危険である。
「まずは現場に行くか」
「ああ」
それは、ウィリアムが裏切られ、殺された場所である。
♦
そこは、カラーズのアジトがある場所から、2時間以上歩いた先だった。
ジェザのシマとしてみるなら、ギリギリの場所である。
現場は廃ビルの中で、そこにはジェザギャングの構成員が何人か来ていた。
「こんにちは」
イーサンとジェイコブは頭を下げる。
「カラーズのガキ共か。お前らも駆り出されたんだな」
「大変な事になってるみたいですね」
「本当だよ。裏切り者を逃がしたら大変な事になるからな」
ギャングとはいえ、いや、ギャングだからこそ、組織に守られ、死ぬ人間はそれほどいないのだ。
ましてや裏切者が出たともなれば、それは大事である。
裏切者を許したり、逃がしたりしたら、身内にも周りにも示しがつかないのだ。
「犯人の……ジャクソンはどこに行ったんでしょうね?」
「普通に考えりゃあ、どこか遠くに高飛びしてんだろうよ……て言いたいところだけどよ。不思議な事に目撃情報が入ったんだよ」
「え?本当ですか?」
「ああ、シェイク・ウエスト・ストリートで見たらしい。呑気にハンバーガーを買って、食ってたんだとよ」
構成員が手の平を顔の横に持ってきて、呆れたような仕草をした。
つまり、誤報ではないかと思っているわけだ。
「じゃあ、俺らもそこに行ってみますね」
「俺らはまだここにいないといけないからよ。無駄足だったら、俺らにもハンバーガー買ってきてくれよ」
そして、ギャングの構成員達は笑った。
「期待して待っててください」
イーサンとジェイコブもそれに応えながら、釣られて少しだけ笑った。
「よし、行こう」
そして二人は、今度はシェイク・ウエスト・ストリートへ向かうのだった。
♦
シェイク・ウエスト・ストリートは普通の通りである。
スラムと言う程廃れてはいないし、栄えているわけでもない。
だから、人は閑散としており、歩いている人間の顔は見分けやすかった。
しかし、やみくもに歩き回って探しても見つかるはずもなく、更に言うなら、イーサンとジェイコブはそれ以外の方法を持ち合わせていなかったのだった。
だから、時間ばかりが過ぎていくのだった。
「見つからないな。本当にハンバーガー買って帰るか?」
それは冗談ではあったが、実際に差し入れを持って行けば喜ぶだろうし、ジェザの構成員は甘い人間ばかりだ。
そう言った行為に、駄賃くらいはくれる人間も多かった。
だから、イーサンは本当にハンバーガーショップへと向かう。
そんなイーサンの様子に、ジェイコブは苦笑いしながら着いて行こうとした。
その時、イーサンの携帯が鳴る。
イーサンが携帯を見ると、電話はマイケルからだった。
「どうした?ああ、まじか。場所は?……わかった。すぐ行くよ」
ジェイコブからはそんな会話しか聞こえなかったが、なんの電話だったのかは容易に想像がついた。
「マイクとジョッシュが見つけたってよ」
それは、ジェイコブの予想通りである。
「行こう」
ジェイコブが言い、二人は走り出した。




