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第1話 夢とゆめ

昔はよく夢を見ていた。「サッカー選手になりたい」や「警察官になりたい」などの一般に将来の夢と呼ばれるものではなく、寝た際に見る夢。心霊系の怖い夢、遊園地で遊ぶなどの楽しい夢などをよく見ていた気がする。しかし、俺が中学生になった頃からだろうか。まったくと言っていいほど夢というものを見ることはなくなった。今、思えば部活であるテニスに熱中し、心身ともに疲れていたのだろう。そして高校生になり、早くも2年が過ぎた。俺は高校2年生になった。中学生の頃からやっていたテニスを今も続けていて、キャプテンにまで任命された。俺が通っている高校は進学よりも就職がメインな学校なので高校2年生の俺は来年には就職試験がある。部活でキャプテンとしてチームをまとめていけるかの不安。来年、就職試験で内定を貰えるかの不安。就職後、仕事を続けていけるかの不安。様々な不安があるが、そのような不安も含めて楽しく何気ない毎日を過ごしていた。


そう、あの時までは。。。。








「.....起きてっ!」


「......ちゃん、起きてっ!」


「兄ちゃん、起きてっー!!!!」


その大きな声で俺は目を覚ました。珍しく、なにか夢を見ていた気がする。俺の名前は志村 聖也。今、高校2年生で高校のテニス部ではキャプテンを任されている。クラスではゴリゴリの陽キャなどではなくクラスでの立場は中の中くらいの平凡なやつだ。俺を起こしに来たこいつの名前は志村 陸。俺の弟で、現在中学生3年生。中学校のテニス部に所属している。こいつは根っからの元気っ子で、陽か陰でいうと陽。むしろ、太陽。眩しいまであるほどだ。

などとお気楽に自己紹介などをしている場合ではない。今日は普通に学校があるため、8時15分には家を出らなければならない。

「兄ちゃん、急いで!もう8時だよ!!」

その言葉は何かの聞き間違いだと信じて、俺は時計を見た。時刻は8時ピッタリ。詰んだ、遅刻、サボる?、生徒指導、などの言葉が一瞬で頭の中を駆け巡った。

「やばい!!どうしよ、俺遅刻じゃん!おい、陸!なんで起こしてくれなかったんだよ〜〜〜」

「いやいや、起こしたって!なのに兄ちゃん、あと5分、あと5分って言ってこうなってるじゃんか!!」

今は口論などしている場合ではない。急がなければ俺の高校でゴジラと恐れられる槇島先生に怒られる。いや、あれは怒られるというショボイ言葉じゃ表せない。あの人に怒られることは、どんな罰よりも苦痛だ。罰というより、刑だ。とりあえず、急がなければまずい。

「陸!とにかくもう俺行くから!母さんも仕事の時間そろそろだから起こしといて!お前もちゃんと学校行けよ〜!遅刻だけはするなよ!んじゃ、行ってきます〜!」

「それだけは兄ちゃんが今、1番言っちゃいけない言葉だからね?とにかく、家のことは任せて!兄ちゃん、行ってらっしゃい〜!」

「おう!」

俺は愛用している自転車に乗り、学校へ向かった。



なんとか時間ギリギリに学校に着いた俺は朝に見た夢のことを思い出そうとしていた。朝があんなにバタバタしていたこともあって、あまり覚えてないが同年代くらいの可愛い女の子と出逢い、デートして、結婚して、子供が生まれて、守るものができて、そのおかげで仕事が捗ってどんどん幸せが繋がっていく。そんな夢だった。俺の高校は全校生徒の9割が男子生徒のほぼ男子校。女子との出逢いは夢のまた夢。だから、俺は未来に希望を抱いていない。しかし今日の夢を除いて。なぜなら、最近俺はよく夢をみる。しかも正夢のようなもので、夢で起きたことが現実で起こったりしたりする。だから、今日の夢が現実になると....

考えるまでもない。しかし、あくまでこれは夢。現実になるとは到底考えられない。ここで夢で見た子について覚えていることを少し話しておこう。年齢はほぼ同年代、違ってても1つか2つくらいだろう。以上。うん?情報が少ないって?仕方ないだろう俺も覚えてないのだから。

「おいおい、聞いたかー?今日、転校生来るらしいぞ!」

「え?まじ?男?女?」

「なんと!なんと!男です...」

「は〜、なんだよ〜。まぁ、確かにこんなほぼ男子校のところに女子なんか転校してくるわけないよな」

「確かに〜」

ちっ!男かよ。クラスのやつの会話を盗み聞きして1人でワクワクしていたさっきの自分を殺したい。そんなことを考えていると朝のホームルームの始まりを告げるチャイムがなった。

(ガラガラガラガラ)

先生が教室のドアを開けて入ってきた。

「おーい、席につけ〜。今日は転校生来てるからな〜。」

まぁ、男子だろうと転校生ともなればどんな奴か気になるな。ヤンキーとかではなければいいんだけど。。

「おーい、入っきていいぞ〜」

その子が教室に入ってきた瞬間、教室がざわつき始めた。気になってその転校生のほうに目を向けると、、、、、

華奢な体、サラサラなロングヘアー、長いまつ毛。女子だ。間違いなく女子だ。しかも、こいつどこかで...


「北西高校から来ました、西野ゆめです。わからないこともありますが、よろしくお願いします。」


西野ゆめ....?聞いた事ない名前だな。でも、どこかで、どこかで会ってる気がするんだけどな。そんなことを考えていると、あることが頭をよぎった。


こ、こいつ、まさか夢の!?

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