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異世界の王様  作者: 池崎数也
第二章
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第四十五話:カグラ先生による魔法レッスンその3

 会議から二日後。

 いつものように朝礼を終えて執務室へと入った義人は、目の前の光景にとりあえず足を止めた。そして二回ほど目をこすり、もう一度目の前の光景……具体的には机の上を凝視する。

 机の上には、久しぶりに書類が山を築いていた。


「……おおう」


 義人は思わず、自分でも意味のわからない唸り声を漏らす。

 数週間ぶりに見た書類の山。いや、もはや壁の領域に達しているその量は、ついこの前まで毎日見ていたものだ。


「崩れたら直すのが大変そうだな」


 少しだけ崩してみたい衝動に駆られたが、もちろんそんなことはしない。

 試しにいくつか書類を手に取って見てみると、どの町村にどれだけの数の屯田兵を送るかという提案が書かれている。

 他にも班長の適性がありそうな者や、屯田兵の指揮が出来そうな者。それと、志信からどの部隊の誰を引き抜こうとしているかなど書かれている。

 これならば、義人が裁定するよりもみんなで決めたほうが良いだろう。少なくともカグラの意見は聞くべきである。

 そう判断した義人はひとまずカグラの到着を待とうと思い、すぐに眉を寄せた。


「カグラはアルフレッドと少し話をしていくって言ってたっけ……ううむ、やはり俺一人でもわかるところだけ処理するか? だけど、今日は会議で決まったことの書類が多いしなぁ……」

『……そんなに巫女を待つのが退屈なら、魔法の練習でもしたらどうじゃ?』


 どうしたものかと手持ち無沙汰に周りを見ていると、義人の傍で鞘に納まったノーレが思念通話を繋げて話しかけてくる。


「魔法ねぇ。うーん……それもいいか」

『魔力の感覚ぐらいは掴めるようになったんじゃろ?』

「かなりあやふやだけどな。しかし魔法の練習と言われても、どうすれば良いのか皆目見当もつかないぞ? ノーレを使えばいいのか?」

『戯け。妾を使ってはお主の鍛錬にならぬではないか。自身の力だけで成し遂げてみせよ』

「いやいや。そのためにはどうしたら良いかが知りたいんだけど」


 そう言いつつ、義人は自分の右手を見つめた。

 魔力とやらの感覚は多少掴んだ。しかし、その魔力をどう使えば魔法を使えるかなど知るはずもない。


「漫画やゲームみたいに、魔法の名前を唱えたら発動する……なんてことはないよな」


 ぼんやりと呟き、試しにゲームで知っている魔法の名前をいくつか唱えてみる。万が一発動したら洒落にならないので、一応右手を窓の外に向けながらではあるが。

 だが、当然のように魔法が発動することはない。そのことに義人は小さく苦笑すると、相棒たる王剣に話を振った。


「なあノーレ。魔法を使うのってイメージ……想像することが大事なんだっけ?」

『そうじゃのう。あとはそのイメージとやらに合わせて魔力を外に放つんじゃが……』

「魔力を外に、ねぇ……」

『まあ、お主がどんな魔法を扱えるかまだわからんしな。今はとりあえず、自身にかける『強化』の練習から始めるべきじゃ』

「そんなもんか。いや、それにしても暑いな」


 ノーレとの会話を一度切り、義人は窓の外へと目を向ける。

 窓の外では元気に蝉が合唱し、日差しはうだるように熱い。

 元の世界に比べればほんの少し涼しいのだが、この世界にクーラーなどがあるはずもなく、その分暑く感じる。


「せめて扇風機でもあればな……」


 いっそサクラに魔法で氷の塊でも作ってもらおうかと思案するが、義人の言葉に興味を惹かれたノーレが疑問の声を上げた。


『のう、ヨシト。その『扇風機』というのは一体何じゃ?』


 かけられた声は、微妙に好奇心で弾んでいる。さすがは『知識と風の王剣』だなと義人は妙に感心しつつ、頭で扇風機を想像した。


「そうだなー。少し曲がった羽が回転して、それで風を起こすんだ。こう、ブワーっと」


 そう言って、風を表現するように義人が手を振る。


 ―――その瞬間、机の上に鎮座していた書類の山が一つ崩れた。


「…………は?」


 『風』に(あお)られたように書類の山が傾き、崩れて書類が宙に舞う。山の一角が崩れると、そこからさらに連鎖するように他の書類の山も崩れ、机の上に積まれていた書類が音を立てながら地面へと散らばった。


「あ……え?」


 それを呆然と見ていた義人は、とりあえず左右を確認する。ついでに天井と床を交互に見つめ、続いて閉まっている窓へと目を向けた。そして最後にノーレへと目を向けて、咎めるように口を開く。


「魔法を使って書類の山を崩しちゃ駄目じゃないか、ノーレ」


 完全に濡れ衣である。


『こ、の戯けは……崩したのは自分じゃろうが! 妾の所為にするでない!』

「ハッハッハ。手で扇いだ程度で崩れる量じゃないって。ほら、俺は怒らないから白状してみ? カグラには怒られると思うけど」


 笑顔で怒るカグラを思い浮かべ、義人は頬が引きつった。それでもなんとか表情を元に戻すと、義人は僅かに声を小さくする。


「ま、まあ冗談は置いといて。今のって、本当に俺? 手で扇いだだけだぞ? 元からバランス……書類の置き方が悪かったんじゃないか?」

『いや、今のはお主が自分でやったことじゃ。そよ風程度ではあったが、魔力を使って風を起こした。現実逃避をするでない。そんなに巫女に怒られるのが恐ろしいか?』

「もちろん恐ろしいっすよ」


 ノーレの言葉に即答する義人。それを聞いたノーレは、呆れたように声を漏らす。


『尻に敷かれておるのぅ……』

「ノーレは怒られたことがないからそう言えるんだよ! この前エンブズの一件で俺が倒れた時のことを忘れたのか!?」


 思わず義人は力説する。

 自分のことを心配して説教してくれたのは有り難く、また嬉しくもあった。しかしそれが原因で泣かれ、さらには硬い木で作られた机にヒビが入るまで殴打するのを目の前で見せ付けられたのだ。


「あれも『強化』を使っていたんだろうが、正直怖かった。机がミシミシと悲鳴を上げてるなーとは思ったけど、まさかヒビが入っていたとかね」

『自業自得じゃろう』

「……いや、そう言われたら俺の負けだけどさ。まあ、怖いというよりは苦手。もしくは申し訳ないってところ。とりあえず、説教は勘弁してほしいなーと」


 最近は本当に遠慮がなくなってきたため、説教にも遠慮がなくなってきている。あまり説教を受けるようなことはないが、その分説教する内容をストックしているのではないかと義人は考えていたりした。

 もっとも、説教ではなく小言程度ならよく聞かされるのだが。


『やはり尻に敷かれて……む?』

「どうした?」

『この魔力、巫女が来よったな』

「なっ!? ちょ、待て! まだ少しも片付けていないんだぞ!?」


 義人は慌てて散らばった書類を集めようとするが、それよりも早く、カグラが軽くノックして入ってくる。


「それではヨシト様、今日も頑張り……」


 言葉が途切れた。そして、地面にしゃがみこんで書類を集めていた義人と目が合う。

義人は正座すると、背筋を伸ばして両手をついて頭を下げ、


「が、頑張ります」


 とりあえず、土下座した。




「もう! 一体何をしてるんですか!?」

「いや、本当にすんません」


 義人は土下座を止め、ひたすら頭を下げる。そしてお茶を持って来たサクラにも手伝ってもらい、書類を集めていく。


「カグラが来るまで暇だったから魔法の練習をしてみたら、本当に成功して書類の山を崩しちゃったんだ」

「なんで室内で魔法の練習をしようとするんですか! 魔法が発動したらどうす……」


 義人の言葉に反射的に返答していたカグラは、そこで動きを止める。そしてもう一度義人の言葉を思い返し、小さく眉を寄せた。


「……魔法で、風でも起こしたんですか?」

「あ、ああ。扇風機っていう俺の世界にある機械を想像しながら手を振ったら、少しだけど風が起きて書類の山が崩れたたんだ」


 そう言いつつ、義人はもう一度扇風機をイメージしながら右手を振ってみる。すると、手で扇いだにしては強い風がカグラの前髪を揺らした。


「おお! 偶然じゃなくて本当に俺が風を起こしてたのか!?」


 少し離れたところにいたカグラの前髪が揺れたのを見て、義人が嬉しそうに笑う。そんな義人を見たカグラは考え込むように目を閉じ、数秒経ってため息を吐いた。


「そういうことなら仕方ないですね……ですが、これからは書類の山に向かって魔法を放ったりしないでくださいよ?」

「もちろん。というか、魔法が発動するとは思ってなかったんだよ」

「たしかに。しかも、ノーレ様を使ったわけでもないのに風の魔法ですか……」

「そよ風程度だけどな」


 そう言いつつ、義人は自分に向けて風を送ろうとする。だが、今度は扇風機をイメージしていなかったため風が起こることはなかった。

 そのことに苦笑しつつ、頬を掻く。すると、カグラの観察するような視線に気づいて義人は首を傾げた。


「そんなに凝視されると困るんだけど……魔法を使って何か問題があったか?」


 もちろん、書類の山が崩れたこととは別でだ。


「いえ、問題というほどのことではないのですが……まさか『強化』を通り越していきなり風の魔法を使うとは思いませんでした。余程風と相性が良いのでしょう」

「良いのか? 俺は魔法に関してもまったくの素人だから、相性が良いか悪いかなんてわからないぞ?」


 義人の言葉にカグラは首を横に振る。そして足元の書類を一枚つまみ上げると、それを風に乗せて執務机の上へと飛ばして義人へと視線を向けた。


「今、わたしは風の魔法を使って書類を机の上へと飛ばしました。しかし、書類は見えても風は目に見えなかったはずです。そうですよね?」

「ああ、そりゃそうだ。風は透明だしな」

「そうです。風は目に見えるものではありません。故に形を想像することが難しく、魔法の中では難易度が高い魔法なんです。そして相性……資質と言い換えてもいいですが、風の魔法を使える資質を持つ者は少ないです。これは祖先に風龍や風を操る魔物がいないと」

「ストップ! いや、待て!」


 さり気なく飛び出した見過ごせない発言に、義人は待ったをかける。その突然の静止にカグラは言葉を切り、不思議そうな顔をした。


「何かわかりにくいところがありましたか?」

「いやいや、わかりにくいんじゃなくて! 祖先に風竜や風を魔物がどうとか言っただろ? それってどういうことなんだ?」

「……説明したことありませんでしたっけ?」

「だからこうして聞いているんだけど?」


 それもそうですね、とカグラは呟き、解説するために言葉を紡ぐ。


「そもそも、人間には魔力なんてものは存在していませんでした。魔力を持つのは神や悪魔、魔物などで、本来人間は魔力を持っていません。しかし、今現在魔力を持つ人間は存在しています。何故だと思いますか?」


 問いかけに、義人は小さく唸って考え込む。いくつかの回答が頭に浮かぶが、その中でも一

番可能性の高そうなものを選んでいく。


「んー……魔力をもらった? いや、違うか。両者の子供が引き継いだ?」

「はい。魔力を持つ者と持たない者、その両者の子供が魔力を持ち、さらにその子供が魔力を持つ。中には魔力を持たない場合もあったそうですが、それでも多くの人間が魔力を引き継ぎ、次代へと繋いでいく……そしてわたしやサクラのように、魔力を持つ人間が生まれたわけです」

「へぇ……そうなのか。ということは、俺もそうなのかな?」


 人間と人間でないものが結ばれる話ならば、元の世界でも話を聞いたことがある。

 それは、人間とは違った種類の存在と人間が結婚する異類婚姻譚(いるいこんいんたん)

 有名なところで言えばギリシア神話の『プシケー』や、グリム童話の『かえるの王さま』。日本で言えば『鶴女房』や『蛇女房』。特に、『鶴女房』は『鶴の恩返し』と言えば大抵の人はご存知だろう。

 世界各地に存在するその説話。義人は誰しも一度は聞いたことのある話をいくつか思い出す。そんな義人を見ていたカグラは、少しばかり申し訳なさそうに微笑んだ。


「残念ながら、ヨシト様の世界もこの世界と同じとは限りません。そちらの世界は魔物もいない平和な世界だとか。それに、魔法もないんですよね?」

「アルフレッドみたいにエルフに関する話とかはあるけど、こっちみたいな魔法はないな。黒魔術とか霊感とか、そういったものは今でもあるみたいだけど」

「そうですか……と、話が逸れちゃいましたね。そうやって魔力を持つ者と持たない者が生まれ、魔力を持つ者は魔法という技術を編み出しました。まあ、技術というのはいささかあやふやなものではありますが、長い年月をかけて魔法の歴史を築いてきました。そして、ここからが先ほどの話に戻ります」


 そう言って、カグラは右手で三本、左手で四本の指を立てた。


「基本的に、魔法は三種類あります。身体能力などを向上させる補助魔法。怪我を癒す治癒魔法。そして、攻撃魔法です。攻撃魔法はそこからさらに四種類に分かれ、炎と氷、風と雷の四属性があります。これらを扱うには魔力が必要で、どの魔法を扱えるかは本人の資質に()ります。補助魔法は魔力を扱えれば覚えることができるので割愛しますが、それ以外の魔法には相性があります」


 カグラは左手を下ろし、右手の人差し指だけを立てる。そして指先に小さな火を灯すと、続いて小さな氷。そして最後にそよ風を発生させる。


「以前も言いましたが、ミーファちゃんは炎。サクラは氷。そしてわたしはその二つに加えて風と治癒魔法を使うことができます」

「四つ? いや、補助魔法も入れたら五つか。そんなに使えるものなのか?」

「才能と生後の修練次第、ですね。わたしは本来治癒魔法と相性が良かったのですが、『カグラ』たるもの他の魔法も使えなくてはいけません。そのため、色々と苦労したんですよ?」


 冗談めかしてカグラが言うが、その表情は決して笑ってなどいない。薄く悲しみを纏った瞳を見て、義人はどうしたものかと口を開く。


「そっか……すごいんだな、カグラは」


 結局、口から出たのはそんな言葉だった。だが、そんな言葉でもカグラは小さく笑う。


「ありがとうございます。これだけの種類の魔法を使えるのは、世界でも数人ぐらいだと思いますよ?」


 場の雰囲気を変えるためか、今度こそ笑いながらカグラが告げる。そのどこか誇らしげな顔に、義人は内心ほっとしながら話に乗った。


「数人!? そりゃすごいな! 全種類の魔法を使える奴はいないのか?」

「さすがにいませんよ……と、言いたいところですが、この国が建国された時の初代の『召喚の巫女』である、ミレイ=シーカー様は全種類の魔法が使えたそうです。一説ではそれだけに留まらず、重力や時間なども操ることができたとか。召喚魔法の陣なども作られたことから考えるとあながち嘘とも思えませんし、それ以来、『召喚の巫女』になる者は全てミレイ様のような魔法使いを目指してきました」

「そうなのか。っと、また話を逸らしちゃったな。魔法の相性がどうとかいう話を聞かせてもらえるか?」


 再び話が逸れていたことに気づき、義人が修正する。カグラは頬に手を当てると、楽しそうに笑った。


「ヨシト様と話していると、ついつい必要のないことまで話しちゃいますねー。先ほど生後の修練次第で他の魔法も習得できると言いましたが、いくら訓練しても使えない魔法もあります。それが相性ですね」

「前にも言ってたな」

「はい。例で挙げるなら、ミーファちゃんは氷の魔法を使うことができません。反対に、サクラは炎の魔法を使うことができません。大抵の人は補助魔法を除けば一種類の魔法しか覚えられず、その上炎か氷の魔法のどちらかであることが多いです。治癒魔法は完全に資質の問題なので生後の修練では習得できません。そして、風や雷の魔法を使える者は治癒魔法使いよりも少ないですね。百人魔法使いがいたら、九十人は炎か氷の魔法使い。九人が治癒魔法使いで、残り一人が風か雷の魔法を使えるぐらいです」

「ということは、けっこう珍しい存在なんだな?」

「そうですね。この国で風魔法を使えるのは、わたしと魔法隊のシエラ隊長ぐらいです。シエラ隊長は補助魔法に加え、氷と風の魔法が使えます。惜しむらくは、魔法の技術が高くないことですね。あと数年もすれば魔力量も増え、もっと上の魔法使いになると思いますが。そして、雷の魔法を使える者はいません。本来なら雷よりも風の魔法を使える者のほうが少ないんですけどね」

「そうなのか? てっきり同じだと思ったんだけど」


 風と雷はイメージ的に同じレベルのものだと義人は思ったが、どうやら違うらしい。


「その考えもわからないではないですが、魔法として使うには雷魔法のほうが簡単なんです。そうですね……それでは、試しに雷を頭の中で思い浮かべてください」

「雷?」


 カグラの言葉に疑問を示すが、義人はとりあえず雷をイメージしてみる。バチバチと青白く光る電気から、雨の日の落雷。それを想像していると、見計らったようにカグラが話を続ける。


「それでは、次は風を頭の中で思い浮かべてください」


 そう言われ、義人は風をイメージしようとして首を捻った。扇風機は風を起こすものだから風ではないし、雷と違って風は色がついているものではない。


「……ああ、なるほど。雷と違って、風は透明だからイメージしにくいな。だから風のほうが難しいのか」

「はい。もっとも、雷の魔法を扱える才能がなければ実際に比較もできませんけどね」

「なるほどなるほど。ということは、きちんと風をイメージできたらちゃんとした風の魔法が使えるんだな?」

「さきほどの扇風機とやらは風を起こす道具でしたよね? こちらの世界で言えば扇子(せんす)団扇(うちわ)のようなものでしょうか?」

「ああ、風を起こすって点では同じだな」


 義人が肯定すると、カグラはしばし考え込む。そして小さく手を振ると、それに合わせて風が舞った。


「『いめーじ』するものが風に関係するものでも大丈夫みたいですね……これは新発見です。威力は大分落ちますが、練習するには丁度良いかもしれません」


 何やら納得した様子をカグラに、義人は楽しそうに笑う。


「よし、それじゃあ早速練習を」


 そこまで言うと、それを遮るようにカグラが微笑んだ。


「その前に、まずは政務を片付けましょうね?」

「……はい」


 威圧感のある笑顔を前に、義人は反射的に頷く。

 義人がカグラと話している間にもサクラが書類を集め、机の上では再び山が築かれつつあった。


「政務が早く終わったら魔法の練習に入りましょう」

「……あいよ」


 カグラの苦笑に相づちを打つ義人。

 結局、その日は政務を片付けるだけで終わってしまったが。


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