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異世界の王様  作者: 池崎数也
第五章
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第百二十九話:決行

 窓から差し込む月の光と、机の上に置かれた燭台が照らす明かりの中。カーリア国の宰相であるアルフレッドは、相談があると訪ねてきた財務大臣のロッサとの話を終え、小さくため息を吐いた。


「それでは、失礼します」

「うむ。また何かあれば報告を頼む」


 一礼して去っていくロッサの背中を見送り、アルフレッドは椅子に背を預ける。


「文官と武官の間で溝が大きくなりつつある、か……困ったのう」


 軽く顎を擦りながら呟くが、事は静観できるほど簡単なことでもない。元々文官と武官は折り合いが悪いことが多く、カーリア国もその例に漏れなかった。

 アルフレッドもカーリア国の政治に関わりながら生きて四百年近くになるが、文官と武官の仲が良かったことはほとんどない。職務の内容が違うのだから溝ができるのも仕方ないのだが、それにも限度がある。


「その辺りの公平性がある者が上に立ってくれれば良いのじゃがな……」


 愚痴を吐きつつ、アルフレッドは当代の国王である義人のことを頭に思い浮かべた。

 文官と武官を分け隔てなく扱う―――臣下を上手く扱うという点では、歴代の国王の中でも群を抜いている。それこそ、アルフレッドが仕えるきっかけになった四百年前の国王にも匹敵するだろう。もっとも、匹敵するのはその一点だけで、他の要素は劣っているのだが。


「どうしたものかのう……やはり、シノブ殿を新しい国王に立てるべきか……しかし、それだとカグラが反発するし、シノブ殿はどちらかというと武官寄りじゃ……ヨシト王が戻ってくればすべて解決するんじゃがなぁ」


 義人達が姿を消して既に二ヶ月近くが経過している。他国も間諜を通じて義人達が姿を消したことをつかんでいる頃だろう。少なくとも、レンシア国とハクロア国は既に気づいているものとアルフレッドは見ていた。

 王がいない国など、いくらでも崩しようはある。このままでは遠くない内に他国からの侵略を受けることになるだろう。

 アルフレッドには前代の国王が死んでからの十年、カーリア国を国として存在させた実績もあるが、それは奇跡に近い。アルフレッド自身の内政における手腕と、他国の状況や自国の価値が低いことが功を奏したが、今ではそれも難しい。良くも悪くも、今のカーリア国には価値があるのだ。

 商工業面では、玉鋼というカーリア国独自の特産物もできた。軍事面では『召喚の巫女』であるカグラがいる。

 最悪、国土を脅かさぬ代わりにカグラや玉鋼の製法を差し出せという要求が来る可能性もあった。無論、アルフレッドとしてはそんな話を持ちかけられても受ける気はない。


「レンシア国と同盟を組めば当面は凌げそうじゃが、そうなるとハクロア国と戦うことにもなるじゃろうしな……それに、国王抜きの判断では同盟もできんか」


 義人達が戻ってくれば万事解決とまではアルフレッドも考えていないが、現状が好転するのは間違いない。ほんの一部の問題を除いてではあるが。

 ほんの一部の問題―――それは、カグラについてである。

 義人が姿を消してからすでに二ヶ月近くの時が経っているが、最近カグラの様子がおかしい。義人が姿を消した当初こそは情緒不安定なこともあったが、今では毎日笑顔で働いている。

 そう、笑顔で働いているのだ。何か心境の変化があったのか、政務にも身が入っているし、国王代理である志信の補佐も的確にこなしている。特に、ここ数日の働き振りはアルフレッドにも目を見張るものがあった。

 何があったのかと不審に思ったアルフレッドは一度カグラを呼び出し、話を聞いてみたこともある。そして、その時の回答を聞いてアルフレッドは思わず絶句した。



 ―――だって、もう少しでヨシト様が戻ってくるんですから。



 笑顔で、カグラはそう言った。義人が戻ってくると、何一つ疑わぬ瞳でそう言い切ったのである。

 何故、とは聞かなかった。方法は一つしかない。

 止めろ、とは言えなかった。国王を再度召喚すれば現状を乗り切れる可能性が高い以上、カグラを諭せるだけの理もない。

 確かにもうじきカグラの魔力は完全に回復する。そうなると、再度『召喚の儀』を行うことも可能だろう。しかし、カグラは気づいていない。否、もしくは気づいても敢えて無視しているのかもしれない。


 再度『召喚の儀』を行っても、絶対に義人が召喚されるという保証はどこにもないことに。


 そもそも、五十年に一度という規則を破って行うのである。成功するかと聞かれれば、アルフレッドとしても首を傾げざるを得なかった。


「それでも、あの子はやるんじゃろうな……」


 ため息と同時に独白し、アルフレッドは額に手を当てる。

 カグラが義人を再度召喚しようとしているのは、間違いなく私心だろう。『召喚の巫女』としてではなく、カーリア国を背負う一人の臣下としてでもなく、カグラと言う名の一人の少女が下した決断。力づくで止めることも可能だが、宰相であるアルフレッドと『召喚の巫女』であるカグラが争うわけにもいかない。もとより、言って聞くような問題でもない。


「この時期に『カグラ』が魔力を失うのは危惧すべきことじゃが、他国の情勢を見ればまだどうにかなる、か……それに、滅多にない“あの子”の我が儘じゃ」


 宰相として考えるならば、全力でカグラを止めるべきだろう。しかし、アルフレッド個人としては止める気はない。

 失敗すると決まったわけでもないのだ。もしかすると、再び義人達が召喚されて万事が上手く収まる可能性もある。


「シノブ殿達も何やら動いておるようじゃしな……さて、時代の変わり目でも近づいているのかのう……」


 現在のカーリア国に愛着はあるが、このままでは遠くない内に破滅する可能性が高い。アルフレッドが奔走すればどうにか丸く収まる可能性もないではないが、いつでも時代を動かすのは人間である。

 この国の宰相ではあるが、魔物である自分は傍観に徹する。

 アルフレッドはそう決めた。






 義人が姿を消して二ヶ月近くの時が過ぎた。

 その間の時の流れが早かったのか、それとも遅かったのかはカグラにもわからない。ただ、無味乾燥とした時間が流れていたことだけは確かである。



 ―――でも、それも終わりですね。



 心中で呟き、カグラは月明かりに照らされた自室の中へと視線を向けた。

 眠るための寝台と、持ち込んだ政務をこなすための机。それに衣装箪笥と小物を入れるための棚。石造りの床には絨毯が引かれているが、それも豪奢なものではない。必要最低限の物だけが置かれた部屋である。

 カグラは小物を入れるための棚へと近づくと、引き出しを引く。そして中から『魔計石』を取り出すと、壊れ物を扱うかのように握りしめた。すると、透明だった『魔計石』が徐々に色を変えていく。

 紫、藍、青、緑、黄、橙、赤と七色に色を変え、それでも握り続けると『魔計石』にヒビが入り、遂には砕けて絨毯の上へと散らばった。『魔計石』で測ることができるのは、普通の魔法使いのおよそ百人分の魔力までである。それ以上の魔力を持つ者が握った場合、『魔計石』自体が測りきれずに壊れてしまう。

 そして、カグラ自身の魔力は最大まで回復すれば『魔計石』の計測可能な容量まで到達する。カグラも自分の魔力がどの程度まで回復しているかはおおよそ感覚でわかるが、『魔計石』を使うほど正確ではない。しかし、感覚として魔力は全快しており、その予想を証明するかのように『魔計石』も砕けた。

 その結果を目の当たりにして、カグラの唇が緩やかに弧を描く。

 『召喚の儀』から九ヶ月ほどの時が流れ、ようやく魔力が全快した。本来ならばあと一ヶ月ほどかかったが、商人であるゴルゾーから購入した魔法具―――『魔石』によって魔力の回復速度が速まったおかげだろう。給金の使い道がなかったカグラにとっては、ゴルゾーから『魔石』を購入するだけの金もあった。


「これで、もう一度召喚ができますね」


 ぽつりと、カグラの口からそんな呟きが零れる。

 義人が姿を消して二ヶ月。

 義人が“向こうの世界”へと帰って二ヶ月。

 義人と言葉を交わすことがなくなって二ヶ月。

 義人の顔を見ることがなくなって二ヶ月。


「……っ!」


 強く、右手を握りしめる。

 思えば、ここまで執心することになるとはカグラ自身思っていなかった。

 『召喚の巫女』として国王を補佐し、カーリア国を繁栄させていく。『召喚の儀』を行う前のカグラはその程度しか考えていなかった。無論、歴代の『召喚の巫女』と同じく、新しい国王にその身を捧げることも理解し、覚悟していた。ある意味では、『召喚の巫女』とは召喚した人間をカーリア国に縛り付けるための役目でもある。女として新しい国王に抱かれ、情を植え付け、この国で生きていくよう囁く。そこに愛情はなく、カーリア国への忠誠心と愛国心しかない。

 少なくとも、本心からカグラはそう思っていた。

 カグラは小物を入れる棚から小さな装飾された木箱を取り出すと、蓋を開いて中から木製の()(ぐし)を取り出す。髪留めとしても使えそうな落ち着いた色合いの手櫛は、かつて義人から贈られたものである。もっとも、贈られてからは大事に仕舞い込んでいたため、余程のことがない限り使うことはなかった。カグラは手櫛を手に取ると、大切に、抱きかかえるようにして胸元に当てる。

 義人自身から受け取った日のこと。

 レンシア国で髪を留め、共に踊った日のこと。

 他にも、義人の傍で過ごした日々がカグラの中で思い起こされる。

 何気ない日常も、カグラにとって掛け替えのないものだった。そして、そんな日々を過ごす内にカグラの中で芽生えた想いがある。

 初めは忠誠心に近い感情だった。しかしそれがすぐに親しみを込めたものになり、好意に変わった。それも、今ではしっかりとした恋慕の情がカグラの中に根差している。

 一体いつ頃から義人に惹かれていたのか、カグラにもわからない。元々恋愛とは無縁の存在であり、周囲の環境もそれを後押ししていた。

 記憶にある自身の母や、前代の周囲にいた女性のことを思えばそれも当然だろう。

カグラの父でもある前代の国王は、見目麗しい女性と見れば見境なく手を出していた。既に十年以上前に殺されたが、その所業は幼い頃のカグラから見ても唾棄すべきものだったのである。故に、カグラは新しく召喚した国王に惹かれることなどないと、そう思っていた。


「ふふ……それなのにここまで強く想うなんて……昔のわたしなら思いもしませんでしたね」


 自嘲するように笑うが、後悔はない。そして、これから自分が行うことに対する躊躇もなかった。

 状況証拠しかないが、義人達は“向こうの世界”へ渡って元の生活に戻ったのだろう。今頃平和に過ごし、“こちらの世界”のことを忘れようとしているかもしれない。

 義人の性格を知っているカグラとしては、それはないと言い切れる。しかし、『自分のことも忘れようとしている』と思えば、平静ではいられなかった。

 当初は召喚されたことに対し、怒りを見せた義人である。再度召喚したとなれば、その怒りがどれほどになるか計り知れない。

 再び怒鳴られ、憎しみに近い目で見られるかもしれない。今度こそ、手に持った剣で斬りかかってくるかもしれない。

 そんな可能性を考えるだけで、挫けそうにもなる。しかし、義人に再び会いたいという感情がその恐怖を上回った―――上回ってしまった。


「ごめんなさい、ヨシト様……」


 謝罪は一度。

 そこにいたのは『召喚の巫女』としてではない、一人の“少女”だった。

 カーリア国の現状を考えるならば、自分が今から行う行為は褒められたものではない。カーリア国最強の矛であり、盾でもあるカグラが魔力を消費しようというのだ。だが、それらの状況をすべて踏まえた上で、カグラは決断した。

 カグラは手櫛を木箱に戻すと、元の位置に戻して棚を閉める。そして『魔石』が懐に入っていることを確認すると、部屋に設けられた窓を開け放ち、何の躊躇もなく飛び降りた。

 全身を使い、カグラはほとんど音を立てずに着地する。カグラには護衛の必要がないため巡回の兵士が部屋を訪れることはなく、現在カグラが着地した場所も巡回の経路から外れている。そのため、カグラはいっそ気軽な足取りで歩き出した。

 天上を覆う星空に、夜であっても地上を照らす月の光。特に今日は満月だったためか、視界は明るい。

 冬らしい肌寒さがカグラを包むものの、これから先のことを思えば気になることはなかった。

 全快した魔力に、ゴルゾーから購入した『魔石』。これだけあれば再度の召喚は可能だとカグラは判断している。あとは城の外れに建てられた召喚用の祭壇まで行き、『召喚の儀』を行うだけだ。


「…………?」


 逸る気持ちを抑えながら進むカグラだったが、不意にその足が止まる。そして注意深く前方の様子を窺い、僅かに腰を落とした。

 


 ―――これは、魔力?



 自身の進む先に、魔力を持った何者かが潜んでいる。それを認識したカグラは静かに臨戦態勢を取った。


「そこにいるのは誰ですか?」


 誰何(すいか)の声をかけつつ、カグラは思考を巡らせる。

 夜間に城の外に潜む人物。それも、離れた場所からでも感じるほどの魔力を持っているのだ。他国の間者か、もしくは暗殺者か。魔力を持つ以上戦闘能力を持っている可能性が高いため、後者である可能性が高い。

 そうやって警戒するカグラだったが、その人物はあっさりと姿を見せる。


「……サクラ」


 姿を見せたのは、サクラだった。常のメイド服を身につけているものの、その身に纏う雰囲気は普段とは比べ物にならないほど研ぎ澄まされている。

 サクラはここ最近のカグラの様子からもうじき再召喚を決行すると踏み、待ち伏せていたのだ。そして、当たってほしくはなかったが、予想通りカグラが姿を“見せてしまった”。


「カグラ様……一体どこに行かれるつもりですか?」


 まるでカグラの行く手を阻むように、サクラはそう告げる。それを聞いたカグラは、サクラの考えを理解して眉を寄せた。


「わかって聞いているのでしょう、サクラ?」

「はい。召喚の祭壇に行かれるつもりですよね」


 カグラの言葉に、サクラは戸惑うことなく頷く。それを見たカグラは、ならばと口を開いた。


「それならわたしが何をするかもわかるでしょう。そこを退いてください」


 止めるのならばサクラでも許さない。そんな意志を込めた目でカグラはサクラを見る。


「お断りします」


 しかし、サクラは毅然とした様子で首を横に振った。


「……あら、サクラはヨシト様にもう一度会いたくないんですか?」


 カグラの声色が冷たいものへと変わるが、それでもサクラは一歩も退く気配を見せない。

 カグラの言葉に表情を変えるものの、それはカグラの言葉に気圧されたものではなかった。


「わたしだって、もう一度ヨシト様にお会いしたいです」


 それは小さく、確かな願望を込めた声。サクラとて、会えるものならもう一度義人に会いたかった。そして、もう一度仕えたかった。だが、それとは別に義人自身の幸福を願う心も確かに存在する。


「でも、それはヨシト様の意思を無視しています!」


 一度召喚をしている以上、カグラはおろかサクラにもそんな台詞を言う権利はないのかもしれない。しかし、義人に仕える前ならば決して言えなかったであろう言葉でもある。カーリア国でもなく、カーリア国王でもなく、義人自身のためを思っての言葉など。


「ヨシト様は、“こちらの世界”よりももっと平和な世界で生きるべきです。だからカグラ様、わたしは全力であなたを止めさせてもらいます」


 明確に戦う意思を示すサクラに、カグラは困ったような視線を向けた。それはまるで、幼い子供に駄々を捏ねられた母親のような反応に近い。


「あなただけでわたしを止められると?」


 確かにサクラはカーリア国でも指折りの使い手ではある……が、それだけだ。少なくとも、カグラにとっては『それだけだ』と片付けることができる。もしもカーリア国の全軍を率いていたならば話は別だが、周囲に大勢の兵士を伏せている気配はない。


「止められる、止められないではないんです……止めます」


 それでも、不退転の決意を込めてサクラは対峙した。カグラがサクラの力量を知るように、サクラとてカグラがどれほどの力量を持つかは知っているのだ。魔力の量でも大きな差があり、魔法の技術でも“一部”を除いて大きな差がある。

 恐怖がないと言えば嘘になるだろう。明確な敵意を持ってカグラと対峙するなど、生まれて以来考えたこともない。だが、カグラがもう一度義人に会いたいと思ったように、サクラも思ったのだ。



 ――例え二度と逢えなくとも、平和な世界で義人が幸せに生きるのならばそれで良いと。



 それがサクラなりの忠誠であり、義人への好意の形だった。そして、その考えに同調するのはサクラ一人ではない。


「よく言った、サクラ」


 そんな声を響かせて、カグラを間に挟む形で志信が姿を見せる。手には『無効化』の棍を持ち、動きやすさを重視したのか半袖のシャツに薄手のズボンという服装だった。

 完全に気配を消していたため気づけなかったのか、姿を見せた志信にカグラは僅かな驚きを覚える。


「カグラ、お前の気持ちもわからんではない。だが、義人の意思を無視した召喚は止めてもらう」


 思いとどまらせるための志信の言葉に対して、カグラは感情の見えない声で呟く。


「……ヨシト様が“こちらの世界”に戻りたいと思っている可能性もありますよ?」

「たしかにその可能性もある。だが、あいつならば戻ろうと思えば自力で戻る方法を探すだろう。そんな奴だ」


 そう言うと、志信は付け足すように、無自覚に爆弾を投下した。


「それに、傍に北城もいる。何かあれば義人を支えるだろうさ」


 その言葉を聞いた瞬間、ざわりと、カグラの雰囲気が変わる。それを目の当たりにした志信は、戸惑ったように目を瞬いた。


「む……何か変なことを言ったか?」

「シノブ様、それは藪蛇というものです」


 呆れたようにサクラが呟くが、すぐに気を取り直す。既にカグラから放たれる気配が剣呑なものへと変わっており、これ以上気を抜ける状況でもなかった。


「……わたしは、もう一度ヨシト様に会いたいんです」


 自分に言い聞かせるように、カグラはもう一度だけ自分の願いを口にする。自分の胸の中にある感情は、これ以上抑えようとしても抑えられない。



 ―――もう一度逢いたい。



 その一念を込めて、カグラは宣言した。


「そのためにも……押し通ります」


 カグラの声色と雰囲気からこれ以上の問答は無意味と判断した志信は、小さく首を横に振る。


「是非もなし、か。いくぞ、サクラ」

「はい!」


 そして、志信とサクラは申し合わせたように同時に地を蹴るのだった。



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