表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
278/389

Σ(゜д゜lll)  赤の回廊で激突(マユハ視点 その四)

 マユハが左前方に加速すると、相手メモリが三発目を発射してきた。


 これまでとは違って、弾の速度が明らかに遅い。


 と思った瞬間、マユハの数メートル手前でいきなり、ペイント弾が空中破裂した。緑色のペンキが放射状に飛び散り、正面の視界をさえぎってくる。


 やはり使ってきたか。


 先行する弾と同じ軌道で、後続の弾を発射してくる技だ。


 あの二つの弾には、速度の差が存在する。この差は、彼女メモリが意図的につけたものだ。


 後ろの弾の方が速いので、前の弾に追いつき、二発は空中で破裂する。その際、大量のペンキを、周囲にまき散らすのだ。


 スピード任せに直進してくる役者なら、ペンキの中に自ら突っ込んでしまうだろう。


 そうでない役者に対しては、前方の視界を一時的にふさいでしまう。


 あの島でメモリが、繰り返し練習していた。だから、この技のことをマユハは、すでに知っている。そのため、ペンキに突入する前に、足を止めることができた。


 今のが三発目と四発目なので、残るペイント弾は四つ。


 マユハは耳に集中する。前方の視界を塞がれた以上、メモリの攻撃は、目に頼っているだけではかわせない。


 三発の発射音がした。一発だけが先行して、他の二発は連続だった。


 聞こえた音、その微妙なくせを頼りに、マユハは右側へと走り出した。


 あの日、実戦形式のテストで、ただペイント弾を喰らいまくっていたわけではないのだ。


 いずれ《関所回廊せきしょかいろう》で対決する時のために、情報収集をおこたらなかった。その成果が、この場面でかされている。


 マユハは移動しながら、視線の端を横へと流した。


 離れた場所を、三発のペイント弾が通過していく。


 さっきいた場所からだと、左に一発、正面に二発という軌道だ。右への移動で正解だった。


 これで、残りのペイント弾は一発になった。最後の一発。


 ただし、ここからのメモリは、驚異的な集中力を発揮してくる。あの日、彼女の「最後の一発」から逃げのびた《役者勢やくしゃぜい》は、一人もいない。


 本来なら絶望しかない状況だが、マユハは気持ちがたかぶってくる。


 今度はこちらが、とっておきを出す番だ。


 対メモリ専用の「秘策」。足を完全に止めると、その場にしゃがみ込んだ。


 赤く発光する床に、両手と片膝かたひざをつける。陸上競技のクラウチングスタートのような態勢になった。


 そうしたあとで、右手だけを床の表面から離していく。


 その手を銃をした形にすると、回廊の奥へと照準を合わせた。


 これこそが、メモリを突破するための、たった一回きりの秘策だ。


(いくよ、私の『時空回廊タイムトンネル』!)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ