表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/389

Σ(゜д゜lll)  屋上で

 昼休みに学校の屋上に行くと、先輩がいた。


 彼女は俺に向かって瞳を輝かせると、


「私、私、異世界に転生しちゃうかも」


 それを聞くなり、俺の心は笑顔になっていた。


 だって、こういった非現実的なことを口にする時、いつだって先輩は、本当に嬉しそうな顔をするのだ。


 普段の先輩は、学校では優等生だと思われている。


 そんな周囲の期待にこたえようと、真面目まじめな顔でいることが多いので、こういう自然な顔を見せてくれると、俺も嬉しくなってくる。


 そのあと先輩は、少し神経質そうな顔になると、右手で自分のほっぺを、左手で俺のほっぺを軽くつまんできた。


 これは彼女のくせ。ほほ笑ましい癖だと思う。


 先輩にほっぺをつままれても、俺は特に痛さを感じない。


 なのに彼女は、自分では本気でつまんでいるつもりらしく、自信ありげに、こう言うのだ。


「痛いから夢じゃないね。だから、絶対にかなうんだよ」


 そして、もう一回幸せそうな顔をする。


 そんな先輩が、夏休みの初日に失踪しっそうした。


 それは普通の失踪ではなかった。


 この世界に最初から存在しなかったかのように、彼女は大勢の記憶からも「失踪」することに成功した。


 しかし、その「失踪」には小さなほころびがあり、俺を含む数人の記憶からの「失踪」には、失敗した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ