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王子様と過ごした90日間  作者: 夏野 みかん
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王子様は苛立つ。

まったく…覚えていない俺は何も答える事ができず、シリルに視線を向けたまま、固まったようになっていた、そんな俺をシリルは黙って、しばらく見ていたが、そのうち言葉を選ぶように俺に話し始めた。


「ミランダ姫がエイブに攫われたことは…覚えておいでですか?」


「あぁ…覚えている、俺はミランダを救いに行った…」


「…誰と…ですか?」 



【誰と?】

シリルのその言葉は、心臓に大きな音を立てさせた。





『俺の背中をお前に預ける。』




あの時…


……誰かに…そう言った。



でもいったい誰に?俺は言ったんだ?




俺は…

背中を預けるほど信じた者を…。

忘れてはいけない者を…。



…忘れている?



心臓の音がさらに激しくなり、エイブに剣を向ける悲しげな背中と、そして小柄な体が浮かんだ。





その瞬間、なぜだか眼の前のシリルへと眼がいった。


どうして?シリルへと…眼が行くのだ?


いや、それはあり得ない。

なぜなら…あの背中を…俺は…



抱きしめたいと思った。

すべての悲しみから守りたいと思ったんだ。


あの背中は…女性だ。

愛おしいと思って見た背中だった。



だがそれも…あり得ない話だ。


剣は重い…。

男だってそれなりに鍛錬をしないと、剣を振り抜くことなど無理だ。


それに……あの構えは間違いなく剣の使い方を知っていた。

それも、かなりできると思える。



そんな女性などいるはずはない。




「ルシアン殿下。」


その声にハッとした俺は、シリルへ意識を向けたが、俺を呼んだシリルは躊躇っているように思えた。

だが、軽く眼を瞑ると、もう一度俺を呼んだ。



「ルシアン殿下。ここに参りますまでに、城の者が色々言っているのを聞きました。


私が、陛下のお部屋から離れてすぐに、ローラン国王の声が聞こえたそうです。

【なぜ、こんな事をなさる?!】…と、その言葉と同時に、大きな物音とローラン国王の叫び声が聞こえ、衛兵は入室をローラン国王に止められておりましたが、堪らず陛下のお部屋に飛び込むと、そこには…


ベットに横たわる陛下、そのベットの脇には…王大后様と王妃様と思われる……」と言って、口を閉ざしたシリルに、俺は頷きながら思った。おそらく…もう…人としての形を留めることが出来ない状態になっていたんだ。


大きく息を吐き…

…そうか…お二人はもう…」と口にした、


その言葉にシリルは小さな声で「はい」と返事をすると

「殿下と父は奥のクローゼット近くに…、そして窓際の長椅子には折り重なるように、ローラン国王と王太子様が意識を失って倒れていらしたそうです。」



「王太子?兄上が…?」


「はい、それも…王太子様は右手に短剣を持って、倒れておいでだったそうです。」


「えっ?」


シリルの言葉の意味がわからなくて、もう一度…

「えっ?今…何と言った。」


俺の問いにシリルは

「短剣を持った王太子様、そして首に浅いとはいえ傷があったローラン国王が、窓際の長椅子に折り重なるようにいらしていたと…城の者は言っておりました。」



「お前は…兄が…ローラン王を…と言っているのか?!」


兄上は…そんなお方ではない。


第二王子として生まれながらも、この黒髪を…この赤い瞳を…忌み嫌われた俺は、母とふたりで王家の人間でありながら、隠れるように暮らしていた…そんな中、兄上だけが俺と母に優しかった。


側室とその子供…ましや、その子は呪われているとまで言われていたのに…

【ルシアンは私の弟、第二王子です。これ以上の無礼は第一王子の私が許しません。】とまで、王大后や王妃、そして…貴族らに言ってくださった兄だ。




確かに、娘のミランダを避ける兄上と姉上を、悪し様に言う者がいるのは知っているが、俺はそれにはきっと理由があると思っている。必ず理由があると信じているから、兄上と姉上に、ミランダに会ってくれとは言ったことはない。



俺は信じている。優しい兄が…あの修道女と呼ばれる女の、手先だなんてあり得ない。



だから俺は、淡々と人から聞いた話を報告するシリルに苛立った。


「城の者が口にしていた事を…そんな不確かな事を…わざわざ報告にきたのか!」



苛立つ俺に、シリルは

「私はこの眼で見て、そして感じたものでしか、真実はあり得ないと思っております。」


「ならば、なぜそんなことを言う!」


シリルは透き通るような青い瞳を俺に向け


「その後、私はローラン国王から直接聞きました。ローラン国王は王太子様に…後ろから襲われたと仰っておいででした。」


「ローラン王が、王太子に襲われたと言っておいでなのか?」


「はい。そしてローラン国王の首には、右の首筋から入った短剣のあとが…」


「右?」


「はい、右です。」


シリルはそう言って、俺を見つめ、もう一度言った。


「刃先は右から入っておりました。」


すみません。


(小説家になろう)での投稿が、先行の(アルファポリス)で書いておりますほうに、追いついてしまい、改稿できないままの更新になりそうなので、明日の更新後、お時間を戴いての更新に変えて行きたいと思っております。


明日の更新後、毎日の更新は出来ませんが、よろしくお願い致します。

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