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王子様と過ごした90日間  作者: 夏野 みかん
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はぁ~、お父様は…

『お前は、人を殺ったことはないだろう?』


『俺は、何度も見た。躊躇した為に反対に殺られたところをな。』


『確かに良い腕をしているが…人を殺す事ができない騎士では、主は守れないぞ。』



あの男が言った言葉が…

ルシアン王子の部屋へと向かっていた私の足を止めた。



止まってしまった私の足は、ゆっくりと後ろを振り返り

私の目は、あの男が去っていった方向を追うように動き、そして自分の左腕で止まった。


左腕を掠った短剣は、私の血を吸うことはなかったが…


恐い…と思った。


殺意を持った短剣は、尋常ではなかった。


あの男は…誰に仕えているのだろうか…。仕えている主人によっては…

あの男と剣を交えることになるかもしれない。


その時私は、あの男と同様に殺意を持って、剣を抜くことになるのだろうか…

いや、できるだろうか。そんなことが…


…今は考えるのはやめよう。答えなど出ない。

今すべき事は、お父様に…カルヴィン・アストンと言う名を言っておくこと。


重くなった足に力をいれ、頭の中の不安も恐怖も振り切り、私はルシアン王子の部屋へと歩みを進めた。



*****


私を待っていたのだろうか、ルシアン王子の部屋の前でお父様は立っていらした、でも私を見た途端、お父様のにこやかな顔は…一転、顰めた顔へと変わり、左腕を見て


「…その左袖は…まさか…エイブではないだろう。誰だ?お前の左袖を裂いた者は…」


「カルヴィン・アストンと言っておりました。」


「カルヴィン・アストン…。聞いた事はない名だが…」


「では、傭兵…?」


「そうとは言えないが…わが国の貴族ではないな。お前が遅れを取るほどの腕の者なら、私が知らぬことはない。」


「お父様…。」


「殿下が…動かれる。」


「それは、どういう意味でしょうか?」


「王大后様や王妃様のやりようが、あまりにも安易で、正直私はやはり女性の考えだと思っておった。今回の件もそうだ…花影草、そしてその毒が入った酒をミランダ姫に運ばせる。いかにも、首謀者だと言っているやり方に私はそう思っていたのだが、だが…殿下の読みは違っておいでだ。もっと根は深いところにあると思っておられる。」


「それは、殿下を亡き者にと画策されているのは…王大后様や…王妃様だけのお考えだけでないと、言うことなのですか?」


「あぁ…私が知らぬ腕利きの男が、王宮をうろちょろするなど、王大后様や王妃様のお力だけではできない。もっとまつりごとの中枢におらねばできない事だ。やはり、殿下の推測通りだったか…」


「殿下の推測とは…?私も知りたいです。お会いして…「待て!」」


「お父様…?」


「…いや…ちょっとな。殿下はまた熱が出られてな、今休んで頂いている。」


「そうですか…ずいぶん良くなられたと思っていたのですが…やはり、花影草の毒は侮れませんね。」


「…いや…そうではない…かも…知れん。」


「なんか奥歯に物が挟まったような物言い…ですね。」


「…」


「えっ?」


「ちょっとな、ほんのちょっとだぞ。古武術を…」


「はぁ、なにをやっているんですか?!ふたりとも…。それでですか…それでお父様は医者に、部屋から叩き出されて、ここで私を待っていらしたわけなんですね。」


「さ、作戦だ。殿下が花影草の毒で、寝込んでいらしていると言うことで、相手が油断して…」


「はいはい…もういいです。取り合えず王大后様や王妃様のお近くで、私が調べてみます。後宮に入り込める準備はどうですか?」


「…それなんだが…○○…」


「えっ…今、なんと言われました?」


「…北の塔の皿洗いなら…でも、でもな、給金は良いらしいぞ。」


「はぁ~、お父様…。」


「わ、わかっておる。」


「王大后様や王妃様がいらっしゃるのは、南の塔なんですよ。どうやって、動向を探るですか?!私はバイトを探して欲しいって、言ったわけじゃないんですよ。」


「わかっておる。だが…もうひとつはちょっと厄介なのだ。」


「厄介って…」


「ミランダ姫のお世話なのだ。」


「そんな重要な仕事が…空いているのですか?」


「それが、ミランダ姫のお世話をする侍女は、4人配置されておったのだが、姫に振りまわされて…とうとう2人になってな。補充をしたが、なかなか続かないらしくて、もうこの際、週2回いや1回でもいいからと人を捜しておると言っておった。」


「それは条件ぴったし…じゃないですか。王大后様や王妃様のお近くだし、週に1~2回なら、騎士の仕事にも障りはないし。」


「でも…な。女官長が言っておったのだが…ミランダ姫は今…猫になっているらしい。」


「あ、あの…話がまったく見えないんですが…」


「先々週は妖精。先週は馬に…そして今週は猫らしい。そうやって、自分をなにかに変えて遊ぶのがお気に入りらしい。まだ、商人や、踊りの子のときは良かったらしいが……動物になった時は手を使わずに食事をし、四足で歩き…大変だったらしい。」


確かに大変そうだ。でもこれしかないのなら…やる。


でも…出来れば、私が行くときは、動物は堪忍して欲しいな。


はぁ~問題山積み。

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