表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子様と過ごした90日間  作者: 夏野 みかん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

113/214

1日目①

戴冠式と結婚式を一週間後に控えたローラン国。


国内からそして他国から、大勢の人が王都に集まり賑わいを見せている中。

私はそんな賑わいに背を向けて


……生まれて初めての刺繍をやってます。




事の起こりは、20日前。


キャロルさんの一言。


『ローラン国では、好きな方の持ち物に、その方の名前と自分の名前を刺繍すると、ふたりはどんな困難に当たっても、その愛と絆は切れることがないと言われているそうなんですよ。なんか乙女チックで笑えますよね~!ロザリー様?』


『…キャロルさん。私、刺繍…したいです。』


『えっ?ええっ~!!』


『お、教えてください~!』



【どんな困難に当たっても、ふたりの絆は切れることがない。】



その言葉にドキンとした。

結婚式になにかお渡ししたいと思っていたから、これだ!と思ったんだけど…甘かった。


ルシアン殿下が結婚式に使われる白い手袋を、密かに手に入れた時点で成功だと有頂天だった…あの頃が懐かしい。


まさかこんなに不器用だったとは…何度も針で刺した左手は傷だらけだ。




そんなことを考えていたからか…


「…ロザリー様。これ…ルシアンではなくてルチアーノになってますよ。」


「えっ?」


Lucianルシアン様のnの次に…oが入って…Lucianoルチアーノに…)





絶句…。



「ぁ…あ…、とにかく一息いれましょう。まだ7日あります!7日もです!」

そう言いながら、慌ててキャロルさんは部屋を出て行った。



はぁ~とてもルシアン殿下に渡せない。



【どんな困難に当たっても、ふたりの絆は切れることがない。】


ルシアン殿下とそうありたいと願う気持ちが、この指には伝わっていないのかぁ。

どうして…こんなに不器用なんだろう。



「はぁ~参った。」


「はぁ~…ロザリー。おまえも退屈なのか…?」



私の大きなため息に、後ろから同じような大きなため息が聞こえ、慌てて振り返ると


「お、お父様?いつお見えになられたのですか?」


「さきほどだ…。各国の王家の方が、ローラン国にお見えになられる前に、ローラン国に行くと仰られるミランダ姫にお供してきたが…姫はお疲れのようで眠っていらっしゃるし、ルシアン殿下はお忙しいようだし…退屈で」


そう言って、私をチラリと見て

「まぁ、おまえが暇をしているなら…え~まぁその…私が手合わせをしてやってもいいが…その…暇をしているのならな。」



手合わせ…


ローラン国に来てからは、結婚式の衣装合わせやらで、バタバタしてて…剣の稽古が疎かになっている自覚はあったが、小耳に挟んだ


『ロザリー様って、お美しくて、お淑やかよね。ルシアン様とお似合い。』


侍女達のその言葉に燃えて…剣の稽古は真夜中に隠れてやっている。でもひとりで真夜中に剣の稽古は限界があり、どうしようかと考えていた。


刺繍も、剣も、中途半端。

これではいけない!


汗を掻いて、お父様に剣を見てもらって…気分転換だ。

刺繍をやり遂げるためにも、そうだ気分を一層して!





そう思いながら、俯いていた顔を上げると、お父様が嬉しそうに私を見ていた。


「や、やるか?!」


お父様の流行る声に苦笑しながら頷くと、お父様はレイピアを私へと投げ


「手加減無用で?」


「えぇ、もちろん。」







とは言ったものの…






私は手合わせどころが、人の気配を感じる度に、地面に伏していた。


「…ロザリー。これでは手合わせじゃなくて、匍匐前進ほふくぜんしんをやる為に、ここにいるようではないか。なぁ、鍛錬場でやろう。」


「お父様!ダメです。なにより城内の方々は、私を淑やかな女性だと思っていらっしゃるんです。こ、壊したくない。生まれて初めて言われた、このイメージは大事にしたいんです。」


「淑やか?おまえがか?」

とヘラリと口元を緩めたその顔に、私はムスッとしながら


「そ、そうです!笑わないでください。」



でも…


ルシアン殿下の一番近い場所にいる事が出来る私が、いつでも戦えるようにしておかないと…。


腕を鈍らせる訳には行かない。


淑やかな女性…

うぅ…憧れていたけど…

やはりルシアン殿下を守るのが大事!


両手を握りしめて、お父様を見た。



私の顔をじっと見つめ、息を吐かれたお父様は、ポケットからなにやらチラシを出しながら


「じゃあ、ここはどうだ?」



******


最強剣士トーナメント戦!ローラン国に於いてついに開催!!


来たれ!勇気ある者よ!

己の力を試してみよ!


賞金 $1,000,000


月日   1月10日 


時間   午後13時 


場所   ローラン国記念競技場


応募条件  剣に自信がある者。



*****



「騎士ではない者達の剣だ。荒い剣裁きでやりずらいだろうし、腕に覚えがある者が早々いるとは思えんが、城内で剣を振るのがマズイなら…どうだ。このような大会に出て見ないか?」



「で、出ます!」


と二つ返事で私は答えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ