78話
遅れた~。_(:3」 ∠)_
お詫びじゃないですが、活動報告に申し訳程度の話を載せてありますので、よろしければ読んでやってください。
何故そっちに書いたのかは自分でもわかりません。
二日後。
準備や調整を済ませて城の裏手にある広場に集まった。
「しっかりと頼むぞ」
「ええ、上手くやってみせます」
王様の一言に少し自信なさげに返事をする。
出立式はしないが、広場には王様だけでなく王妃や殿下、フラロッスにチェルベ、さらにはシュプリンタ公爵にミード子爵まで見送りに来てくれた。
「そこは必ずやり遂げて見せるとか、頼もしい言葉を言うところだがな」
苦笑した王様にそう返された。
他の面々にも一言ずつ声を掛けられ、エールを送られた。
まじか~。大々的にやらないって言ってもお偉いさんにこれだけ声掛けられたら……。
おなか痛くなってきた。
胃がキリキリと痛むような感覚を感じながら、元の姿に戻ったカナンカに乗り込む。
姿を消して出発しようとしたのだが、王都内ではそのまま姿を見せたまま行けとお達しがあった。
恐らくは市民へのアピールがあるのだろう。
特に問題があるわけでもなく何事もなく出発し、王都を抜けたところで姿を消した。
「すごいですね。爽快な景色でこれだけ早いとあっという間に到着しそうです」
ジャカードが興奮気味に話を切り出した。
「これでも速度はかなりお抑えてます。道がわからないので通り過ぎるといけませんしね」
「この速さで抑えているのですか。流石は宮廷魔法士殿ですな」
ジオラスも感心している様子だ。
「うぅ。まだ少し筋肉が痛む……」
ランクイロが筋肉痛による悲鳴を上げている。
変身せずに戦ったので、変身しているときと同じような動きをして無理をしたようだ。
「だから言ったのに……。どうせカナンカが無理をさせたんだろ」
『これもランクイロの為を思っての事じゃ。もう一度体の動かし方を見直すことじゃな』
「うぅ……。はい……」
こちらの声が聞こえていたようだ。
無理をさせたことに関しては否定しなかった。
「それよりもちゃんと道があってるか見ててよ?」
「お任せください」
「空から見るのは初めてですが、今どこを通っているのかはわかっています」
会話をしながらも視線ははずさない。
「この早さだとどれくらいで着きそう?」
「明日の昼ごろには到着しそうです」
「じゃあ、このまま街道沿いに進んで休憩できる場所とか教えてよ。昼食とか寝るところとか」
「大丈夫です。大体頭の中で計算していますので」
「昨日二人で話しをしてきましたので、予想外の事が起きない限りは大丈夫です」
「頼もしいですね。速さはまだまだ早くできますので調整も利きます。なので遠慮なく言ってください」
「「わかりました」」
姿を消しているので魔物に襲われることもなく、順調に進めているようだ。
まぁ、カナンカの姿を見たら大抵の魔物は逃げていくだろうけどね。
途中で暇すぎると駄々をこね始めたアマレットに蜂蜜をあげて黙らせる。
パトリームはずっと本を読んでいた。
ランドルフも図鑑を手にとって読み始める。
アプスは護衛の二人と一緒に辺りを見渡している。
きっと頭の中で地図を作っているのだろうか。
デンはいつもどおり昼寝だ。
昼食休憩のために近くの村によって休みを取った。
すぐさまワインを飲もうとするカナンカを制する。
「運転手が酒を飲むな! 飲酒運転ダメ! 絶対!」
「我が下手をするわけがなかろう」
「それ、ダメな酒飲みが言う台詞だよ……」
不機嫌だったが夜までお預けだと言い聞かせた。
昼食をとった後、アプスと護衛の二人が情報収集を始めていた。
「旦那様」
「何かあった?」
この辺りでは影響はないが、ビラントの街から少し離れた場所では野盗が出るという。
迷宮の下層まで潜っていた狩人が狩れなくなったので、中層で狩をして、中層で狩りをしていた人が上層で狩りをするようになり、上層で狩りをしていた人の場所が狭まったためではないかと噂されている。
「でも街の外でも魔物はいるし、普通に狩りをすれば大丈夫そうなのにね」
「なにやら事情がありそうですが……」
「だからといって人を襲っちゃダメだよ」
もし襲われている人を見かけたら助ける方向で話がまとまった。
十分に休憩も取ったので出発を開始する。
その後、日も暮れ始め、森を切り開いた大きな街道に入った頃、ジャカードが何かを発見した。
「ランドルフ殿。人が襲われているようです」
「カナンカ!」
速度を落としてもらって、空から様子を探る。
フラグが立っていたか。
狩人だろうか?
人が三人、仕留めた獲物を抱えながら、後方から襲い掛かる武装集団から逃げている様だ。
「まずいですね。罠に誘導されています」
言葉に従って逃げている先を見ると、木々に隠れている者が何人かいる。
平地ならわからないかもしれないが、上空からだとばればれだ。
「先に待ち構えているやつらを俺が上空から強襲する。その後今襲っているやつらの背後からカナンカと一緒に降りて挟み撃ちにしよう」
「旦那様。ここは私が」
アプスがじっとランドルフの目を見つめる。
「わかった。状況は明らかだし生死は問わない。頼んだよ」
「はい」
カナンカに低空を飛んでもらって、やつらの頭の上を通りかかった瞬間アプスが飛び降りる。
そのときに起こった風のざわめきにまぎれて静かに着地すると、素早く敵に背後から近づき、口を手で押さえながら背中にナイフを突き立てた。
その調子で全滅させ、街道の反対側で待ち構えている相手に気づかれないように素早く移動する。
獲物を見定めているおかげですんなりと移動できた。
あとは同じようにして仕留めていった。
「よし、今襲い掛かってるやつらは生かして捉えよう。情報を聞き出す」
デンが敵の後方に着地して吼える。
驚いた賊は足を止めて振り返り、大きな雷狼がいるとわかると逃げている三人を放って逃げ出した。
そこに待ち構えていた賊を全滅させたアプスが姿を現し、ランドルフたちも着地して合流する。
「な、何だお前達は!」
「ん~、正義の味方?」
「ふざけんな! でかい狼が迫ってきてるんだよ! 道を開けてさっさと逃げろ!」
上から突然降りてきたランドルフを気にしている余裕はなく、デンから逃げることで必死のようだ。
「逃げろと親切に教えてもらったところ悪いんだけど、あの狼俺の仲間なんだよね」
「てめぇ! 魔物使いか! 何のつもりだ!」
賊の言葉には答えず、アプスが隠れていた仲間の死体を放り投げる。
襲われていた三人に護衛の二人が事情を説明し、介抱している。
「な、なんで!」
「見ての通りお仲間はこんな状態だし、大人しく捕まってくれるとありがたいな」
賊達はうろたえるも、後ろから迫るデンに恐怖してランドルフの方に向かって正面突破しようと仕掛けてきた。
「お前をやればあの狼も止まるはずだ!」
「大人しくしろ!」
「小人らしくはないかも」
冗談を言ってみたが相手に言葉を返す余裕はない。
アプスが一歩前にでて対峙する。
「どけ女!」 「邪魔するな!」 「メイド風情が!」
だがそのとき、上からランクイロが降ってきて、賊にぶつかり一網打尽にする。
「「「ぐはっ!」」」
「いったたた。カナンカ様! 突然振り落とすなんてひどいです!」
振ってきたのではなく落とされたようだ。
龍人の姿をとったカナンカだが、少し怒っているようだ。
「おぬしが一人だけ我の背中に残るからじゃろうが! ランドルフの部下ならば真っ先に飛び降りるべきじゃ! アプスを見習うがいい!」
「そ、それは……」
人狼の姿をとれば怪我はすぐに治る。だが痛みまで感じないわけではない。
高いところから飛び降りるということがあまりなかったためか萎縮したようだ。
ちなみにパトリームとアマレットも背中に残っていたのだが数には入っていないようだ。
カナンカと一緒に着地して何事もないように状況を見ている。
「迷宮ではその根性を鍛えなおさねばならんな!」
「す、すみません!」
「その話は後でやってくれ。アプス」
アプスに敵を縛ってもらおうと声を掛けたが、既に縛り終えていた。
「はい」
「いや、なんでもない。それより襲われていた人は無事?」
ジャカードとジオラスの方へ振り向く。
事情を説明し終えたのか、警戒しているいる様子もなくこちらへとやってきた。
「このたびは助けていただき、ありがとうございます」
「「ありがとうございます」」
どうやら男性二人女性一人の組み合わせのようだ。
三人にはランドルフが子爵であるということは話をしていないようだ。
話を聞くと、女性が男性二人の依頼主なのだそうだ。
精が付く食べ物を求めてオーク肉と手に入れるために、一匹倒して欲しいとのことで、何で一緒についてきたのかと言うと……。
「私が囮になればすぐにでも見つかるのではと思いまして」
「余計なものまで釣れちゃったようだけどね」
「「めんぼくない……」」
それにしてもオーク相手に囮なんて勇気あるな~。
そばかすが特徴的な、見た目若い女性が住む村まで案内してもらい、男性二人には依頼達成ということで報酬を渡してお別れした。
別れ際にお礼を言われ、特にカナンカとパトリームには手を握って感謝していた。
何故か同じ女性なのに相手にされないアプス。
その二人何もしてないけど……。
それはさて置きだ。
「宿ってある?」
「一軒だけですが……皆さんを泊められるほど大きな宿ではないので……」
「では我々が外回りの警護もかねて野宿しますので」
「え、それは悪い気が……」
ジオラスが耳打ちしてきた。
「まぁまぁ、ここは護衛の役目を果たすってことで」
「……わかりました。ありがとうございます」
別にランドルフが貴族だということを隠しているわけではないのだが、ばれると厄介事が増えそうなのであえて言わないことにしている。
「ランクイロ。おぬしも外で野宿じゃ!」
「え! ……わかりました」
ギロリとカナンカに睨まれたので承諾する。
「では旦那様」
「頼むよ」
アプスはデンに見張りを任せて街の外に放置していた賊から情報を聞き出しに出て行った。
野宿する三人も一緒である。
「というわけで泊まるのは四人だけど大丈夫かな?」
「ええ。大丈夫です」
アマレットは数に入れていない。
宿に案内してもらい、荷物を降ろす。
「おばさん。私の恩人さんだからよろしくね」
「あいよ、まかせときな。美味しいご馳走を振舞うよ」
「ごちそうとな!」
ご馳走の言葉に反応するカナンカ。
それに対し、みっともない真似はよせと言い聞かせるランドルフであった。
「あの、まだ名乗っていませんでした。わたしクローイと申します。助けていただいて本当にありがとうございました」
「偶然通りがかっただけさ。運がよかったと思っておけばいい」
「いいえ、このお礼はさせてもらいますね!」
そう言って自分の家に帰っていったようだ。
その夜は確かにボリュームたっぷりの料理が振舞われた。
宿屋のおばちゃんのお話つきで……。
カナンカは美味い美味いと言いながら話をまったく聞かずに貪り食っている。
特に昼間にワインを飲めなかった反動か、物凄い勢いで飲み干している。
前にも思ったが、絶対その飲み方はもったいない。
俺は飲んだことないけど、もっと味わって飲めよ……。
パトリームは少食のようだ。
アマレットはアプスから蜂蜜をもらうと、デンと一緒にいると言って街の外に行った。
どうやら退屈だったらしい。
アプスはお行儀よく話半分に聞きながら食べていた。
う~ん。さっきの女性、クローイの話ばかりだ。
しかも内容が若干重い……。
幼い頃に母をなくし、男手一つで育ってきたクローイの話を延々とされる。
今回の事も、父親を元気付けようと、自分のお小遣いを貯めて依頼したようだ。
「それでね、あの子ったら『お父さんが頑張ってるのに自分だけじっとしてられない』なんて言うんだよ? その時まだ六歳だってのにホントにしっかりしていい子でさ―――」
囮になる勇気のあるところは幼い頃から、自分から率先してなんでもやってきた延長なんだろうな~。
食事する手の動きは遅くなり、つい話を聞いてしまう。
しかし……メシはうまいがこの話をずっと聞かされるのだろうか……。
このままでは全然食べられないとばかりに、うんうんと適当に相槌をあわせながら夕食を終えたのであった。
「それで賊のほうは?」
「噂されていた通り迷宮の狩人のはぐれ者でした」
「ん~……。賊に成り下がらなければいけないほどに貧窮しているのか?」
「街を追い出されて行き場をなくしたと言っていました。最初は追い出された者達で徒党を組み、迷宮には入らず街の外で狩りをしていたそうですが、街で何かあったのかもしれません」
「誰かってのが気になるが、暴力団みたいなやつが仕切ってたりするのかな? ここは俺の縄張り的な」
「わかりませんが、明日もう少し詳しく事情を聞きだします」
「頼んだよ」
どうやら面倒臭い事情がありそうだ。
お読みいただきましてありがとうございます。




