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47話

お時間いただきましてありがとうございます。

今回から島のお話です。よろしくお願いします。


 無事に島に帰ってきた。


 辺境伯の軍船があるので、鹵獲した船を港につけることが出来ない。仕方ないので先に港へ行って、岩を切り出して埠頭を造った。


 倉庫の場所を教えて、荷物の積み下ろしをエスドゴに任せ、ダークエルフの人々を街へ案内する。

 立派な外壁と街並みに驚いているようだ。

 長屋に案内してゆっくりと休んでもらう。族長と共に屋敷へ向かった。


 「「「おかえりなさいませ」」」


 辺境伯から派遣されているメイドさんたちが出迎えてくれた。挨拶を返し、紹介を済ませて引継ぎをお願いする。

 彼女らにも出来ればここのまま働いてほしいが、引き抜きはお世話になった辺境伯に失礼だろう。文官さんたちも引き継いだら帰るのだろうが、まだしばらくいてくれるようだ。


 「おかえり、久しぶりね。プレイリー子爵様」


 この島まで情報が届いていたのであろう。少しからかった言い方で、スレンダー美人エルフのベネディッタが出迎えてくれた。


 「お久しぶりです、ベネディッタさん。私がプレイリー子爵である。ひかえおろ~」

 「相変わらず冗談ばかりね。変わってなさそうでよかったわ」

 「成長してないってことですかね?」

 「さぁ?そう思ったならそうなんじゃないかしら?」

 「ぶぇ~」


 ベネディッタは「フフフ」と含み笑いをし、このやり取りも久しぶりだと感じていた。

 アプスはその様子を見て顔には出さないが、心の中は穏やかではなかった。


 何なのだこの女は。旦那様とさも「私はあなたの事分かってる~」みたいに親しく話してっ!!


 「すみませんが調査の報告は後日でお願いします」

 「ええ、先に色々やらなければいけないことも当然あるでしょうし、こちらはいつでもかまわないわ」


 ベネディッタにもアプスやブルグロット達を紹介した。


 くっ、胸は私より無いが、柔らかい物腰からかもし出す大人の魅力。あのいかれたハイエルフとは違う女性らしさは要注意ね。


 アプスは自己紹介しながらも警戒心を抱いていた。


 カナンカが守護竜だと説明すると、「白くて珍しい龍人だとは思うけど、竜だなんて言われても信じられないわ」と言うので、カナンカに竜の姿になってもらった。

 驚いて腰を抜かしたベネディッタは、土下座して平伏し許しを乞うていた。辺境伯のメイドたちや文官も怯えて言葉も出ない様子だ。

 ランドルフが「その辺で勘弁してあげて」と言うと、カナンカが素直に従ったので、その様子を見て持ち直したベネディッタに「やっぱりあなた、変よ」と言われていた。


 解せぬ。


 「あわわわわ。どどどど、どうしようランドルフッ!!あたしカナンカに偉そうな口利いてたっ!!食べられちゃうのかな~」


 小さな妖精のアマレットがランドルフの影に隠れて、怯えながら小声で話しかけてきた。


 「ただの酔っ払いの竜だから大丈夫だよ。おつまみにされたりすることはないって」


 ランドルフはあえて気になるような発言をする。


 「おつまみって冗談だよね?あたしを食べても蜂蜜の味がするかもだけど、おいしくないよ?」

 「蜂蜜とな。それはうまそうじゃの~」

 「ギャァー!!ごめんなさいー!!!」


 こちらの話が聞こえていたのか、カナンカは悪ノリしてくる。


 「カッカッカ。冗談じゃ、食べはせぬよ。ランドルフに怒られてしまうからの」

 「俺が怒らなければ食べるんだ?」

 「さてのぉ~?」

 「ヒィー!!」


 もちろん冗談なのだがアマレットに効果は抜群のようだ。カナンカはカラカラと笑っている。

 その後ちゃんと大丈夫だと分かってもらってからは、仲良く普通に会話をしていた。



 紹介をし終えたので屋敷の中へ入った。

 ダークエルフたちのことを決めないといけない。


 「アプス」

 「……はぃ!!」


 考え事をしていたのか、返事に少し間があった。


 「な、なんでそんな勢いよく返事を?」

 「何でもございません」

 「まぁいい。砦を他のメイドたちと見て回ってきてはどうだ?」

 「そうですね。間取りを把握することは大事ですし、行ってまいります」


 ブルグロットやフェーニ、クニャータ、シャキュピの三人の新人メイドとカナンカと共に仲良く歩いていった。

 見送ってから族長を部屋に案内して入った。


 「さて族長殿。私は街で暮らしたいものは暮らしてもいいし、山で暮らしたいならそちらに案内しようと思う。いかがなされますか?」

 「話し合ったのですが、希望する何人かの若い者は街で、残りは山で暮らそうと思います」


 息子のトクルマティアの事を思い出すと、それがいいのだろうと考えを改めていた。

 山に縛るのではなく、色々と見識を広げてその上で本人に判断させたほうが、第二のトクルマティアを生み出す可能性は低いと考えていた。


 「分かりました。今日はゆっくりしていただいて、明日案内しようと思います。家が建つまではここに住んでいただく形でよろしいですか?」

 「はい。ご配慮ありがとうございます。ランドルフ様にはただただ感謝の言葉しかございません」








 その後、普段着に着替えていると、戻ってきたアプスたちと一緒に街を案内して回った。


 そういえば久々にこのジャケットを着たな。やっぱりこの格好のほうが落ち着くよ。


 長屋にやってきてみんな好きな場所に住んでもらう。

 すると、ポンプの事について聞かれたので説明した。


 「魔法があるのに何故こんな物が?」

 「常識をしらなかったからさ……」

 「しかし魔力を消費しなくても水が出るというのは便利でいいですね。魔法で作る水よりおいしいですし」


 軽く心を抉られたりもしたが、みんな気に入ってくれたようだ。


 「ねぇねぇ、ランドルフがこの街を造ったの?一人で?」

 「そうだよ」


 デンの頭の上に座りながらアマレットが話しかけてきた。


 「頭おかしいねっ!!」

 「……デン」


 デンが小さく角から放電した。


 「ピャァ!!何するのよっ!!」

 「お前はもうちょっと言葉を選べ」

 「何よっ!!せっかく褒めたのに!!」

 「褒める言葉じゃないゎ!!」


 ぷんすか怒りながら文句を言って地団太踏むアマレット。頭の上で暴れられたデンはうっとおしいのでまた放電した。


 「ヒィッ!!も~、いいわっ!!あたしちょっと一人で見て回るから」

 「安全だとはいえ、暗くなる前には戻ってこいよっ!!」

 「べぇ~だっ!!」


 ふよふよと飛んでいってしまった。


 腹が減ったら戻ってくるだろう。放って置こう。


 そして夜になると窓から入って帰ってきた。

 街をぐるりと一周した後、どこから入ったのか地下水道をさまよい、水を浄化しているスライムに襲われそうになって川から脱出し、びしょびしょになって帰ってきた。


 「安全って言ってたじゃないっ!!」


 食事中にわーわーとうるさいな~……。


 「蜂蜜あげるから元気出せ」

 「わ~ぃ!!」

 「クックック。単純じゃの~」


 ワインを注いでもらっているカナンカを見てランドルフは思った。


 お前が言うなよ。ほんと、ちょろいやつばっかりだな。









 翌日。留守の間の報告を聞いて、文官たちと話をしていた。

 資料を保管したり、本を置いておく図書室を造ってほしいとの要望や、街の美化の問題、土地の割り振りなどいろいろな問題が早速でてきた。

 あ~だこ~だと指示を出して対処する。


 「初日からこれかよ」

 「まだ簡単な問題で、量も全然少ないです。何か事件が起こったときなどは徹夜もしばしばですよ」


 文官に言われた。事件が起こるとか考えたくない。


 「それよりもこの街の名前を教えてください。報告に書くとき困ります」

 「……考えてなかったわ」

 「「「………」」」

 「何かいい名前ないかな?」


 せっかくいろんな種族が住んでいるんだし、それにちなんだ名前にしたいな。


 融和……コンコルディア、ドイツ語だとアイントラハトだっけか?う~ん……。トラハトだけだと衣装の名前になるとかだっけ?コンコルドだと飛行機のイメージが強いな……。


 「じゃあコムラードにしよう。確か仲間って意味があったはず……。たぶん……、自信ないけど……」

 「分かりました。ではコムラードということで、みんなにはそう伝えておきます」


 こうして街の名前が決定した。


 昼になり、ダークエルフたちを山へ案内する。

 山にあった畑は手入れをしていないのでだめかと思っていたが、誰かが手入れをしてくれていたのか綺麗に残っていた。


 「この辺りなんですけど」

 「よい土に木々も立派なものですな。ここでかまいません。ありがとうございます」

 「それはよかった。開墾で人手がいるなら人を呼んできますので何かあったら言ってください」

 「わかりました」

 「もちろん街へも近いですし、いつでも気軽に遊びに来てくださいね」


 山へ続く道も広く作ってあるので気軽に街へやってこれる。畑で薬草を育てて薬を量産してもらうようにお願いした。


 次に商業区に広く大きな三階建てのビルを生やす。紙作りの工場だ。

 ダークエルフから希望者を聞いて働いてもらう。今まで携わってた人たちはほとんど希望者の中に入っていた。

 大きな釜やその他の道具を運ぶ。しばらくは草原の草や森から木を切りだして作って貰う事にする。

 代表者を一人選んでこの工場を与えた。あせらずに考えてじっくりとやってほしいと思う。


 エスドゴ達船乗りは、幾人か残して早速島の周りを回りたいといって出かけてしまった。事前にジュレップが調査した結果を確かめたいそうだ。ランクイロも子供ながら力が強く、役立っていると言っていた。


 夜にベネディッタから島についての報告を聞いた後、夕食を一緒にどうかと誘った。

 当然のようにカナンカが椅子に座っていたので、驚きを見せたが挨拶をして同席した。

 ベネディッタのワインの飲みっぷりを見たカナンカは、ベネディッタにあれこれと質問をしていた。


 「なんとっ!!そのようなワインもあるのじゃな」

 「はい。ですがあくまでも私の舌で判断したことなので、守護竜様が飲まれたらまた違うかもしれません」

 「カナンカで良いぞ」

 「光栄です」

 「他にはどのような物があるのじゃ?」

 「そうですね……―――」


 最初に驚かされてどうかと思っていたが仲良くなれたようでよかった~。このまま飲み友達として親しくなってほしいな。そうすれば俺が絡まれることもなくなるし……。


 カナンカはランドルフが「元々山で寝てたんだから山に行けよ!!」と、北にある大きな山で住むようにと言っても聞かず、屋敷で一緒に過ごしている。

 相変わらず寝るときも一緒の布団だ。

 それをアプスが許すはずもなく、「当然私もですよね」と言って当たり前のように平気で入ってきた。

 島へ帰ってきてまだ二日だが、すでに周りにはそういう認識で見られていた。


 どうしてこうなった……。










 木綿の栽培する人を王様から派遣されていたので、その人たちに話を聞いて畑を作り、整備していく。

 魔法で造ればあっという間だ。

 畑の土地を少し高くし、ため池などを作り、灌漑をして水の通る道を作る。土の底に小石などを敷き詰めて、水がたまらないようにして、水路を通り南の川へと流れ出すようにした。

 普通はこんなに早く出来ない、おかしな魔力量だと言われた。


 ふっ、一応宮廷魔法士なんでね。


 肩書きのおかげで妙に納得された。便利なものを手に入れたと思っておく。


 土壌が酸性かアルカリ性か分からないので、とりあえず最初は小さい畑で栽培した。トライアルアンドエラーだ。

 持ってきた肥料を土とよく混ぜ、畝を作り種を植える。成長して出来上がるのが楽しみだ。


 昼から政務に勤しむ。だが街の規模に対して人数が少ないので全然人手が足りていない。

 ダークエルフたちの様子を見たり、港の様子を見たりとまだやれることは少ないが、その間に今後予想される展開を文官たちが考えてくれているので、報告を聞いてあらかじめ起こるであろう物理的な問題点をつぶしていく。

 要するにインフラ工事をしていくのである。

 魔石を利用した街灯の設置、街路樹の配置や公園も造る。水害に対しての拡張工事や、区画内の道を整備するなど、色々と指摘された。

 せっかく港町なので灯台を設置してはどうかと話をした。だが灯台という概念がなく、何故無いのか聞いてみると、「そんなものを設置したら魔物が集まってきますよ!!」と怒られた。


 あれば船乗りには道しるべになって便利だと思うんだがなぁ……。魔物って蛾みたいなものなのか?


 そう思うと少しおかしくなったが、街の人々にとっては死活問題である。領主自らが領民を危険にさらす行為をするわけにはいかない。設置はあきらめることにした。


 それから半月ほど経った。島を回っている予定のエスドゴ達が帰ってくると、あわてて報告に来た。


 「ランドルフ様ッ!!北の海岸にある建物を変な魔物達が占拠していますっ!!」


 ……そういえば文官が言ってたな。何か事件が起きたら徹夜もしばしばだって……。

お読みいただきましてありがとうございます。

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