日常と非日常
俺は日常が嫌いだ
毎日同じ事の繰り返しで、変わった事などおきやしない
せいぜい日常内でのトラブルが出るだけだ、それも終わってしまえば日常に戻ってしまう
散々に繰り返しておいて終いには死という終わりが訪れる
お終いにするには今、死を向かい入れた方が早いだろう
だが、死は未知だ
更に退屈な永遠の虚無かもしれない、ただ単に消えるかもしれない、
消えるのはよろしくない、
俺は日常が嫌いなだけで、俺自身は嫌いではないからだ
だから俺は死ねないでいる
そんな死ねない、お終いに出来ない俺が唯一、日常内での楽しみがある、"物語"だ
漫画、小説、アニメ、全ての物語が俺の楽しみだった
SFが好きだ、ファンタジーが好きだ、スポ根が好きだ、恋愛だって好きだ、
毒されてるって分かってる、だが好きなんだから仕方ないだろう、憧れたって仕方ないだろう
ああ、分かってる、分かってるさ、日常以外は何もないって、
超能力や魔法、異世界だってありはしない
だから俺は日常を受け入れ、非日常を諦めていた
俺は今なんの意味もない学校に向かっている
道路を歩き、信号を渡る、学校が見えてきた所で後ろから声をかけられた
「おはよう佳也!相変わらずやる気のない背中だな!」
「おはよう、相変わらずうるさい声だな良太」
こいつは山中良太、唯一の友達だ、
かなりやかましいやつだが、こいつがいなかったら俺はぼっちになっていただろう、
ついでに言うなら俺が自殺して終わりにしないのもこいつのおかげでもある
そんなこんなで他愛のない会話しながら学校へ向かう、
学校に着き靴を脱いでる所で良太にこう問いかけられた
「あ、そういや知ってるか佳也、最近服や靴だけ残して行方不明になってる人が多発しているらしいぞ」
「!、 へ、へぇ、まあどうせ変質者が誘拐してるのかな」
「それが女どころか男や老年まで行方不明だそうだ、不思議な事に争った形跡は全くなく、まるでいきなり中身だけが消え去ったような跡だったらしい」
それが本当だとして、どうせ神隠し的な非日常じゃなく、どこにでもあるような結末なのだろう、
そうに違いないのだ、非日常はありえない が常識で正しいのだ、期待しちゃダメだ、ダメなのだ
「その話について詳しく教えてくれ!」
「!?、お、おう、いいぜ、いいんだがいきなりどうした」
ああ、やってしまった、非日常の可能性を見てしまうと、止まれなくなってしまう、変な人だと思われてしまう、
まあ、仕方ないのだ、こんな非日常の香り、最大級じゃないか、逃す手はない
「まあ、いいや、だが話すのは昼休みからでいいか?遅刻してしまう」
「まあ、しょうがないからな、分かった」
俺はいいが、良太が遅刻するのはまずいからな、仕方ないだろう、早く聴きたいが、今すぐ聴きたいが迷惑はダメだからな、
その後教室へ向かい、授業を聞き流し、そわそわしながら、ありとあらゆる妄想をしながら、昼休みを待った
そして昼休み、寝ている良太を叩き起こし、全部聞き出す、いや、食べるために購買へと向かっている
「いつになくテンション高いな!こんなテンション高いの久しぶりじゃないか?」
「それより、ちゃんと話すんだろうな、飯だけ喰って終わりは無しだぞ」
「大丈夫だって、俺が知ってるの全部話すよ、佳也こそ、約束通り奢れよ」
なぜ聞くだけなのに奢る約束してるのかと言うと、良太の親がかなりの権力者で良太に普通なら知らない情報を教えてるのだ
かなりのやばいのも知ってるため他者には話すなと、親に言われているらしいが、あんまり自覚していない
飯奢るだけでかなりの情報を聞き出せるなら奢るのは些細な事だ
「ああ、分かってるよ、聞き出すためには惜しまないさ」
ああ、そうだ、たとえ求めるのが飯じゃなく、莫大な金でも俺は払うだろう、何が何でも聞き出すだろう、
約束通りに購買でパンを二つ買い、一つを良太に渡す、そして教室へもどり、席に着き、良太がパンを一口食べた後で良太が話し出す
「嘘でしたごめんなさい」
俺は自殺した
すみませんでした