思い込みから抜け出す方法
俺は、次のように思考した
ある本を読み、今まで自分が信じとったことが間違いであると気づいた
そして、こう思った
「今まで俺が信じてきたことは間違いやった
けど今、俺はその間違いに気づき、思い込みから抜け出した
昔の俺は間違ってたけど、今の俺は正しい」
そしてまた後日、ある本を読み、今まで自分が信じとったことが間違いであると気づいた
そして、こう思った
「今まで俺が信じてきたことは間違いやった
けど今、俺はその間違いに気づき、思い込みから抜け出した
昔の俺は間違ってたけど、今の俺は正しい」
そしてまた後日、ある本を読み、今まで自分が信じとったことが間違いであると気づいた
そして、こう思った
「今まで俺は、間違いに気づく度に
俺は間違いに気づき、思い込みから抜け出した
昔の俺は間違ってたけど、今の俺は正しい
そう思ってきた
けど、本当にそうやろうか?
一つ思い込みから抜け出したと思っても
また次から次へと思い込みが見つかる
もしかしたら、まだ自分でも気づいてないだけで
俺は今でもまだ、思い込みに囚われとるとやなかろうか?」
「昔の俺は間違ってたけど、今の俺は正しい
と思ってきたけど、それは間違いで
昔の俺も間違いやし、今の俺も間違いやなかろうか?」
「俺が信じとること
それらは全て、俺がまだまともな判断力のない幼い頃にすりこまれたこと
俺の信じとること、その全てには何の根拠もない
俺は既に騙されとる」
「騙されないよう気をつける」ことよりも
「既に騙されとることに気づく」ことが大事
「思い込みに囚われないよう気をつける」ことよりも
「既に思い込みに囚われとることに気づく」ことが大事
ある裁判官
「私は被告を信じてる。彼はきっと犯人ではない
彼が有罪であると言う証拠があるとすれば、それは偽者だ」
別のある裁判官
「私は被告を疑ってる。彼はきっと犯人に違いない
彼が無罪であると言う証拠があるとすれば、それは偽者だ」
どちらの裁判官も、不公平な判断をしとる
公平な裁判官は、次のように言う
「先ず検察側と被告側、両方の意見を聞いてみよう
検察側は有罪であると言い、その証拠を揃えとる
被告側は無罪であると言い、その証拠を揃えとる
その両方の意見を聞いてから、有罪か無罪か判断を下そう」
信じること、疑うこと、どちらも人を真実から遠ざける
好奇心、探究心が人を真実に近づける
真実を見つけるには、公正に判断することが必要
公正な判断とは、中立であること
不公正な判断とは、偏りがあること
信じることに偏ること、疑うことに偏ること、どちらも不公正
そもそも「信じる」「疑う」とゆう心の働きそれ自体が、思い込みから生まれたもの
思い込みがなくなれば、何かを信じたり疑ったりすることは無くなる
何かを信じたり疑ったりしとること、それ自体が思い込みに囚われとる証拠
思い込みから抜け出すには「私」に思考の焦点を当てること
何かを思った時、何かを言った時、何かをする時、その全てにおいて
常に「私」を意識すること
それは即ち、次の通り
「なぜ~なのか?」と思う代わりに
「なぜ~なのか?、と私は思った」と思うこと
「~してはいけない」と思う代わりに
「~してはいけない、と私は思った」と思うこと
「熱い」と思う代わりに
「熱い、と私は感じた」と思うこと
このように「と、私は思った」「と、私は感じた」
と常に意識することで、思い込みは破壊されてゆく
例えば、部屋が散らかっとると、どこに何をしまってあるか判らなくなる
そして、いざ物を取り出すとき苦労する
記憶もそれと同じ
正しく記憶すること、そして記憶を正しく整理すること
それをしておかないと、頭の中が散らかった部屋と同じ状態になる
その結果、物忘れが激しくなり、頭の回転が遅くなり、知能が低下する
正しい記憶の揆は、次の通り
「○○してはいけない、と皆が言った」と記憶する代わりに
「○○してはいけない、とAさんが言った」と記憶すること
このような記憶の揆の利点、それは矛盾を防ぐこと
例えば、Aさんが○○と言い、Bさんが××と言ったとしよう
そこで「皆が○○と言った」「皆が××と言った」と記憶すると
「誰が言ったか」という重要な情報が抜け落ちる
すると、ある事柄を判断しようとする時、頭の中で
「~は○○だ」と「~は××だ」の情報が同時に浮かぶことになる
すると思考回路に矛盾が発生し、思考が停止する
そうではなくて
「Aさんは○○と言った」「Bさんは××と言った」
ときちんと記憶しておけば、思考回路に矛盾は発生しない。思考は正常に作動する
また、記憶を整理するにあたっては
「それは誰が言ったのか?」を思い出すことから始めるべし
思考が停止する理由は四つ。矛盾、循環、信念、集中
【矛盾】
「~の時は○○すべき」「~の時は××すべき」など
相反する二つの意見を同時に信じとった場合、思考回路に矛盾が発生する
【循環】
なぜ正しいのか?と聞かれて「正しいものは正しい」
鉛筆とは何ですか?と聞かれて「鉛筆は鉛筆だ」
「○○は○○だ」「悪いものは悪い」
【信念】
「皆がやってる」「昔からそうと決まってる」「良いに決まってる」
「規則で決まってる」「法律で決まってる」「そんなの当たり前」
【集中】
瞑想したり、一つの作業に取り組むこと
集中による思考停止は善いこと
矛盾と循環と信念による思考停止は悪いこと
信じる=持続的に肯定する
疑う=持続的に否定する