聞いてない!!
天は二物を与えず
むかーし昔の人がおっしゃった素晴らしい格言だ。
色々な事が平凡だ、だけど1つでも秀でている、自慢できる!それで良いじゃないかと前向きに生きるためのそれはそれは素晴らしい格言だと俺は思ってた。
そうだよ、思ってたんだよ。
「君が班長か、よろしくな」
「オイオイ、引かれてんじゃんよォ」
こいつらに会う前までなッ!!
にこやかに、けど目が笑っていない顔で手を差し出す真ん中分け黒髪は神崎雪親
神崎公爵家の一人息子で氷魔法を使わせたらこの学園ではみぎに出るものは居ない期待のホープ。
学力はこれまた学園上位をキープし、その地位、容姿から並み居る御令嬢は婚約者の座を狙ってパーティーじゃ彼を中心に島が出来る程。
その隣でケタケタと軽快な笑い声をあげている赤茶髪は澪 千代松。澪公爵家の次男。
その体格から繰り出される体術は灼熱疾風の様だと学園長様が例えたように物理攻撃特化型な人物。ただし攻撃魔法は無駄に魔力を溜めて放つ為、入学試験の魔法部門じゃ会場が半壊した。俺はちゃんと見てたかららしいではなくてこれ事実な。
前髪で隠された瞳がミステリアスだとかで神崎様とは違いひっそりと、それでも高い人気を御令嬢方から誇っている。
そんなお二人を一言で言うなれば問題児。
台風と地震と津波が一気に来たようなもんな訳で。
これから行われる課題は3人一班で魔物討伐。
期限は達成されるまで。
俺は指揮、戦略、支援役割のため班長として支持を出すわけで
手に持つファイルの数字は5班
お二人が立つのは5班集合指定地
何度見比べても間違いがない。
「あー、木笠班長?」
「立ったまま寝てんのか?」
出来ることなら気絶したい位だってのッ!
微かに震える手で神崎様が差し出された手を握っていつもの様に笑顔。よし、大丈夫、頑張れ俺
「この5班の班長となります木笠翔太です、よろしくお願い致します」
「こちらこそ」
「期待してんぜ班長さんよォ」
これから俺みたいな下っ端も下っ端な人間が
こんな超上流階級問題児二人の手綱を握って指揮しろって?
そんなの聞いてないよ神様ッ!!