今夜は桜が綺麗ですね?
今夜は桜が綺麗ですね?
桜の美しさは、散りゆく時にあるというけれど
それは確かに間違ってはいないのでしょうね
はらはらと舞い落ちる花びら
時が満ち、吹いた風がその身を散らす
落ちた花は戻らない
それが事実
そうしてそれは、いつか風化して
思い出ですらなくなって
そして桜は
来年には、きっと違う花びらをつける
貴方は変わって、落ちていった花びらなんて
ずっとは覚えていないのでしょう
それが普通なのだから。
ねぇ、桜の花びらたちよ
貴方たちが毎年変わっている寂しさを
大事なものに捨てられていく虚しさを
貴方たちがほんのわずかな時間に
ほんの少しの幸せを感じ取って
それを抱いて、去っていくのを
それを私は知っているから
だから貴方たちとおんなじように
淡い思い出を胸に大事に抱きながら
静かに私は貴方の前から去っていこう
それさえあれば私は生きて、行けるから
だからそう
桜の下で、今夜だけは
今夜だけは酔わせて欲しい
桜って毎年毎年、春になると『また』花を付けるって言うじゃないですか。
でも、それはやっぱり人間の視点から見たエゴじゃないかって思うんです。
人間からしたら、桜は春になると花を『もう一度』見せるかもしれません。
しかし、桜は一年ごとに同じ花を付けている訳ではありません。
桜の幹と、花びらたちの別れ。
その出会いは一度しかなくて。その別れも一度しかなくて。
一度しかないからこそ、それはなによりも大事かもしれなくて。
そういう『一期一会』な愛の形だってあると、そう思いませんか?
と、適当に書いてるうちにいい感じのでっち上げが出来てしまいました。
(✽例に漏れず、このあとがきは後付けの論です)