第一夜 始まった新学期
キーンコーンカーンコーン……
「始業式を終わります。礼。」
「近くのドアから退出してください。」
いつも通りの挨拶だった。
「おーい!」
後ろから声がする。
「おい!まてって!一緒に教室行こうぜ!」
そう、この男は
「俺の親友、一ノ瀬渉身長は172cm体重は61kg。ルックスはカッコイイ、学力は中の上。小中高一緒のクラスで今にいたる。部活は天文部で副部長だ。」
「てっ…おい!誰に言ってんの?」
「小説を読んでくれてくれてる方々に…な。」
自信満々に言った。
数時間後…
「はーい。終わります。気をつけて帰ってね〜。」
この人は担任兼天文部顧問の小鳥遊咲。
結構美人だ。
「けど結婚できないのが謎。」
「んっ…?なんか言ったかな?真壁君。」
ちょっと怒った。
「いえ…なんでもありません……」
危ない危ない…。
「あっ…このあと部室に全員集合だからね。必ず来てね。」
一応、顧問だった。
「わかりました。」
「一ノ瀬行こうよ。」
「わかった。」
部室に行く途中、
「まってー私も行く〜。」
この声は…
「彼女の名前は、龍音子唯。俺の幼なじみだ。結構かわいい。身長は165cm体重は?kgスリーサイズは言わない約束になっている。彼女とも小中高一緒で今は天文部の部員だ。」
「誰に言ってんの?」
「こいつまた言ってるよ…最近おかしくないか?」
不思議に思う一ノ瀬。
「ねぇ!早く部室行こうよ!!」
急かすように言う。
部室にて
「新学期も始まったので新しいことをやります。」
「新しい…こと……?先生の結婚相手さがしとか?」
「なにを…いっているの?真壁君?!」
「すいません…。新しいことってなにをするんですか?」
「山に登って天体観測をしましょう♪日時は来週の土曜日です♪」
ご機嫌になって言う。
先生は星が好きなのだろう…。
「じゃ〜、終わります♪みんな準備しといてね。じゃ〜またね♪宿題やってくんのよ!!」
声を揃えて言う。
「は〜い…」
家に帰るまでの足取りが重い……いつも通りの道をなにもなく平凡に進む、風の音、木の葉の揺れ動く音が川のせせらぎのように聞こえてくる。
そして家に着く。
ドアを開けて、
「ただいま〜」
家の廊下を健気に歩く。
「あら、お帰り。学校どうだった?みんな変わってなかった?クラスはどう?」
質問攻めの母親。
「ん〜まあまあって感じかな…?」
何気なく言った。
「今度の土曜日、天文部で、天体観測するんだ。」
勇気を振り絞って言った。
「そうなの…。あの日以来ね…。楽しんでおいで。」
励ますように母親は言った。
そして、仏壇の前に行き
「親父、ただいま…」
チーン……
手を合わせ目を閉じる。親父が死んだのは、10年前のあの日…。
−あの日は流星群を見に行ったんだったな…山の頂上に登り、天体観測をした。そこには、幻想的な世界が広がっていた。「わぁ〜。凄い。きれいだ〜。お父さんきれいだね〜。」
その世界にはまり込んでしまった僕は、ひたすらに感動を言いまくった。「おぉ!!めっちゃきれいだな!星好きか?」
お父さんは冷静に僕を見て笑いながら言った。
「うん。大好き〜!!!また見たいな〜!!」
そういいながら、山を下りた。下りる途中、いきなり車が出てきて、お父さんは僕をかばうようにだきかかえた。
キキッーー… ドカー…ゴフッ……
鈍い音がした。お父さんは血だらけになっていた。その時、僕は何が起きたかわからなかった。ただただお父さんの名前を言っていた。
「お父さん、死んじゃやだよ〜〜。お父さん……ねぇ…お父さん………」泣きながら叫ぶ。
その後20分くらいしたら救急車が来た。病院に送られたが、一歩遅かった。そう…お父さんが…家族の一人が…この世からいなくなってしまったのだ…。
後日、葬式を行った。そこには多くのお父さんの友達や親族など、また、僕の友達も呼んでお父さんの死を悼んだ。お母さんは、僕と妹二人を抱きしめて、泣いていた。歯を食いしばって泣いていた。それ以来天体観測に行っていない。もちろん望遠鏡にも触れてはいない。−
そんなことを思い出してしまった。
その後、自分の部屋に向かってベッドにねっころがった。
そのまま寝てしまった。