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その勇者は最強故に  作者: 陽山純樹
勇者争乱編

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心情の変化

 話し合いはひとまず終わり、俺達はカフェを出てバルナと別れる。


「……クロエ、城側と協力するっていう提案だけど――」

「どの道国が……女王が関わった方がいいでしょう? それに、人数が多ければ監視の目を光らせることもできるし」

「それで相手が行動しなかったら元も子もないけどな」

「だが打てる手としては良いものだ」


 ディクスの言葉。俺はそれに頷き、


「ま、確かに……ひとまずバルナは魔物討伐に協力してくれるってことだから、そちらの準備からだな」

「どういう魔物を出すつもり?」


 クロエはディクスに問い掛ける……勇者二人が追いかけているくらいの魔物だ。それなりの存在であった方がいいだろうけど。


「そこは姉上と協議をする……女王の方は任せても構わないか?」

「ああ、いいよ。あ、俺達がどういう風に活動しているのかは――」

「既に報告はいっている」

「なら、大丈夫だな」


 さて、他にやるべきことは……。


「あー、そうだな。せっかくだし戦士団の面々と顔を合わせた方がいいな。彼らは宿にいるのか?」

「確かそのはずだ」

「連絡先として宿は教えてもらっているし、一度会いに行ってみるか……とはいえまずは、仲間達に報告だな」


 会いに行くのは明日からでもいい。女王と会えるようになるのも数日くらいは掛かるだろうし。

 やがて俺達は宿に帰還。カレン達に事情を説明すると、ならばと快諾した。


「そういう形なら、私達も同意します」

「けどそれって、魔族の討伐はバルナさんが主導になるってことか?」


 フィンからの問い掛け。国も動くし正直どうなるかわからないけど……。


「その辺りは国側がどういう絡み方をするのかによって決めればいいさ」

「ああ、それもそうだな……で、まずは魔物討伐からか。俺達も参加するんだよな?」

「別に宿にいてもらってもいいぞ」

「行きます」


 カレンの強い言葉。それに応じるようにミリーも続く。


「久しぶりに仲間全員揃ったわけだし、頑張ろうじゃない」

「ずいぶんと大所帯だけど」

「賑やかでいいわよ……と、ジクレイト王国が関連するなら、レナさんとかも参加するのかしら?」


 レナ、ねえ。ジクレイト王国での騒動にも加わっていたし、たぶん俺との折衝はレナが担当しそうだな。


「ま、そこは国側に通達してからだな……実際のところ、本当に助力が得られるかどうかは不明だし」

「セディの発言力なら、いけると思うけどね」


 変に信用されている……まあ、結構騒動を解決しているそれなりに実績もある。加え女王アスリとの繋がりもあるから大丈夫だろう。


「そういうわけで、もう数日はここに滞在することになる……というか魔物討伐と魔族討伐、両方ジクレイト王国内で行われるだろうから、当面の拠点になりそうだな」

「なら美味しいお店でも探しておくわ」

「ああ、頼むよ」


 どこか軽い口調で会話をする……こんなやりとりも久しぶりで、カレンやフィンは笑みを浮かべる。


 ……こうして仲間と会話するのはいつぶりだろうか。なんだか懐かしさすら覚えるのは……複雑な心境になるのは、ひとまず考えないでおくか。

 ――そうしてこの日、バルナとの会話を上首尾にまとめ、一日を終えた。とはいえこれはまだ始まりに過ぎない。明日から本番だと言い聞かせ、仲間達と過ごした。






 さて、翌日は朝食後に作戦会議をすることになった。といってもその面子は俺とシアナとクロエ。魔物討伐のための物資を買いに出るということにして、仲間達と散開した……のだが、


「なんだかカレン、ずいぶんとおとなしくないか?」


 歩き始めてすぐ、俺はそう呟いた。反応したのはクロエ。


「おとなしいってどういうこと?」

「いや……以前のカレンなら、絶対俺についてくると思ったんだが」


 この人選じゃないと作戦会議ができないので、カレンをどう対処するか悩みどころだったのだが……俺が提案したらカレンはあっさりと了承した。


「なんか裏があるような気がする……」

「考えすぎですよ」


 と、シアナが口を開いた。


「昨夜カレンさんと話をしましたが、兄のやりたいようにやらせると語っていましたし」

「そうか……?」

「心境の変化があったのかもしれません……セディ様と離れて」


 変化、か……そう解釈していいのかどうか。


「疑問があるのなら直接訊けばいいんじゃない?」


 もっともなクロエの意見。しかし、


「いや、どうせカレンのことだから俺が言っても何でもないと答えるはず」

「変に信用しているのね……」

「まあ血が繋がっていないけど兄妹だからな。どんな風に考えているのかはおおよそわかるんだよ」


 今のカレンは……言ってみれば俺に心境を悟られないように動いているように感じられる。

 それが何を意味しているのか……フィンやミリーに聞いてみてもいいか。


「ま、いいや。とりあえずカレンの話はこれくらいにして……本題に入ろう」

「では、私から」


 シアナが口を開き、話し始める。


「女王アスリとは既に連絡を行い、協力するという回答を得ました。物資の購入の後、文書を城へ送りますが、お城近くの詰め所で働いているレナさんに渡してもらえれば受理するとのことです」

「ん、それなら確実だな……なら次は魔物について」

「これもお姉様から連絡がありました。魔物については適当なものを用意するとのこと」

「その適当というのは、適切という意味か? それとも不誠実的な意味か?」

「とりあえず前者です」


 ……なんだか引っ掛かるような物言いだけど、エーレの仕事だし仲間に疑念を与えるようなことにはならないだろうから、任せよう。


「どうにかして勇者バルナの情報を引き出したいですが、魔物討伐はセディ様やクロエ様が主導になる立場ですし、難しいかもしれませんね」

「そこはいいさ。俺やクロエの実力を目の当たりにしてもらい、是非ともこの力がほしい……そんな風に感じ取ってもらえれば、魔族討伐の際騎士や兵士がいようとも策を実行するだろ」

「確かに、そうですね……ではそういう形で」

「ああ。場所なんかはシアナ達に任せていいか?」

「はい。それらしい場所もお姉様は既に見つけたようなので、大丈夫かと」


 うん、魔物討伐については大丈夫そう……と、そこで店に到着。とりあえず準備ということで、買い物を行った。


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