君と僕は同じ…
こういったサイトで小説を書くのは初めてなので色々と不安ですが、頑張ってみようと思います。
完全に自己満足作品ですが、批評などお待ちしております。
いつか見た夢…
少年は言った…
僕は君と一緒だ。と…
少しだけ開いたカーテンの隙間に我先にと差し込む光は、闇の中橋を掛けていた。
空には雲が多いのか、掛かった橋は数秒で消え、室内を闇が占領する。
闇の一番深い場所、部屋の隅で膝を抱える少年は、両膝に額を乗せ、規則正しく寝息をたてていた。
騒々しく自己主張をする赤い目覚まし時計が、起床時刻の訪れを少年に知らせる。
少年は、恨めしそうな視線を時計に突き刺しながら立ち上がり、ゆっくりとした動作で音を止めた。
静寂が再び部屋に広がり、少年と眠りの天使の手を繋がせようと試みるが、少年の行動により未遂に終わる。
軽い音をたててカーテンが開くのと共に、控え目な朝日が闇を少しだけ払った。
「………朝…か…」
小さく呟いた少年の声は、闇へと吸い込まれた。
一つ溜め息を溢したのと同時に、部屋の内線が鳴り、主を呼ぶ。少年は受話器を取らずにスピーカーにして応答する。
「夕月様、朝食の用意が整っております。」
「あぁ。直ぐに行く。」
「承知致しました。」
通話を切り、再び溜め息を吐いてから着替えを済ませ、食事に向かった。
広間に着けば、2人の使用人が重厚な扉を開ける。少々高めの天井から吊るされたシャンデリアが冷たい光を放つ広間では、高級感漂う黒い椅子の傍らに執事が立ち、少年へと頭を下げる。
「夕月様、おはようございます。」
「あぁ。」
そう返事をした少年は椅子に腰掛け、黙々と食事を始めた。一般家庭の朝食時にあるような明るい空気は、何処かに姿を隠してしまっているようだった。
着替えを済ませ、荷物を持って玄関に行けば、使用人が一斉に頭を下げ、マニュアル通りの挨拶をする。少年も小さく“行ってくる”とだけ返し、既に使用人が開けている扉を潜って待たせている車に乗り込んだ。
いつもと変わらない朝…
唯一の違いは、朝食の品数が一品多かった位だ…
今日もいつもと変わらず憂鬱の壷へと向かう…
勉強は嫌いではない。運動も然り。
憂鬱の原因は、そこに集う人間と、その人間達が作り出す空間。
歪んだ自己主張の場としか成り得ない空間。
親の七光を存分に利用し、自己の地位を確立しようと目論む輩。
少年は、その全てが嫌いだった。