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第7話 ガスライティング — 透明な虐待

私は、ずっと世間から疎まれて生きてきました。

もっと正確に言うなら、「疎まれているように感じて」生きてきた、と言うべきでしょうか。

そう書くと、多くの人は「考えすぎだよ」「被害妄想じゃない?」と言うかもしれない。


私自身、そんなことはないと頭では理解しているつもりです。

だけど、周りから見ると私は、「現実と妄想の区別がつかない人間」らしいのです。

私が感じていることは、私にとっては紛れもなく真実なのですが、周りから見るとそうではないようなのです。


妄想とは、「現実ではないことを現実だと思い込むこと」と言うのなら、

私は妄想していると言えるのかもしれません。


けれど、心理学を深く勉強するうちに、私はひとつの恐ろしい言葉に出会いました。


「ガスライティング」


それは、相手に対して、「お前の方が間違っている」「お前の感覚はおかしい」と思い込ませて、少しずつ正気を失わせる、極めて巧妙で悪質な心理的虐待のことです。


例えば、こんな場面を想像してみてください。


愛してくれない夫に対して、「どうして愛してくれないの?」と震える声で妻が詰め寄ったとします。


それに対して、夫は平然とこう返します。


「そんなことはない。俺はこんなに愛しているのに、なんでそれがわからないんだ?この愛が感じられないなんて、お前、どこかおかしいんじゃないか?」


このように、相手の感じていることを真っ向から否定し、お前の方がおかしいと思い込ませようとする。


これを繰り返されることで、「愛を感じられない自分の方が異常なのだ」と、次第に現実認識を狂わされてしまうのです。


この言葉を知った時、私の頭の中にあったバラバラのピースが、音を立てて繋がりました。


私がおかしかったんじゃない。

子供の頃からずっと、親という名の加害者に、おかしいと思い込まされてきただけ。


「うちの家計は苦しい」と言いながら、普通に暮らす母。

「親を大事にしないお前は変だ」と、過去の傷を無視して責め立てる母。


私の感じてきた「苦しみ」を「妄想」と切り捨て、自分の支配下に置こうとするその手口。

それが虐待でなくて、何だと言うのでしょう。


私はもう、自分の感覚を疑わない。

おかしかったのは私ではなく、親という名の支配者の方だったのだから。

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