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第23話 それでも、母しかいない
実家に帰ることにした私は
そのことを父に話すべきか考えていた
「留守だったら困るし、話しておいた方がいいよね」
でも、父とは直接やり取りする手段がない
父の連絡先には、古いメールアドレスしか登録されていない
電話番号がないのは……なぜ?
たしか、父が人に伝えている番号も、母の携帯だったはず
父は、自分の番号を持っていない…?
「……はぁ、お母さんにお願いするしかないか…」
話したら、どんな反応をするだろう
きっと、理由をつけて、一緒に行こうとするだろう
私の一人行動に、何かにつけて干渉する母
行動だけじゃない、未来についてもだ
「絶対に結婚しないでね」
いつか、母から言われた言葉
それが、今でもトラウマになっている
母に対する不信感は、そうした些細な会話の中に染み込んでいる
思い出すと、黒い感情に心が支配される
母にすべてを操られているような、不気味な違和感
父が諸悪の根源かのように、いつも口うるさく罵っている母
でも、それも母の意図したことだったら…
我ながら恐ろしい考えだと思う
でも、私には信じられるものが何もない
親でさえ、信用できないのだ
むしろ、親が一番、信用できないのかもしれないとさえ思う
そうやって、自分の置かれた境遇を恨めしく思う度、涙が止まらなくなる
それでも、今の私には、母を頼ることしかできないのだった




