第17話 解離 — 引き裂かれた記憶と心
落ち着いて、ちゃんと思い出してみよう
子供の頃は何をしてた?
幼稚園の頃は……
あれ?何してたんだっけ?
幼稚園は行きたくなくて休んでいたような…
でも、行っていたときもあるはず…
なのに、長い時間過ごしたはずの幼稚園での記憶が
なんですっぽり抜け落ちているの?
小学生の頃は……
そう!キティちゃんのぬいぐるみ!
小さい頃、いつも可愛がっていたじゃない
うん、思い出せる
そう、お母さんの乳液を一緒になって使ったり…
でも…何か大事なことを忘れているような……
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん」
あっ、美容院でそう呼ばれていたっけ
朧げな記憶を手繰り寄せるように頭をフル回転させる
学校では何をしてたんだっけ……
「あっ、さえちゃん!」
そうだ、さえちゃんの三つ編み
体育の後、いつも私が髪を直してあげていた
あとは……
ピアノ!そう、ピアノも習っていた
どうしてもピアノが弾きたくて、お母さんに頼み込んだんだっけ
でも、いつの間にかやめてしまって…
中学での思い出は……
そうだ……身体の変化に戸惑って、それで、急に恥ずかしくなったんだ
それから確か……
あれ?何をしてたんだっけ……
思い出せることはあるけれど、どれも断片的だった
何で私は、自分の過去をちゃんと覚えていないの?
「もしかして、記憶喪失?」
ネットで症状を検索してみる
「解離性健忘……」
強いストレスやトラウマが原因の記憶喪失…
「私の記憶が曖昧なのは、ストレスやトラウマによるもの……ってこと?」
思い当たる節がないわけではなかった
むしろ、今までの違和感のピースが
音を立ててピタッ嵌まるような
奇妙な快感を覚えた
私って、もしかして……




