第11話 夢という希望に縋って
子供の頃の夢は声優になることだった。
今でこそ「声優アーティスト」は華やかな職業の代名詞だけれど、当時はまだ世間的なイメージも芳しくなく、今ほどキラキラした世界とは程遠かった時代。
中学時代、私が心を奪われたのは、林原めぐみさんや水樹奈々さんといった、草分け的な声優アーティストの方々だった。
お芝居も歌も大好きだった私にとって、役を演じ、ステージで歌い踊るその姿が眩しかった。
「あんなふうに、演技や歌で自分を表現してみたい」
子供心に抱いたその夢は、私の心の中にずっと燻り続けていた。
そして20歳の春、私は地元の声優養成所の入所オーディションに合格した。
ようやく、私の夢が、私の人生が始まる、そんな期待を胸に抱いていた。
それなのに、まさか、あんなことになるなんて…。
夢が砂上の楼閣のように崩れ去るのにそう時間はかからなかった。
私を壊したものが何なのか、それをここで書くにはまだ心の準備が足りないみたい。
その挫折が、そのまま私の「暗黒の20代」の幕開けとなった。
yasu様に心酔するようになったのは、まさにその暗闇の淵に迷い込んでからのこと。
退廃的で、どこまでも耽美な彼の歌声。
現実に絶望し、心も身体もボロボロになっていった私を受け入れてくれたのは、優しくも残酷な「堕天使のような愛」だった。
「死にたい」と「生きたい」が混ざり合う夜、私は彼の音楽に抱かれながら、辛うじて命を繋いでいた。




